土地建物の明け渡しの5つのステップ
不動産は資産価値の高い財産です。そのため社会生活の様々な場面で活用されます。投資用に賃貸物件を所有する。債権回収の際に差し押さえる。その活用方法は多種多様です。 一方で、不動産を巡るトラブルも数多くあります。家賃未納や不法占拠等、所有者を悩ませるトラブルは突然やってきます。このような場合であっても、所有者は法に則った手続を踏まなくてはなりません。所有者であっても、賃貸をしている以上は賃貸物件に立ち入って退去を強制することは許されておらず、場合によっては、刑事責任を問われるおそれすらあります。 以下では、不動産の明け渡しに関する手続を説明します。トラブルの際の参考にしてください。
1.物件の調査
物件の現況を把握することは極めて重要です。現地に赴いて調査をすることで、その後の手続をスムーズに進めることが可能になります。
2.内容証明郵便の発送
まずは内容証明郵便を発送して相手方に請求を明らかにしたうえで交渉を行うことが一般的です。話し合いによる解決は当事者双方にメリットがありますし、何よりスピーディな解決が期待できます。内容証明郵便は、文書の内容が証拠となるという点もポイントです。例えば、契約の解除を求める場合、内容証明郵便を発送することで、解除の意思表示をしたことを証拠として残すことができます。
3.占有移転禁止の仮処分
相手方が悪質な場合は注意が必要です。訴訟を提起して勝訴判決を得ても、占有を第三者に移転されてしまえば強制執行ができなってしまいます。
そこで、占有移転禁止の仮処分を行うことでこのような事態になることを未然に防ぎます。
4.賃料請求・明渡請求訴訟
交渉による解決が期待できない場合、訴訟を提起することになります。相手方が話し合いに一切応じなかったり、そもそも行方不明で接触も図れなかったりしても、訴訟を提起することで解決を図ることができます。
5.強制執行
誤解されている方も多いですが、裁判で勝訴判決を得たからといって、即座に明け渡しを受けられるわけではありません。勝訴判決を得た後に、強制執行手続をとることが必要です。
強制執行によって明渡手続が完了すれば、無事に不動産が明け渡されることになります。