労働訴訟をおこされたら
本稿では、解雇を巡る紛争を例に労働訴訟について解説します。
1.労働訴訟の流れ
解雇の有効性が争われる場合、従業員は、解雇無効を理由として従業員の地位を有することの確認を求めます。同時に、解雇が有効であることを前提として、未払いとなっている賃料の請求もされることが一般的です。
訴訟においては、原告(従業員)と被告(会社)がそれぞれの主張を書面で提出し、各自の主張を基礎づける証拠について取り調べがされます。また、進行によっては証人尋問もされます。
多くの事案では、話し合いによる解決が図られ、会社側が従業員に対して一定程度の和解金を支払う形で終了することが大半です。
2.労働訴訟の争点
解雇の有効性について訴訟で争点となる事項を解説します。
1) 懲戒解雇の場合
懲戒解雇が有効となるには以下の要件を満たすことが必要です。
- 懲戒解雇の根拠規定があること
- 懲戒事由が存在すること
- 解雇が社会通念上相当であること
解雇は労働者の地位を失わせるという重大な不利益をもたらすものです。そのため、その有効性については高いハードルが課せられています。訴訟ではこれらの要件を満たすかが争点になります。
2) 普通解雇の場合
普通解雇の場合、解雇予告手当を支払うか、遅くとも30日前に解雇の予告をしなくてはなりません。また、懲戒解雇の場合と同様、解雇が社会通念上相当であることが必要となり、訴訟でもこの点が争われる傾向になります。
3) 整理解雇の場合
整理解雇も普通解雇の一種ですが、経営不振を理由とする人員整理の一環として行われる点が異なります。判例の蓄積により、整理解雇の有効性についての要件は以下のとおり整理されました。
訴訟ではこれら要件を満たすかが争われることになります。