破産・再生Q&A
ここでは、一問一答形式で破産や個人再生についての疑問を解決していきます。
第1 個人・法人共通
Q1
債権者から取立て(自宅への訪問・職場への電話など)があり怖い思いをしています。取立てをやめさせることはできますか。
A1
受任後は速やかに「受任通知」という、取立てをとめる為の通知を債権者あてに郵送します。 受任通知を送付された債権者は、以降本人に対して取立てをすることはできません。
Q2
弁護士費用が一括ではお支払いできません。
A2
当事務所は、弁護士費用の分割支払いが可能です。
Q3
破産手続中に保険金を受け取った場合、その保険金を使うことはできますか?
A3
できません。保険金や解約返戻金は、原則として債権者にお支払いをするための 原資となるものです。ただし、一定の場合には裁判所の許可を得た上で、破産者の自由財産として利用可能な場合もありますので、弁護士にご相談ください。
Q4
大変お世話になった方や親族からの借金があります。それを何とか返済しながら破産手続を進めることはできないでしょうか?
A4
お世話になった方や親族であっても、他の一般債権者と何ら違いはありませんので、その方々だけにお支払いすることは認められません。お支払いをしてしまった場合には、額によってはそのお世話になった方や親族に返金して頂くこともありますので、かえって迷惑をかけてしまう可能性すらあります。
Q5
負っている債務について、保証人がついております。保証人に破産手続が知られるのでしょうか?また、保証人に迷惑はかけてしまうのでしょうか?
A5
ご本人が破産したとしても、保証人の債務は残りますので、保証人に知られることは避けられません。しかし、当事務所では保証人の債務について、例えば金融機関と事前に交渉するなど、本人の破産による保証人への影響を最小限に抑えるご相談も承っております。
Q6
管財人の先生を選ぶことはできますか。
A6
管財人は裁判所が選任しますので、原則として破産される方が管財人を選ぶことはできません。ただし、関連する倒産事件との関係などによっては、特定の管財人を選任してもらうよう裁判所に申請することができます。
Q7
破産した場合に新たな職に就くことは可能でしょうか。
A7
破産は生活の再出発の機会を債務者に与える制度ですので、新たに職に就くことは可能です。もっとも、職場によっては破産した方を雇用できない場合や、破産によって公的資格が失われるものもありますので注意が必要です。
Q8
債権者集会は一人で出席しなければならないのでしょうか。
A8
当事務所の弁護士が申立代理人として出席いたします。
第2 自己破産
Q1
費用はどのくらいかかりますか?
A1
裁判所に納める費用は、めぼしい財産がなければ数万円で申立てが可能ですが、一定程度の財産がある場合には20万円は必要になります。他方、弁護士費用についても20万円程度となっておりますが、分割支払い等のご相談も承っておりますので、当事務所までご相談下さい。
Q2
手続にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
A2
事案にもよりますが、申立てをしてから3ヶ月程度はかかります。もっと早く終結できる場合もあります。
Q3
破産をしたら、住民票や戸籍に記載されるのでしょうか。
A3
官報には公告されますが、住民票や戸籍に破産の事実が記載されることはありません。
Q4
勤務先に内緒で破産をすることは可能ですか。
A4
ほとんどのお客様が勤務先に知られることなく、破産手続を終えています。ただし、勤務先からの借入がある場合には、勤務先も債権者に該当するため注意が必要です。
Q5
ローンが残った自動車は支払いを続けて、ほかの債務だけ破産手続の対象とすることはできますか。
A5
破産手続は、すべての債権者を平等に扱うのが原則ですので、特定の債務だけ破産手続の対象とすることはできません。
ただし、ローンを第三者が弁済することでお客様についての債務をゼロにして、自動車を手元に残すことが可能な場合もあります。詳しくは相談時にお尋ねください。
Q6
破産を申し立てた場合、現在の住所を変更することができますか。
A6
可能ですが、裁判所に届け出る必要がございますので、事前にご連絡下さい。
Q7
破産手続を検討しておりますが、今回で2度目となります。再度破産手続を申し立てることはできますか。また、申立てができる場合、管財事件になりますか。
A7
一度破産手続も利用された方は、その後原則7年間は破産の申立てをすることができません。また、過去に破産手続を経ている場合には、初めての申立てよりも破産手続における裁判所の審査も厳しくなることは否定できません。しかし、当事務所では、管財事件にならなかった事例もあります。まずはご相談下さい。
Q8
債権者から給料を差し押さえられています。差し押さえをやめさせることはできますか。
A8
強制執行(給与差押え)手続きは、「破産手続開始決定」によって中止をすることができます。
Q9
免責不許可事由(ギャンブルや浪費による借り入れ、年収等を偽って融資を受けたこと等)がありますが免責をうけることができますか。
A9
当事務所で破産申立をしたお客様は免責をうけることができているケースが多数あります。
ただし、個々の事情に応じて任意整理や個人再生等の手続きをお勧めする場合もございます。
Q10
未納の税金があります。破産手続を経れば支払わずに済むのでしょうか?
A10
租税債権は免責されません。従って、破産手続を経ても税金は支払わなければなりません。
Q11
亡き父母名義のままの不動産がありますが、これはどうなりますか?
A11
ご父母名義の不動産はご父母が亡くなられたと同時に相続の対象となります。そのため、名義が残ったままであっても、その法定相続分についてはご自身の財産とみなされます。従って、当該不動産が一定程度の価値を有する場合には管財事件となって、換価の対象となります。もし、その不動産が換価されることによって第三者の所有となることをお望みでない場合には、適正価格で親族等に任意に売却した上で、破産申立をすることも可能です。ただし、その売却の内容によっては破産手続上認められない場合もありますので、当事務所までご相談下さい。
Q12
借金がそれほど多額ではないのですが、破産手続を申し立てることはできますか?
A12
破産の申立てが可能かどうかは、ご本人の収入から見て債務を一般的かつ継続的にお支払いできないかどうかで判断されます。従って、借金が多額でなくともご本人の収入が少なければ破産手続を申し立てることはできます。
Q13
現在家賃を滞納していますが、今の家に住み続けることはできますか?
A13
家賃の滞納が続いて退去を迫られることは破産手続の場合であっても同様です。もっとも、家主の方と協議をすることにより、今の家に住み続けることができる場合もありますので、ご相談下さい。
Q14
破産した場合、現在勤めている会社は辞めなければならないのでしょうか?
A14
破産したからといって、法律上直ちに現在の会社を辞めなければならない訳ではありません。しかし、職場によっては破産した方を雇用できない場合や、破産によって公的資格が失われるものもありますので注意が必要です。
Q15
銀行から借入れしている場合に破産したら当該銀行で開設していた口座は使えますか?また、当該銀行で新たに別口座を開設することは可能ですか?
A15
一旦凍結される場合もありますが、最終的には使えるようになります。また、別口座を開設することも可能です。
第3 個人再生
Q1
費用はどのくらいかかりますか?
A1
事案によりますが、裁判所に納める費用は5万円前後で申立てが可能です。弁護士費用については、30万円~40万円かかりますが、分割支払い等のご相談も承っておりますので、当事務所までご相談下さい。
Q2
手続にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
A2
事案によりますが、申立てをしてから再生計画案が認可されるまでに、約3ヶ月程度はかかります。また、破産と異なり、3~5年間、再生計画案による弁済期間が続きます。
Q3
個人再生によって、どのくらい債務をカットすることができますか?
A3
申立てをする個人再生手続の種類にもよりますが、8割近く債務をカットできることが多いです。例えば、当事務所での例として、総債務額600万円を個人再生手続によって120万円に圧縮したものがございます。債務をカットできる割合は負債総額によりますので、詳しくは当事務所までご相談下さい。
Q4
作成する再生計画はどのくらいの返済期間で定める必要がありますか?
A4
原則3年間です。特別の事情がある場合には5年にまで延長することが可能です。また、弁済期については3ヶ月に1回以上到来する分割払いであることが要求されております。
当事務所の実例で、通常36回(3年間)で返済すべきところ、48回(4年間)での返済になるよう裁判所に延長申請をして許可を得ているものがあります。これにより、より無理のない返済スケジュールを策定することが可能となりました。
Q5
生活保護や年金による収入しかありませんが、個人再生手続を利用することは可能ですか。
A5
年金収入であれば個人再生手続を利用することが可能ですが、生活保護しか受給しておらず他に収入がない場合には同手続を利用することはできません。
Q6
住宅ローンは払い続けて、自宅を確保しつつ、個人再生手続を申し立てることはできますか。
A6
できます。個人再生手続はまさにこのような場合を念頭に置いた手続ですので、是非当事務所までご相談下さい。
第4 法人破産
Q1
費用はどのくらいかかりますか?
A1
法人の場合、債権者数や負債総額によって費用が決定されますが、裁判所に予納する費用として少なくとも20万円は必要になります。また、弁護士費用については分割支払い等のご相談も承っておりますので、当事務所までご相談下さい。
Q2
手続にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
A2
事案にもよりますが、申立てをしてから3ヶ月程度はかかります。早ければもっと早く終結できる場合もあります。逆に、法人の資産や負債が多ければ多いほど手続は長くなる傾向にあり、場合によっては1年近く要する場合もあります。
Q3
法人についても非免責債権や免責不許可事由はありますか。
A3
ございません。法人が破産手続をとると手続が終結した段階で法人が消滅することになりますので、個人の場合と異なり、免責という概念がありません。従いまして、法人の債務を保証されている個人の債務は残りますが、それ以外は法人の債務を個人が引継ぐことはなく、法人の債務は当然に消滅することになります。
Q4
従業員に対する未払いの給与があります。残っている預金などで先に支払いをしてもよろしいでしょうか。
A4
できません。従業員に対する未払給与も、「債務」に該当するためほかの債権者と平等に扱う必要があります。もし、一部の債権者にだけ返済をした場合、返済を受けた債権者(この場合ですと従業員)が、返済された金銭を返却しなければいけなくなります。
未払給与については、「未払賃金立替払制度」の利用が考えられます。これは、全国の労働基準監督署等が実施しているもので、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立て替える制度です。破産申立日の6ヶ月前の日から2年の間に退職した方であれば、この制度を利用することが可能です。
Q5
従業員は解雇しないといけないのでしょうか。
A5
通常解雇することになります。また、未払いの給与は、「債務」に該当致します。
勤務先が倒産するということは、従業員に対しても経済的・精神的ダメージが大きい出来事ですので、事前に説明を尽くす必要があります。当事務所では、従業員の皆様への説明サポートや問い合わせへの対応も行っております。
Q6
取引先からの売掛金の回収が未了のまま破産手続を申し立てることはできますか。
A6
可能です。ただ、申立前であればお取引先から当事務所の預り金口座に売掛金をお振込みいただき、申立後であれば管財人に引き継ぐことになります。