個別のご相談
個別のご相談
-
慰謝料を請求したい方
慰謝料請求が認められるためには、相手方に不貞行為、暴力行為、虐待行為などの不法行為がなければなりませんので、単なる性格の不一致などで離婚する場合には、慰謝料請求は出来ません。 また、夫婦関係がすでに破綻してしまった後で、相手方が不倫した場合は、法的保護に値する利益が侵害されたとは言えないので、慰謝料請求権は発生しない、というのが基本的な裁判所の考え方です。 夫と不倫相手について共同不法行為が成立した場合、夫だけでなく、不倫相手にも慰謝料請求をすることが出来ます。 ただし、例えば、夫が会社の部下に対して、セクハラ等をしていたり、相手の女性に対してしつこく迫っていたりなどの特別な事情がある場合、相手の女性は、不倫に加担したというより、夫のセクハラの被害者であり、相手の女性に対する慰謝料請求が認められない場合があります。 夫とともに不倫相手にも慰謝料を請求する場合は、離婚及び慰謝料を請求する調停と併せて、不倫相手に対して慰謝料を請求する調停を家庭裁判所に申し立てることが可能なケースもあります。 夫とは別個に不倫相手に慰謝料を請求する場合にも調停の申立をすることが出来ますが、調停が成立する見込みがほとんどない場合には、不倫の相手のみに対する慰謝料請求の訴訟をいきなり提起することも可能です。この場合は、家庭裁判所ではなく、地方裁判所に訴訟提起することになります。 不倫相手と夫から慰謝料の二重取りをすることは出来ませんので、仮に、不倫相手からすでに十分な慰謝料を受け取っていた場合は、夫へ慰謝料を請求する事は出来なくなります。なぜなら、不貞行為という一つの不法行為を、夫と不倫相手の二人で行ったため、その損害は一つと考えられるからです。 もっとも、不倫相手と夫それぞれに半分ずつの慰謝料を請求しなければならないわけではなく、どちらかに全額を支払うよう請求することはできます。あとは、不倫相手と夫との間で案分してもらえばよいので、あなたが関わる必要はありません。 夫の不倫相手も結婚していた場合、あなたの夫も不倫相手の夫から慰謝料請求される可能性があります。あなたの夫も相手の夫に精神的苦痛を与えたからです。 あなたが不倫相手に慰謝料請求をして、不倫相手の夫からあなたの夫に慰謝料請求をされると、相手の女性から支払われるべき金額と、夫が支払うべき金額とで打ち消しあって、プラスマイナスゼロになることもあります。 不法行為の時効は、被害者が損害及び加害者を知ってから3年ですから、浮気相手が誰であるかを知ってから3年以上経っていれば時効にかかり、慰謝料請求できないことになります。そのため、慰謝料請求をしたいと決断したら、早めの請求をしていくことが大切になります。 DVといっても、その態様は様々です。身体的なものに限らず、精神的なものや性的なものも含まれます。 身体的なDVにおいては、まず、被害者の安全確保を最優先すべきです。そのためには、加害者の生活圏内から離れ、安全な居場所を確保し、加害者との接触を避け、居場所を知られないように適切に対処する必要があります。身体に対する暴力を受けている場合、離婚調停または裁判と並行して、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に基づき、裁判所に保護命令を申し立てる、保護施設(DVシェルター)を活用する、などしながら手続きを進めていくのがよいでしょう。 また、DVが原因の場合、当事者同士で離婚の話し合いをすることが難しい場合が多いので、慰謝料請求も弁護士を立てて、話を進めていくことをお勧めいたします。 話し合いで決まらない場合は、裁判をすることになりますが、その際は、DVを受けたという証拠(警察への相談記録・診断書・写真・録音・メールのやり取りなど)が決め手となりますので、証拠をできる限り集めておきましょう。 個々によって精神的苦痛の程度は異なり、また、離婚までの経過も人それぞれですから、慰謝料額について明確な基準を定めることは困難です。 一般的に、裁判所で判決を言い渡される場合、慰謝料額は75万から250万円の幅を超えないと言われていますが、慰謝料算定の基準として、 有責性の程度 背信性の程度 精神的苦痛の程度 婚姻期間 当事者の社会的地位 支払能力 未成熟の子の存在 離婚後の扶養 などがあり、これらを考慮しつつ算定する事になりますので、具体的な事情によって金額は様々です。 離婚に伴う慰謝料請求、不貞行為に基づく慰謝料請求は、弁護士から通知を送るだけでも任意に支払ってくる場合もあります。また、慰謝料請求をするとなると、相手を責めることになりますので、ご本人の心にかかる負担が大きいかと思います。 慰謝料請求をする際、それについてのやりとりはすべてご本人の代わりに弁護士が行います。ぜひ一度弁護士にご相談することをお勧めします。 [myphp file='link-footerban'] よくあるご質問 不倫慰謝料に関する、よくあるご質問をまとめました。 「慰謝料を求めた」方の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、慰謝料を求められた方が依頼者であった事例をまとめました。 [myphp file='link-situation']
-
慰謝料を請求された方
浮気の事実や証拠があるからといって、慰謝料が認められるとは必ずしも限りません。法律上は、慰謝料請求をするための条件が色々定められており、その条件を満たさなければ慰謝料の請求ができません。 このページでは、不倫・不貞慰謝料請求が法律上成立しない場合とはどのような場合なのか、不倫慰謝料を請求された側がどのような反論をすることができるかなどについて、くわしくご説明いたします。 不倫慰謝料の請求が成立しない場合 慰謝料請求された側の反論のポイント 相手方が不倫・不貞慰謝料を請求するには、証拠の有無にかかわらず、以下のすべての要件を満たさなければなりません。仮に、相手方が、以下の要件のうち1つでも満たしていないのに、請求をしてきた場合には、請求を拒否することができます。 不倫・不貞慰謝料の法律要件 夫・妻と第三者との間で不倫・不貞行為があったこと 不倫・不貞の相手方が、夫・妻が婚姻していることを知っていたこと 不倫をされた人が、不倫・不貞行為及び相手方を知った時から3年を経過していないこと 夫婦関係が破たんしていなかったこと 先ほどあげた各要件のうち1つでも満たさない場合には、慰謝料請求に応じる必要はありません。したがって、慰謝料請求を受けた場合には、まず相手方が上記の要件を全て満たした請求をしているかを検討する必要があります。 不倫・不貞をした方に故意・過失がない場合には、法律上、慰謝料請求権は発生しませんので、慰謝料請求に応じる必要はありません。 「故意」とは、簡単にいうと、「わざと」法律に反する行為をしたことをいい、不倫・不貞慰謝料の場合には、相手が既婚者であると知っていたことをいいます。また、「過失」とは、きちんと注意していれば法律に反する行為をしないで済んだはずだったのに注意をしなかったことをいいます。つまり、注意していれば相手が既婚者だと気づいたはずだったのに不注意で気づかなかったということです。 例えば、交際をしていた相手が、結婚指輪を外していたり、結婚生活・子どもの話をしていなかったりしたような場合には、相手が婚姻していること、つまり、既婚者であることを知らなかったということがあり得ます。 このような場合には、不倫・不貞慰謝料の発生の根拠となる民法709条に書かれた要件のうち、故意・過失が認められず、不法行為が成立しない、つまり、不倫・不貞の慰謝料請求に法律上応じる必要がない場合があります。 また、仮に他の要件を満たすとしても、不倫・不貞行為の発覚から3年以上経過している場合には、民法の定めにより、時効にかかります。民法では、不倫・不貞慰謝料を請求できる期間を基本的に3年間に限定しているのです。 したがいまして、不倫・不貞行為の発覚から3年以上経過してから不倫・不貞慰謝料を請求された場合には、「消滅時効が完成しているので支払わない」という意思表示(時効の援用)をすることにより、慰謝料請求を拒絶できる可能性があります。 実際に慰謝料請求をするには、さらに、これらの要件にあてはまる事実があることを裏付ける証拠が必要になります。したがって、仮に、相手方の慰謝料請求が法律上の要件をすべて満たすとしても、これとは別に、相手方がどのような証拠を保有しているか、相手方が持っている証拠からどのような事実が証明できるかについては、十分に検討しなければなりません。 ここからは、不倫・不貞慰謝料の支払い義務または支払い金額を争う時の反論のポイントについて、ご説明いたします。 ① 不倫・不貞行為自体がない ② 肉体関係は認められないが親密な関係 ③ 面会・密会 ④ 愛情表現を含むメールのやり取り ⑤ 既婚者とは知らなかった ⑥ 独身だと聞かされていた ⑦ すでに夫婦関係が破たんしていた ⑧ 夫婦関係がうまくいっていなかった ⑨ 念書・示談書の作成を強要された 相手方が「不倫・不貞行為があったこと」の立証をしなければならない 不倫・不貞慰謝料の発生原因となる「不倫・不貞行為」とは、基本的には「性行為・肉体関係」のことをいいます。「性行為・肉体関係があったこと」は、相手方(不倫・不貞慰謝料を請求する側)が、証拠により証明しなければならず、不倫・不貞慰謝料請求を受けた側が「性行為・肉体関係がなかったこと」を証明する必要はありません。 もし、相手方がこれを立証できなかった場合―つまり、裁判官が提出された証拠を見ても性行為・肉体関係があったかどうか判断できない場合(真偽不明の場合)には、不倫・不貞慰謝料の請求が認められません。 性行為・肉体関係がなければ絶対に慰謝料請求が認められないわけではありません。というのは、不倫・不貞慰謝料は、夫婦の共同生活が破壊されたり脅かされたりしたことに基づいて認められるものですから、夫婦の共同生活に影響を与える行為であれば、慰謝料の原因となる可能性があるからです。 つまり、実際には2人の間に肉体関係まではなかったとしても、既婚者と親密な関係にあったと疑われる、または、誤解されかねないような行為をしていた場合には、相手の家庭の不和の1つのきっかけを作った責任があり、慰謝料を支払わなければならない場合もあります。 例えば、緊急の理由がないのに2人きりでホテルに同宿する、夜遅い時間に自宅で2人きりの時間を一定時間過ごす、誤解を招くような親密なメールのやりとりをする等です。 ただし、その内容にもよりますが、性行為・肉体関係がはっきりと認められるケースよりは慰謝料の金額が少なくなる場合もあります。裁判所も、性行為・肉体関係があったとまでは断定できないケースであっても、その行為が性行為・肉体関係があったのと同じように、夫婦の共同生活の平穏をおびやかし、破壊する可能性のある行為であれば不法行為に当たる、つまり慰謝料請求が認められる場合があることを認めています(東京地方裁判所平成17年11月15日判決、東京地方裁判所平成22年12月21日判決)。 では、2人きりで食事をしたり、街でデートをしたりしただけでも慰謝料を支払わないとならないのでしょうか。 多くの裁判例では、ただ面会・密会をしただけでは、不法行為とまではいえず、慰謝料を支払う必要はないと判断されることが一般的です。ただし、過去に不倫・不貞関係にあった2人が再び密会をした場合など、特別な状況があるケースでは、慰謝料の請求が認められる可能性もありますので注意が必要です。 「好きだよ」、「愛している」などの愛情表現を含む内容のメールなどのやりとりは、他の証拠と組み合わせて性行為・肉体関係があったことを推測させる証拠となることがあります。 また、上記の点とは別の問題として、「愛している」などのメッセージをやりとりすること自体が、夫婦の共同生活にダメージを与える行為として、慰謝料を発生させることがあります。裁判所の判断は、慰謝料の支払いを認めた裁判例と慰謝料の支払いを認めなかった裁判例と両方があり、分かれています。 ただし、メッセージのやり取り自体について慰謝料の請求が認められたとしても、それ以上の行為が認められない場合には慰謝料の金額は低いものにとどまることが多いです。 交際相手となった方が既婚者であることを知らず、かつ、既婚者でないと信じたことに不注意(過失)がなかった場合には、不倫・不貞慰謝料の請求が認められません。法律では、不倫・不貞慰謝料の請求が認められるためには、不倫・不貞をした側に故意・過失があることが条件のひとつと定められているからです。 不倫・不貞の故意が認められず、過失のみが認められた場合には、故意が認められた場合と比べて慰謝料の金額が低くなることがあります。相手が既婚者であると知っていた場合と不注意で知らなかった場合では、前者の違法性が高いと考えられることが多いからです。 もっとも、安易に「既婚者であると知らなかった」と反論をすることはできません。なぜなら、多くの不倫・不貞ケースでは、不倫・不貞をした2人がもともと何らかの関係(友人・同僚など)にあって既婚者であることを知り得たと判断されることが多いですし、仮にそうでなくても、関係を続けていくうちに、土日には絶対に会えないし連絡も出来ない、住所などを教えてくれない、自宅に行きたいといったら断られるなど、相手が既婚者かもしれないと気づくきっかけがあることが多いからです。 このようなケースで「既婚者とは知らなかった」と反論しても、かえって相手方の感情を逆なでしてしまうこともあります。裁判となったケースでも、相手が既婚者でないと信じたことに不注意(過失)さえも認められず、不倫・不貞慰謝料の請求が認められなかったケースは、あまり多くありません。交際相手がかなり積極的に独身であると偽っていたという事情があり、その証拠もあるケースでなければ、不倫・不貞慰謝料の請求を拒むことは難しいです。 すでに夫婦関係が破たんしていた時には不倫・不貞慰謝料を支払う必要はない 2人の交際が始まる前に相手方の夫婦関係が破たんしていた場合には、原則として、不倫・不貞慰謝料を支払う必要はありません(最高裁判所平成8年3月26日判決)。不倫・不貞行為が不法行為となるのは、その行為が夫婦の婚姻共同関係を侵害・破壊する行為だからです。そのため、もともと夫婦関係が破たんしていたときには、不倫・不貞行為をしたとしても保護の対象となる利益がないので、慰謝料を支払う必要がないのです。 夫婦関係の「破たん」とは? ここでいう夫婦関係の「破たん」とは、「婚姻関係が修復の見込みのない状態となっていること」をいうと考えられています。 離婚したいと思っていただけでは「破たん」とならない 裁判所は、夫婦関係の破たんの有無を客観的に判断しています。交際相手から離婚したいという気持ちを聞かされていただけでは「破たん」の反論が認められないことが通常です。例えば、別居の有無は、重要な客観的な事情と考えられることが多いです。もっとも、別居さえしていれば即「破たん」と認められるわけではありませんし、逆に別居が「破たん」の絶対条件というわけではありません。「破たん」の有無は、さまざまな事情を考慮して判断されます。 「破たん」の反論には証拠が必要 「すでに夫婦関係が破たんしていたこと」は、その反論をする側(つまり不倫・不貞慰謝料を請求された側)が証拠により立証しなければなりません。「不倫・不貞行為があったこと」については慰謝料請求をする側が証拠により立証しなければならないのとは逆になります。 「破たん」の反論が認められることは少ない もっとも、裁判所が夫婦関係の「破たん」を認め、不倫・不貞慰謝料の請求を全く認めなかったケースはとても少ないです。別居をしていたとしても、「破たん」とまではいえないと判断されることは、珍しいことではありません。 ただし、「破たん」とまでは認められない場合であっても、もともと夫婦関係が不和・危機の状態にあった場合には、不倫・不貞慰謝料の金額を減額すべき事情としてとらえられることもあります。もともとの夫婦関係が悪化していた場合には、法律によって保護される利益が少なく、また不倫・不貞行為が与えた影響も大きくないと考えられることもあるからです。したがって、もし、もともと相手方の夫婦関係が悪化していたことを示す事情がある場合には、そのことを反論して、慰謝料の減額を主張できることもあります。 例えば、交際相手から「もう夫婦関係は破たんしている」、「すぐにでも離婚するつもりだ」と聞いていた場合に、このことを慰謝料の支払いを拒む理由とすることができるでしょうか。 「夫・妻とは上手くいっていない」、「もう別れるつもりである」と嘘をついて関係を持ちかけるという話は、一般によくある話です。不倫・不貞の相手となった夫・妻の言葉は疑ってみるべきと考えるのが常識と考えられますから、相手の言葉をただ信じていただけでは、故意・過失は否定されません。 ただし、不倫・不貞の相手となった夫・妻が積極的に嘘をついていた事情は、不倫・不貞慰謝料の金額を決めるにあたって考慮されることがあります。 相手方に呼び出されて行った先で、不倫・不貞慰謝料の支払いを認める念書・示談書などを無理強いさせられたという話は、よくお聞きする話です。不倫・不貞があった事実を認めていたり、慰謝料の支払いを認めていたりする内容の念書・示談書とはいえ、それが本心に基づかない場合には、法律上、その書面の効力が否定されることがあります。 ただし、書面を作成したときの状況については、直接証明する証拠がないことがほとんどで、たとえ相手方が脅迫めいた行為をしてきても、そのことを裏付ける証拠はないことが多いでしょう。このような場合には、実際の裁判では、書面の効力を否定するのは難しい場合が多いです。 このような事情もあるので、相手方と直接会うことは避けるべきですし、どんなに強要されても念書、示談書には署名捺印しないようにしましょう。相場より高い金額を請求され、それに応じてしまっては大変です。 ケースによっては、上記の各要件を満たすかどうか、不倫・不貞慰謝料の請求を受けた方の反論が認められるかどうかについての判断が専門家でも難しい場合があります。ご自身だけで判断し、相手方の要求のままに不倫・不貞慰謝料を支払ってしまう前に、できる限り、弁護士にご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] よくあるご質問 不倫慰謝料に関する、よくあるご質問をまとめました。 「慰謝料を求められた」方の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、慰謝料を求められた方が依頼者であった事例をまとめました。 [myphp file='link-situation']
-
会社の上司からセクハラを受けた方
セクハラは、「意に反する性的言動」を言うとされますが、何をもって「性的言動」というか、どこからが違法か、あるいは雇用管理上の問題として取り上げるべきか、この点について具体的な境界線を引くのは難しいです。しかも、「意に反する」という被害者の主観に大きく影響されるため、認定が困難です。 そこで、まず、通常嫌がられるような性的言動なのかどうか、受け取り手との関係でどうか、明確な意思表示がなくとも、嫌がっていることがわかるかどうか、等が基準となると考えられています。 相手の意に反する性的言動があった場合に当然に行為者に法的責任が生じるわけではありませんが、当該行為が、 ① 故意(わざと)、過失(不注意)によるものであり、 ② 権利侵害(違法性)に該当し、 ③ 損害(精神的苦痛等)を発生するもの であれば、不法行為に基づき損害賠償請求をすることができます。 セクハラで問題となるのは、②の要件であり、当該セクハラ行為が法律的に違法性を有するものであるか、という点です。一般的には、セクハラ行為の態様、被侵害利益等を総合的に考慮することになると思います。 ある裁判例は、セクハラの行為の違法性について、「職場において、男性の上司が部下の女性に対し、その地位を利用して、女性の意に反する性的言動に出た場合、これがすべて違法と評価されるものではなく、その行為の態様、行為者である男性の職務上の地位、年齢、被害女性の年齢、婚姻歴の有無、両者のそれまでの関係、当該言動の行われた場所、その言動の反復・継続性、被害女性の対応等を総合的に見て、それが社会的見地から不相当とされる程度のものである場合には、性的自由ないし性的自己決定権の人格権を侵害するものとして、違法となる」と述べています。 ①~③の要件に該当し、不法行為に基づく損害賠償請求が認められるとしたら、いくらぐらいの慰謝料が支払われるのでしょうか。 セクハラが原因でその職場を辞める事態にまで至らなければ、慰謝料も低めになります。過去の判例を見てみると、おおよそ50~100万円の慰謝料が認められることが多くなっています。 セクハラが原因で退職に至ったような場合、慰謝料も高くなる傾向があります。慰謝料相場として100〜300万円程度になってきます。これは、退職に至ったことにより、逸失利益が認められることも多くあるからです。 ※逸失利益とは、その行為がなければ仕事を続けることができ、引き続き給料をもらえたであろう差額分です。ここでは、セクハラ行為がその行為に当たります。 セクハラは、強制わいせつや強姦などの刑事事件にも該当するようなケースも考えられます。刑事事件にも該当するような、悪質なセクハラ行為は慰謝料も高額になります。過去には、強姦に該当するようなセクハラをしたとして、1,000万円を超える慰謝料請求がされたこともあります。 加害者の社内での立場によっても慰謝料額は左右されてきます。例えば、直属の上司(課長)からセクハラされることと、会社役員からセクハラされることでは、後者のほうが社内での立場も強いため、慰謝料も高額になりやすいでしょう。 「セクハラをされる期間が長期に及んでいた」「やめるように拒んでいたのにやめられなかった」といった事情があれば、慰謝料も高額になります。しかし、長期間でのセクハラを証明する必要もあり、「証拠がなくて中々認められない」といった事も残念ながら少なくありません。 会社がセクハラ行為を認識していたとなれば、加害者だけではなく会社に対しても慰謝料請求が考えられてくるでしょう。そうなった場合、おのずと請求できる金額も高くなっていきます。 会社の責任には、使用者責任(ある事業のために他人を使用する者(使用者)が、被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えた場合にそれを賠償しなければならないとする使用者の不法行為責任)と、職場環境配慮義務違反とがあります。いずれも実際にセクハラを行った加害者の責任と並列に認められることが多いのですが、その金額は極端に低いものと極端に高いものを除いて50万円から300万円程度が多いと思われます。 なお、慰謝料の金額の多寡は、それぞれ明確な基準で積算されるわけではないのですが、おおむねセクハラ行為の被害の実態と加害行為の態様によって差異が生じるのではないかと言われています。なお、被害者の女性が解雇された場合や不本意ながら退職に追い込まれた場合には、慰謝料のほかに解雇無効の場合にはその間の賃金請求が認められることもありますし、解雇または退職はないにしても再就職するまでの賃金相当分の保証等が認められることもあります。 また、セクハラ相談担当者の対応に不備があったとして、セクハラの慰謝料のほかに相談対応に関する慰謝料を認めた例もあります。 セクハラについては、会社内での立場等を気にしたり、恥ずかしいという思いが強かったりして、中々慰謝料請求に踏み切れない方が多くいらっしゃいます。しかし、我慢し続けていても、セクハラが終わるわけではありません。最終的に、セクハラが原因で仕事を辞めざるを得なくなるのであれば、思い切って早い段階で転職活動をしつつ慰謝料請求をするための準備を進めていくほうが、ご自身にとって幸せなのではないでしょうか。 もっとも、ご自身で会社をも巻き込んだ慰謝料請求をすることはお手間かもしれません。弁護士にご依頼いただければ、会社・加害者双方とのやり取りは全部行わせていただきます。実際にセクハラがあった等の証拠は、ご本人に用意していただかなければなりませんが、それ以外についてはほぼすべて弁護士が対応いたします。 当事務所は、企業様からの相談を多く受けております。ですから、企業様がどのような点で強いか、弱いかをよく存じ上げております。企業法務部と家事部で協力して、セクハラ被害にあわれた方の慰謝料請求に対応いたします。ぜひ一度当事務所にご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] [myphp file='link-situation']
-
夫の浮気相手から賠償金をとりたい方
A子さんは、夫の浮気が原因で夫婦仲が悪くなってしまいました。子どもの将来も考えて、離婚も検討しています。 夫の浮気相手に賠償金を支払わせることはできるのでしょうか。 ① 不貞が原因で離婚した場合 婚姻関係が破綻した原因が夫の浮気であれば、浮気には必ず相手方が存在します。第三者である浮気相手にも、慰謝料を請求できる場合があります。 浮気相手が、相手(夫)が既婚者であることを知っていて性交渉に及んだ場合は、夫もその相手も妻の権利を侵害されたと考えられるので、両方に慰謝料が請求できます。浮気相手が、相手(夫)が既婚者であることを知らなかった場合や、夫が独身だと偽っていた場合には、不法性がないとされる可能性があり、その場合には、浮気相手には慰謝料請求はできません。 ② 不貞はあったが離婚に至らなかった場合 配偶者の不貞行為により夫婦関係が破たんしかけたものの、離婚には至らなかった場合でも、不貞相手に慰謝料を請求できます。ただし、この場合も相手が既婚者と知って性交渉に及んだ場合です。 ただ、不貞行為とは、性行為またはそれに類似する行為に限られるため、ただ単にデートを繰り返しているだとか、キスだけでは不貞行為とは言えません。しかし、「夫が浮気相手とのデートに夫婦の生活費を大幅に費やしている、妻との性交渉は拒み、週末になると不倫相手とデートにでかけてしまい、家事や子育てを手伝わない」などの許しがたい状況がある場合は、性行為の有無にかかわらず慰謝料が認められることがあります。 [myphp file='link-footerban'] [myphp file='link-situation']
-
夫婦関係に干渉した姑にも慰謝料の請求ができるか
結婚後、夫の両親宅で同居することになったA子さん。姑との関係が悪く、夫婦のあり方についてまで口をはさみ、しつこく嫌がらせしてきます。 姑に反論しようものなら、夫が口を出してきて、A子さんに態度を改めよと言います。A子さんは、夫婦にとって別居することが一番の解決方法だと思い、夫に相談しました。しかし、夫は「生活費が余分にかかるだけだ」と言って全く相手にしません。 そのことが原因で、次第に夫婦仲は悪くなり、離婚を決意しました。そこで、夫と姑に慰謝料を請求したいと考えました。 親族との不和を原因とする夫婦関係の破たんは、裁判に訴えてもなかなか離婚原因として認められないものです。A子さんのように、夫婦関係に干渉してきたために夫婦仲が悪くなり、離婚を決意した場合であっても、その姑の言動が著しく不当な干渉でない限り、慰謝料を請求することは難しいでしょう。 慰謝料請求が認められる不当な干渉といえるためには、客観的に見ても限度を超えた干渉であることが必要です。姑が、主導的積極的に介入して、夫婦関係を破壊させる方向に干渉したがために、離婚するのが避けられない状況にあった場合には、例外的に認められます。 夫に対する慰謝料請求が基本で、姑に対する慰謝料請求が例外である点を十分に理解しましょう。 A子さんの場合、問題なのは姑より、姑とA子さんの関係を全く理解できない夫のほうだと考えられます。したがって、離婚することになった場合、夫に対しては慰謝料を請求すること自体は可能でしょう。姑に対する慰謝料請求は、夫への請求よりも非常に困難になります。 [myphp file='link-footerban'] [myphp file='link-situation']