近隣住民の建設反対運動への対処を代理した事例
建設業その他
相談内容
建設会社が本店所在地付近の土地に複数の戸建て住宅を建設した後、建売販売を行った。その後、敷地の余剰部分を一部利用する形で、同建設会社の顧客及び同社従業員の子息を対象とした保育施設の建設を開始した。
その結果、建売住宅の購入者でもある一部の近隣住民より、保育施設が建設されることは事前に知らされておらず違法であること、騒音により快適な住環境が得難くなったことへの金銭による賠償を求められた。
争点
①建売販売の時点で近隣に保育施設を建設しない旨の約束が示されていたのか。
②保育施設の建設により違法と認められるほどの近隣住民の住環境に悪影響が生じるのか。
解決内容
相手方の要求内容の大部分を拒否する方策をとる。
弁護士の所感
①につき、クライアントから事実関係を聴取した結果、建売販売時点で近隣に保育施設を建設しない旨の約束は確認できず、常識の範囲内であっても、自己所有地の使途を大きく制約するような約束を行うこと自体が考えられませんでした。
②につき、当該保育施設は、3重にも及ぶ防音処置が講じられた特殊な構造を採用しており、法律上の賠償責任が生じるほどの事態に陥ることは想定し難い。また保育施設の現状は、工事段階にあるため一切稼働しておらず、そもそもの賠償問題などが生じるはずもない状況でした。
結果として、相手方に対しては要求を拒否する旨を伝え、他方で、保育施設の工事段階で相手方宅への損傷の有無を確認する土地家屋調査士の調査費用のみを、クライアント側にてご負担いただく形となりました。