慰謝料請求の手続き
慰謝料請求の手続き
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協議(話し合い)
不倫慰謝料・離婚慰謝料の金額や支払い方法に決まりはありません。金額、支払い方法、支払いの期限などは夫婦で話し合って自由に決めることができます。 協議離婚の場合、話し合いで取り決めた事項は、必ず文書にしておきましょう。執行認諾文言付公正証書(「債務不履行の場合は、強制執行をしてもかまわない」という内容の文言を入れた、公証人が作成する公文書)にしておくと、支払いが滞った場合はすぐに強制執行の手続きが取れます。 協議離婚の場合、相手への請求額は自由に決められると述べましたが、高額な慰謝料を請求しても、それに合理性がなかったり、相手にそれだけの経済力がなかったりすれば、相手が任意に支払うことはほとんどないと言って良いでしょう。 どのくらいの慰謝料が妥当なのか、ケースバイケースなので、弁護士等の専門家に一度相談したほうが良いと考えます。その際には、相手によって行われた行為の内容、それによって受けた精神的・肉体的苦痛の中身等を整理したうえで、弁護士に伝えるようにすると、相談もスムーズです。 また、当事者本人同士で慰謝料について話し合うことは、基本的には難しいと思います。なぜなら、お互いに感情的になり、ただ悪口の言い合いになってしまう場合が多いからです。 ですから、協議の時点から弁護士に依頼することによって、冷静な話し合いができます。こちらが弁護士をつければ、相手も弁護士をつける可能性が高まるので、そうなれば、お互いに冷静に話すことが可能です。 そして、相手方との連絡はすべて弁護士が行うので、ご本人に直接連絡がいかないように塞き止めることができるため、相手方と直接連絡を取らなければならないストレスから解放されます。 また、交渉段階で弁護士に依頼することによって、ご自身で調停等を申立し、何度も期日を重ねるよりも早く事件が解決する可能性があります。調停だと多くて月に1度しか期日が入りませんが、交渉であれば電話や書面を送ることで進みますので、解決スピードが速くなる可能性が高いです。 [myphp file='link-footerban'] [myphp file='link-steps']
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調停
協議での話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、離婚調停の中で話し合いを行います。同時に財産分与についても話し合うことができます。 調停が成立すると慰謝料の支払いについて記載された「調停調書」が作成されます。調停調書は判決と同じ効力があり、慰謝料が支払われない場合には強制執行の手続きをとることができます。 家事調停は、夫婦、親子、親族などの間のもめ事について、家事審判官(裁判官)と民間から選ばれた調停委員が間に入り、非公開の場で、それぞれから言い分をよく聴きながら、話合いによって適切で妥当な解決を目指す手続です。調停委員の人格や様々な分野における豊かな知識経験を生かした弾力的な解決を図ることができます。 調停は、平日で、おおむね1回2時間程度です。当日は、調停委員が中立の立場で、それぞれから話を伺います。原則として、話は別々に伺い、一方の意見を他方に伝える形で交互に進めます。調停委員には秘密を守る義務がありますので、調停の内容が外部に漏れることは一切ありません。 調停の結果、話がまとまった場合は調停成立となり、合意ができた内容を記載した調停調書が作成されます。調停調書に記載された内容は、裁判の判決と同じ効力を持ちます。 話がまとまらない場合は調停不成立となり、手続は終了します。この場合、一定の事件(子の監護に関する事件(養育料、子との面接交流)、親権者の指定・変更、婚姻 費用(生活費)分担事件など)は自動的に審判手続に移り、さらに審判(裁判)が行われ終了することになります。その他の事件(例えば、離婚などの人事に関する事件)については、家庭裁判所に訴えを提起することにより、訴訟(裁判)によって解決することができます。 家事調停は、訴訟と比較すると申立手数料も安く(1件1200円/印紙代)、訴訟のように複雑な手続は定められていません。したがって、法律に詳しくない人でも容易にこの手続を利用することができます。 家事調停を利用するためには、調停申立書を管轄する裁判所(基本的には、相手方の住所地を管轄する裁判所)に提出する必要があります。 家庭裁判所には、記入しやすい定型の申立書が備え付けてありますので、これを利用することができます。また、裁判所のウェブサイトにも家庭裁判所の手続に関する説明や代表的な家事事件についての申立書用紙、記入例も掲載しています(上記用紙についてはダウンロードもできます)。 なお、申立ての際は、収入印紙(申立手数料)、郵便切手、戸籍謄本等の書類の提出が必要になりますので、最寄りの家庭裁判所にお問い合わせください。 もっとも、交渉がこじれて調停を申し立てたり申し立てられたりしているわけですから、調停を行うにしても、弁護士を入れるメリットは十分あります。ご自身のお考えになられていることを弁護士が法律的に組み立てて、調停委員に合理的に説明をいたします。調停では、基本的にはご本人が毎回出席する必要はなく、最初と最後の期日など、重要な場面で、できるだけ出廷していただければ十分です。 また、調停では書面のやりとりを行うことがありますが、弁護士が書面を作成することによって、端的にこちらの請求や反論を述べ、限られた時間の中で行う調停手続きを円滑に進められます。 交渉では話がまとまらないと感じたら、ぜひ一度弁護士にご相談することをお勧めします。弁護士が、まだ交渉を続けるべきか、調停をしなければいけない段階か、メリットやデメリットをすべてお伝えして、ご相談に乗らせていただきます。 [myphp file='link-footerban'] [myphp file='link-steps']
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裁判
調停が不成立に終わった場合は、審判に移行することは少なく、通常、離婚を希望する側が訴訟を起こします。離婚が裁判にまで及んだ場合は、慰謝料についても判決で決定されます。 判決が上訴されず確定すれば、慰謝料金額が決定します。また、裁判手続き内で双方が合意に至れば、和解により結論を出すこともできます。 裁判で慰謝料額を決める要素としては 相手の違法行為の内容と責任の度合い 相手の違法行為によって受けた精神的苦痛の程度 結婚期間 子どもの有無 当事者の年齢 当事者の社会的な地位や経済状況 等があります。離婚請求の原因である事実によって生じた損害賠償請求は、離婚請求と合わせて提起することができます。 裁判では、訴えた側(原告)が訴状を裁判所に提出し、訴えられた側(被告)が答弁書を裁判所に提出することで始まります。それ以降、基本的には互いに書面によって裁判を進めていきます。裁判官は事実認定・法的な判断を行いますので、当事者による法的主張立証が不可欠です。ですから、裁判をご自身で行う(「本人訴訟」と呼びます)方は、それほど多くはありません。 また、弁護士に依頼することによって、弁護士がご本人から聞き取り→書面作成→ご本人のチェック→裁判所への提出→相手方からの反論書面→ご本人からの聞き取り→書面作成→ご本人のチェック→再反論…(この繰り返し)というプロセスを踏めばよく、基本的にはご本人は裁判所に出向く必要はないため、手続き的にはご本人への負担は少なくなるかと思います。 もっとも、尋問期日というものがあり、ご本人や証人に弁護士や相手方、裁判官からお話を聞かれる場合もあります。その場合にはご本人に裁判に参加していただく必要がありますが、そう何度もあるものではありません。 しかし、証拠集めについてはご本人の協力なくしては弁護士も対応できません。裁判所も、証拠がない場合には、よっぽど合理的な理由がない限り、その事実があった、ということを認定してくれません。例えば、DVであれば殴られた際のあざの写真、保護命令を受けていることを証明する資料、不貞行為であれば交際相手との写真、メッセージのやりとり、ラブホテルの領収書等が証拠となります。 裁判所が当事者の主張立証が尽くされたと判断されたならば、弁論は終結し、判決が言渡されます。訴訟が終了すると、判決正本が当事者双方に送達されます。さらに、判決内容に不服がある場合は、判決書の送達を受けた日から2週間以内に控訴することができます。 裁判を行うまで夫婦間の中がこじれてしまったならば、弁護士に依頼することを強くお勧めします。交渉・調停はいわば当事者間のお話し合いですが、裁判は、事実を認定して法的な判断をする場です。ですから、こちらも有用な証拠を提出し、きちんと法的な主張をする必要があります。 法律を扱うのが弁護士の仕事です。裁判を起こしたい、起こされてしまった、といった場合には、無理にご自身でご対応されず、弁護士に依頼してみてはいかがでしょうか。 [myphp file='link-footerban'] [myphp file='link-steps']