従業員を有期雇用契約として採用した後、雇止めを行ったところ、雇用契約は有期契約ではなく無期契約であるとし、解雇は無効であるとして未払賃金を請求された事例
介護業労務問題
相談内容
相談者は有期の労働契約で当従業員を採用したものの、本人の能力が低いことと勤務中の態度を理由とした雇止めを行ったところ、当従業員より、使用者との間の雇用契約は無期契約であるとして雇止めの有効性を争い未払賃金の請求を受けた。
争点
相談者と当従業員との間の雇用契約の内容と、解雇(または雇用契約の内容によっては雇止め)が有効であるかどうか
解決内容
本件は訴訟での争いとなり、相談者が従業員へ1カ月の平均賃金に対して2カ月分にあたる金銭を支払う内容で和解
弁護士の所感
この事例は、まず、使用者である依頼者と当従業員との間で締結した労働契約が有期契約であるか、または無期契約であるのかということ自体に争いがありました。
しかし、依頼者が作成していた求人票は無期契約を前提とした内容であるなど、期限のない契約として締結されたものであるとみなされるであろうと思われるケースでした。また、解雇(または雇用契約の内容によっては雇止め)が有効であるかどうかという争いについても、使用者はこの従業員の能力不足を裏付けるような証拠を持っていなかったために、依頼者にとって不利となるケースでしたが、結果として、従業員へ支払うべき金額を減額のうえ和解が成立しました。
このようなケースは、雇用契約書等、労働契約を締結する際の契約書の内容や、従業員へ指導した事実を証拠として残しておくということをどれだけ意識したうえで日々の業務を行っているかにより、大きく結果が変わってくるものであるため、弁護士への事前のご相談があれば防ぐことができる事案です。