0120-77-9014

取締役の責任

会社法には取締役の会社に対する責任を定める規定がいくつも存在します。その中でも重要なものは取締役の会社に対する任務懈怠責任を定める会社法423条1項です。
取締役には善管注意義務が課せられています。この義務に違反して会社に損害を与えた場合、取締役は任務懈怠責任を負い、会社に対してその損害を賠償しなければなりません。

1. 経営判断原則

経営者は、会社を経営にあたって日々様々な判断を要求されます。A社との取引関係を維持するか、B社と新規取引を行う、会社の規模が拡大したので事業所を移転する等々、判断すべき事項は多岐にわたります。事業を営んでいると、残念ながら判断を誤ったため会社に損害が生じることもあります。そのような場合に、取締役は責任を負う必要があるのでしょうか。
取善管注意義務は、あくまでも任務を行うにあたって一定の注意を尽くすことを求めるものであって、結果の保障まで求めるものではありません。
会社が利益をあげるためには一定のリスクをとらなくてはなりません。経営者は、その時点における判断材料をもとに、リスクとリターンを天秤にかけて経営上の判断を行います。その判断が誤りであると分かった段階で、事後的にその判断の当否を評価して安易に法的責任を負わせると、取締役を萎縮させるおそれがあります。
そこで、裁判例は、取締役が経営の専門家である以上、その判断には広範な裁量があることを認め、行為当時の状況に照らして経営判断の決定過程と内容が著しく不合理でなければ善管注意義務違反とならないとして、任務懈怠責任を負う場面を限定しました。 このような取締役の経営判断に広い裁量を認める考え方を「経営判断原則」といいます。

2. 取締役責任への対応

取締役は、

① 経営判断の前提となる情報の収集やその分析に過誤があった場合
② 事実認識に基づく判断が著しく不合理であった場合

に法的責任を負うことになります。
したがって、取締役としては、上記の点について適切に反論できるよう備えておくことが重要です。
多くの企業では、取締役会議事録を作成はしていても、その記載内容は簡素なものにとどまっていることがほとんどです。しかし、「第〇号議案を審議し、一同、異議なく承認した」との記載だけでは、資料収集が適切にされていたのか、案件のリスクについて十分に検討していたのか、案件が失敗した場合の対応策まで協議できていたのか等、経営判断原則を適用するに足りる根拠を示すことができません。
裁判で争われる場合に備えて、経営判断の過程を書面に残しておくことが必要ですのでご注意ください。

「会社法」の関連記事はこちら

取締役の責任

株式譲渡について

お問い合わせ

企業法務部 新規相談予約専用ダイヤル

0120-77-9014

法律事務職員による電話受付時間 平日9:00‐18:00
夜間コールセンター電話受付 平日夜間、土日祝

弁護士法人グレイス 東京オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 神戸オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 福岡オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 長崎オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 熊本オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 鹿児島オフィシャルサイト