自社が所有する建物へ入居しているテナントとの交渉により、建物の賃貸借契約を解約し、最小限の立退料の支払いで早期に退去してもらうことに成功した事例
不動産業不動産問題
相談内容
自社が所有している建物にテナントが入っているが、建物の老朽化を受け、同ビルを取り壊したうえで建物を新しく建築したいと考えている。自社とテナント間で賃貸借契約を締結しているが、これを解約のうえテナントに退去していただきたい。どのように進めたらよいか。
なお、相手方はテナントに店舗として入居しており、壁面に取り外すことが出来ない鏡を取り付けているなど、完全な原状回復は難しい状況にあった。
争点
当建物の老朽化は、賃貸借契約解約の対する正当事由となるか。
立退料の支払いが必要であるとすれば、妥当な金額はいくらか。
解決内容
テナントとの交渉により、合意書の取り交わし後、7日以内に明渡しを完了させることができた。また、その際の立退料についても支払いを最小限に抑えることができた。
弁護士の所感
この事例では、相手方との交渉により非常にスピーディーに明渡しを完了させたうえで、立退料の支払いも最小限に抑える内容で合意・解決できたことが非常に大きいです。
建物が老朽化していたとしても、入居者の安全面に影響するまでに至らないケースでは、それだけで建物の明渡請求が認められる正当な事由とはならないということが実情です。その場合、入居者へ立退料を支払うことで解決することが考えられますが、金額が非常に高額となるケースが多く見受けられます。
もっとも、入居者が原状回復することが難しい状態で入居していたケースでは、その費用を請求することにより立退料を減額させる要素の一つとすることは可能です。この事例でもそういった交渉を経て、早期解決に繋げることができました。