モラハラと証拠

1.モラハラを理由に離婚や慰謝料が認められるのか。

「モラハラで離婚ができますか?」

「モラハラで慰謝料が取れますか?」

モラハラの離婚相談をお受けするに際して最も多いご質問の一つです。

お答えとしては、「離婚ができる場合もある」、「慰謝料が取れる場合もある」ということになります。ではどのような場合であればモラハラを理由に離婚が認められたり、慰謝料が認められたりするのでしょうか。

そもそも、「モラハラ」自体は具体的な行為ではありません。例えば暴言、無視、人格非難等の具体的な行為の内、対等な夫婦関係では到底行われないような行為の総称を近年モラルハラスメント、すなわちモラハラと呼んでいるものと思われます。

対等な夫婦関係の中で相互に言い合っているような場合は、いわば夫婦喧嘩として評価され得る反面、対等な夫婦関係に無い中で、一方的に上述の行為が繰り返されており、その内容が法律上の不法行為とまで評価されるような場合は、モラハラを理由に離婚や慰謝料が認められる可能性は十分あります。

しかし、どれほどそのような事実があったとしても、モラハラ夫に「あなたはこのようなモラハラをしてましたよね。」と確認しても、「そうですね。ごめんなさい。私が悪かったので許してください。」などとモラハラ夫が認める可能性は殆どありません。モラハラ夫は自分自身が悪いことをしているとは一切認識してないことが殆どですので、どれほどモラハラの事実を主張しても、相手は否定するばかりで話は進みません。

そのような場合、最終的にはいわゆる裁判の中で、モラハラ行為があったのか無かったのかを判断することになります。そして、裁判の中で事実の有無を判断する場合、いわゆる「証拠」が存在することが不可欠です。残念ながら、どれほどモラハラの内容が真実で凄惨なものであったとしても、相手が否定する限り、証拠がなければ裁判では事実と認めてもらえる可能性はとても低くなります。

では、どのような証拠がモラハラの証拠として適切なのでしょうか。

2.モラハラの証拠例

⑴ 録画・録音

いままさに暴言や人格非難が行われている瞬間の動画や録音はとても有力な証拠となります。具体的な声の大きさやトーン、その場での相手の雰囲気などが臨場感を持って伝わってきます。

最近は技術の発達に伴い、以前より録画・録音はスマートフォン一つで簡単にできるようになりました。とはいえ、いつ起こるか分からないモラハラの録画・録音を行うことは容易ではありません。また、どれほど構えていても、いざその場面に直面すると、相手に対する恐怖から、とても録画や録音などできないという方も多いかと思います。

録画・録音が一番の証拠ではありますが、あくまでご自身の身体的、精神的安全を第一にご準備いただくようお願いいたします。

⑵ メール、LINE、その他メッセージのやり取り

当事者間でやり取りしているメール等のやり取りの中で、一方的かつ継続的に暴言や人格非難等の内容が多数記載されているような場合は、そちらも重要な証拠となります。そのようなメッセージが残っていること、それを見返すこと自体がとても辛い体験だとは思いますが、こちらも非常に重要な証拠となり得ますので消さずに取っておいていただくようお願いいたします。

⑶ 日記、メモ等

モラハラの証拠として、「その都度日記に記入をしておきました。」と仰ってくださる方が多数いらっしゃいます。おそらくその内容は真実なのでしょうし、大変な思いの中、少しでも良い結果に繋がるよう作成されたのだと思われます。

しかし、裁判において、ご自身が作成された日記やメモ等の内容について、裁判所にはあまり重要な証拠とは考えていただけません。客観性が担保されておらず、証拠としての価値が相対的に低いと考えられる為です。

他方で、ご自身が弁護士に相談されるにあたって、具体的な経緯やお気持ちをしっかりお伝えする為には重要な資料となります。

3.最後に

モラハラを理由に離婚や慰謝料を認めてもらうのは決して簡単なことではありません。いわゆる別居前の段階より、裁判においても通用するような証拠をしっかり準備していく必要があります。

どのようなモラハラがあり、どのような証拠があるかで結果は大きく変わりかねません。モラハラを理由に離婚や慰謝料請求を考えられている方は事前に当事務所の弁護士にご相談ください。

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