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譲渡担保

「担保権」という言葉からは、債務者が対象物の所有権を保有したまま、その使用を継続し、債務不履行が生じた場合には、担保権が実行され、債務者は目的物の所有権を失う、という内容を想像されることと思います。
典型的な例としては抵当権が挙げれられます。
抵当権は、設定することのできる対象物が限定されており、動産に設定することはできません。
例えば、高級腕時計を所有している方が、それを担保に資金調達を図るために抵当権を利用することはできません。
動産に担保権を設定する場合には質権を利用することになります。
ただし、質権は目的物を債権者に引き渡す必要があるため、債務者は目的物を使用できないという難点があります。
以上のように、抵当権は動産には設定できず、他方で、質権は目的物を使用することができないもので、それぞれ難点があります。
それらの難点を補うものとして「譲渡担保権」があります。
譲渡担保とは、債務者が目的物の使用をしたまま、その所有権を債権者に譲渡することにより、担保の目的を達成させようとする契約で、目的物には動産も含まれます。
以下、譲渡担保契約を締結する際に、特に重要となる点について解説します。

1. 担保される債権(被担保債権)を明確にする

特定の債権の担保とすることを目的とした契約ですので、どの債権を担保するものなのか(被担保債権)を明示することが重要です。
「本件譲渡担保は、甲乙間の●年●月●日付●●契約に基づく●●債務を担保する。」などと、当該担保契約がどの債権を担保するものなのか、契約書内で明示する必要があります。
なお、被担保債権の特定は、その契約日、契約内容等を明示することにより、他の債権と区別できるようにすることが重要です。

2. 譲渡担保であることを明確にする条項

譲渡担保契約は民法上に定められた契約類型ではありませんので、それが譲渡担保契約であることを明示しておく必要があります。
例えば

  • 乙は、甲に対し、本件債務の担保とするため、本件動産を譲渡担保として差し入れる。
  • 乙は、甲に対し、前項に基づき、本件動産の所有権を譲渡し、甲はこれを譲り受けた。

といった条項の設定が必要です。

3. 占有方法に関する条項

譲渡担保は、担保権を設定した後も債務者が当該目的物を継続して使用することが可能です。
他方、債権者(譲渡担保権者)はその目的物の引渡しを受けなければ、第三者に対して、自らがその物の所有者であることを主張できません。
債権者が確定的に第三者に対し所有権を主張し、かつ、債務者が目的物の利用を継続するという一見矛盾する2つの要請を実現する方法として、「占有改定」があります。
占有改定とは物理的な目的物の移動を伴わないものの、債務者が債権者のために占有するという合意をすれば、引渡しがあったとみなす方法です。
契約書においては、
「債務者は、債権者に対し、本件動産を占有改定の方法により引き渡し、債務者は以後債権者のために債権者に代わって本件動産を占有する。」といった規定をします。
なお、占有改定は物理的な占有状態に変化が見られないことから、目的物にラベルを貼る・札を立てるなどの表示を施すことが必要です。
契約書には、「債務者は、本件動産が債権者の所有にかかる物件であることを第三者に対して明示するため、本件動産にラベルを貼付する等、適切な方法により公示をしなければならない。」など、表示の方法についても規定をしておきます。

4. 債務弁済後の条項

債務が全て弁済されれば、担保の目的が達成され、債務者にその所有権が回復されます。
そのことを明示するため、「本件動産の所有権は債務者が本件債務を遅滞なく弁済したとき、その弁済が完了したのと同時に債務者に移転する。」といった規定を盛り込みます。
また、占有改定によって債権者のもとにある移転してしまっている目的物の占有を債務者に戻す必要もあります。
「本件債務の弁済が完了したとき、所有権移転時をもって、本件動産の占有も債権者から債務者に移転したものとみなす。」などと契約書にも明示しておきます。

5. 担保目的物の処分についての条項

債務者が債務を履行しない場合、債権者が担保目的物を処分することにより、債権の回収を図ることができます。
債権回収手段として、具体的には①目的物を売却処分する方法(「処分清算型」といいます。)②債権者が目的物の所有権を確定的に取得する方法(「帰属清算型」といいます。)の2つの方法があります。
なお、債権者が処分清算型か帰属清算型のいずれかを選択できる、と定めることも可能です。

6. 最後に

譲渡担保契約は実際上の必要性から認められるようになった権利の1つです。
そのため、内容について当事者間で柔軟に定めることができる点に特長があります。
もっとも、かなり技術的な内容となりますので、契約内容の確認、契約書作成につきましては、ぜひ弁護士にご相談ください。

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