賃金仮払いの仮処分
賃金仮払いの仮処分への対応の流れについて
1. 賃金仮払いの仮処分とは
2. 仮払いを免れるには
3. 仮処分の手続きへの対応
1. 賃金仮払いの仮処分とは
訴訟はある程度の時間を要する手続です。判決が出されるまで約1年の時間がかかることもあります。解雇されて生計を立てる術を失った労働者にとっては、1年という期間は重い負担となります。そこで、判決が出るまでの間、使用者に対して仮に賃金を支払うことを強制する手続が法定されています。それが賃金仮払いの仮処分です。
2. 仮払いを免れるには
賃金の仮払いは「債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするとき」に認められます(民事保全法23条2項)。
ここでいう債権者とは労働者のことです。そして、労働者に資産がある場合や他の会社に正社員として雇用された場合、そもそも近親者の収入で生計を立てていた場合は、上記の要件に該当しないとして、仮払いを免れる可能性があります。
また、仮払金の額は労働者とその家族の生計を維持するために必要な額に限定されるため、上記のような事情を主張立証することで、仮払いを免れなかったとしても会社が支払う金額を抑えることができます。
3. 仮処分の手続きへの対応
仮処分の申し立てがされると、裁判所が審尋期日を決定し、会社に呼出状が送付されます。
その後、審尋期日では相手側の主張に反論することになりますが、その際、裁判所から和解案を提示されることもあります。和解に応じるべきか否かは慎重に検討する必要がありますので、事前に弁護士にご相談されることをお勧めいたします。