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労働者派遣のイロハのイ

労働者派遣のイロハのイ

現在、労働者派遣なくして、日本社会は成り立たないといっても過言ではないほどに、派遣が一般に浸透しているかと思います。ただ一方で、労働者派遣については、法令が複雑であり、さらに法改正が度々為されるため、非常に分かりにくい制度となっております。

この記事では、労働者派遣の基本中の基本を押さえてもらうことで、現在の規制を理解するための足掛かりとしていただくとともに、法改正に対応いただく一助となればと思います。

1. 労働者派遣

1-1. 「労働者派遣」の定義

労働者派遣とは、①派遣元が雇用する派遣労働者を、当該雇用関係の下に、かつ②派遣先に指揮命令を受けて、派遣先の労働に従事させることをいい、③派遣先に対して派遣労働者を約してするものを含まない、とされています。

1-2で、もう少しわかりやすく説明しますが、図にした場合、このようになろうかと思います。

「労働者派遣」の定義

1-2. 「労働者派遣」のポイント

労働者派遣のポイントは、①派遣元と派遣労働者との間に労働契約があること、②派遣先に指揮命令を受けること、③いわゆる出向を含まないことの3つに分けることができます。

  1. 派遣元と派遣労働者との間に、雇用関係があること

    ①は、比較的わかりやすいかと思います。派遣元と労働契約が結ばれたまま、派遣先で業務に従事する点がポイントとなります。派遣元と雇用関係があることで、労働契約上の義務は原則として、派遣元に課されます。

  2. 派遣先に指揮命令を受けること

    普通の雇用契約では、雇用主が指示し、監督する、ということになりますが、労働者派遣の場合は、労働者との間で、直接の雇用関係、契約関係がないにもかかわらず、指揮命令をすることとなります。
    これは、派遣元と派遣先が労働者派遣契約を結んでいることから、指揮命令が可能となります。

  3. いわゆる出向を含まないこと

    いわゆる出向の場合は、例えば、親会社から子会社へ出向する場合、子会社が出向した者を雇います。③は、親会社と子会社の両方と雇用契約を結んでいるような場合を除外する、という規定になります。

1-3. 派遣元、派遣先の負うべき義務

派遣元、派遣先の負うべき義務

派遣元と派遣労働者との間に労働契約がありますので、賃金の支払、労働基準法などの労働関連法規に基づく雇用主の責任も、原則として、派遣元が負います

ただし、派遣労働者は、派遣先の指揮命令下に入りますので、実際は、派遣先で勤務しているのと同様の状態となります。つまり、労働者の実際の管理をすることが容易かつ実効性があるのは、派遣先ということは、すぐに想像できることと思います。

そこで、法令は、派遣法第44条から第47条の2で、特例を設け、一定の義務は、派遣先が負担するものとしております。例えば、労働時間管理や休日に関する事項、現場における危険防止措置義務は、派遣先が負担します。

注意すべき点は、①時間管理に関して、いわゆる36協定を提出するのは、派遣元である、②年次有給休暇の申請を受ける、③労働保険や社会保険の加入も派遣元が負うなど、上記の説明からすると、派遣先が負担するかのような義務が派遣元の義務となっていることです。

派遣を受ける会社にとっても、いかなる義務を負担しなければならないのかについては、専門家の意見を参考にすべきでしょう。

1-4. 派遣元と派遣先の双方が連携して実施すべき重要事項

妊娠・出産にかかる不利益扱い、いわゆるセクハラに関する配慮措置などについては、派遣元、派遣先双方が責任を負いますが、以下では、特に派遣元と派遣先が連携して実施すべき事項のうち、重要な事項を取り上げます。

  1. ア.労働者派遣契約の内容につき、適正の確認

    特に休業手当の支払等、労働者派遣契約の中途解約に伴い生じた派遣元の損害の賠償を派遣先が行うことを、派遣契約に定めることが推奨されている、という点については、派遣元、派遣先双方留意が必要です。

  2. イ.労働時間についての連絡体制の確立

    36協定に関する情報共有及び実際の労働時間の把握などが特に留意が必要かと思います。

  3. ウ.年休の取得に関する協力

    上記でも少し説明しましたが、年次有給休暇の申請先が派遣元であることから、実際の業務量の調整など、派遣元及び派遣先の協力が求められます。

  4. エ.健康診断に関する協力や配慮

    派遣労働者が、派遣先事業者の雇用する労働者と同様の健康診断を受診できるよう、配慮が求められています。その際に、派遣先は医師からの情報提供などについては、極力派遣元へ協力すべきです。

  5. オ.長時間労働に関する面接指導に関する協力と配慮

    上記面接指導への協力のみならず、その前提となる情報の提供につき、派遣先は協力を求められます。

2. 労働契約申込みみなし制度

労働者派遣において、派遣労働者を受ける会社が特に注意すべき点は、労働契約申込みみなし制度でしょう。

2-1. 概要

労働契約申込みみなし制度

労働契約申込みみなし制度とは、派遣先等が違法派遣を受けた時点で、派遣先等が派遣労働者に対して、派遣労働者の雇用主との労働条件と同じ内容の労働契約の申込みをしたとみなす制度です。

これは、労働契約申込みみなし制度が適用されると、派遣労働者が労働契約の申込みを承諾した場合、派遣先の会社と派遣労働者との間で労働契約が締結されることとなります。

2-2. 労働契約申込みみなし制度の留意点

労働契約申込みみなし制度の適用を避けるのであれば、以下の点について気を付ける必要があります。

ア.違法派遣にあたらないこと

違法派遣とは、派遣法40条の6に規定されている以下の類型を言います。

  1. 派遣労働者を禁止業務に従事させること
    例えば、建設業務、警備業務、などが挙げられます。
  2. 無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること
  3. 事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
  4. 個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
  5. いわゆる偽装請負等
イ.善意無過失であること

簡単にいうと、違法派遣にあたることを知らず、かつ知らなかったことについて、無過失であった、という場合には、労働契約申込みみなし制度の適用を免れることができます。

これら5つの類型のうち、⑤は、偽装請負の記事に譲りますが、①から④について、簡単にポイントを挙げておきます。

①、②について

①は、明確に禁止業務が決められているので、問題となるケースは比較的少ないでしょう。②についても、「人材サービス総合サイト」という厚生労働省が運営するサイトで、許可を受けているかどうかについては、確認することができます。

従って、違法派遣にあたることを知らず、かつ無過失だったということは難しいと思われます。

③、④について

派遣先会社にとっては、③、④について、派遣先責任者を選任することが義務となっており、派遣法等の法律の内容を周知されることとなっておりますので、事業所単位の場合と、個人単位の制限期間について、確認をし、違反しないようにする必要がありますし、確認しなければ、過失がなかったとは言い難いと思われます。

3. 最後に

労働者と使用者との間では、これまでの度重なる法改正や裁判例の積み重ねから、多くの権利義務関係のもとで成り立っています。労働者派遣は、それに加え、派遣先が加わることで、より法律関係が複雑になっております。

ただ、上記のポイントを踏まえていただければ、例えば派遣を受ける会社が何を負担すべきなのかなど、見えてくるものがあろうかと思いますが、安易に自己判断するのではなく、法改正の有無等も含め、法律の専門家に対し、相談したほうが確実かと思います。

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