不当な下請代金の値引きを主張する元請業者に対して下請代金全額を支払わせた事例
建設業債権回収
相談内容
相談者が元請から下請工事を受注し、工事を完成した後、元請に対し下請代金を請求したところ、元請から工事代金の値引きを迫られた。相談者が同値引きに応じない姿勢を示せば、下請代金の支払いが受けられない可能性が極めて高かったことから、どう回収すべきかが相談内容であった。
なお、この元請と相談者との間では、契約書や注文書、注文請書等の書類の授受の経緯はなく、相談者が見積書及び請求書を元請に対し、交付しているだけであった。
争点
元請からの下請代金の値引き請求は認められるか。
解決内容
相談者からの聴き取り内容に従い、下請代金全額を請求する内容証明郵便を送付後、約一週間の間、元請との交渉を継続し、相談者が求めていた下請代金の全額を回収。
弁護士の所感
下請業者が元請から不利益な内容の要求を迫られたり、不当に下請代金を減額されたりするケースは非常に多く散見されます。
下請業者と言うと、建設業が最もイメージされやすいですが、各種業務委託における委託先の業者も同様であり、これらも含めた、いわゆる「下請いじめ」は社会的にも問題となっております。建設業法、独占禁止法、下請法などの各種法令はこれら「下請いじめ」に対応するものとなっており、その法的知識が元請業者に対する有効な武器となります。
本件では、元請が契約書等、必要な書類を一切作成しないまま、見積書の内容を工事完成後になって問題視したり、不当に工事代金の減額を迫るケースであったことから、建設業法に基づく所轄官庁への事実申告も辞さない構えを示したところ、無事下請代金の全額が回収できました。