不動産の譲渡担保権の時効を巡る事例
建設業不動産問題
相談内容
10年以上前、入社する社員の借金の肩代わりをする代わりに、会社の代表者は、社員の所有する土地を買い取った。
同社員が退社するにあたり、同社員より、同土地は譲渡担保権が設定されており、被担保債権の消滅時効が成立していることから、同土地上の登記の抹消等を求められ、訴訟提起されるに至った。どうすればよいのか。
争点
(1)同土地に譲渡担保権が設定されていたかどうか
(2)被担保債権の消滅時効は、完成しているかどうか
解決内容
相手方に、同土地を買い取らせること等で和解成立。
弁護士の所感
(1)の点に関しては、土地の登記簿上、譲渡担保権である旨が明記されており、かつ、登記を担当した司法書士が故人となっており、なぜ譲渡担保を前提とした登記がなされたのかを明らかにすることが困難な状況でした。
(2)の点に関しても、消滅時効の時効中断事由、その他反論の手段は複数あったものの、立証の観点からは、当方の主張が認められるか、不明瞭な点が多くありました。
訴訟の早い段階で、相手方に土地を買い取らせる交渉を行い、登記費用等を含め、相手方に負担させ、かつ、関連事件の訴訟提起をしないことと引き換えに、同土地の価格に反映させ、和解を成立させ、解決いたしました。消滅時効という、認められるか否かという二者択一的な解決ではなく、現実に即した解決ができた事案でした。