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電話勧誘にて求人サービス提供の提案を受けた会社が、ウェブにて同サービスの申込みをしたものの、その数日後求人の必要が無くなったことからキャンセルの連絡を入れたところ、求人サービスを提供している会社からキャンセル不可として年間利用料相当額を請求された事案

消費者トラブルサービス業

相談内容

宿泊業を営むX社は、求人サービスを提供するY社から電話勧誘を受けたところ、たまたま求人のニーズがあったことから、Y社の電話での案内に従い、ウェブ上で同サービスの申込書に代表者の氏名を入力し、Y社宛てに送信した。
ところが、その数日後、X社に求人のニーズがなくなったことから、Y社宛てに同サービスの申込みをキャンセルする旨連絡したところ、Y社はもはやキャンセルを受け付けることはできないとして、X社に対し、同サービスの年間利用料相当額を請求した。
そこで、X社が当事務所にその対応につき相談した。

                   

争点

X社のY社に対する申込みのキャンセル(撤回)は有効か。

                   

解決内容

                   

Y社との間で任意の交渉を行い、X社がY社に対して何らの支払義務も負わない内容での和解成立。

                   

弁護士の所感

                   

申込みの撤回については、民法523条以下で規定されており、具体的には、「承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない」(民法523条1項本文)、「承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない」(同法525条1項本文)等とされています。すなわち、申込みをした以上、その申込みを受けた者に生じた申込みに対する信頼を保護するため、申込みを撤回することは法律上認められる余地を狭くしているのが現在の法律です。
 
もっとも、本件では、①X社が申込み撤回の意思表示をY社に対して行ったのが、サービスの利用開始日前であったこと、②Y社の定めた規約の中に「サービス利用開始後は中途解約できない」との定めが存在しており、これを「サービス利用開始前であれば解約可能である」と反対解釈する余地があったこと等の事情があったことから、X社によるキャンセルをY社に認めさせる内容での解決となりました。
  
しかしながら、一般的に、申込みの撤回をすることは容易に認められないことは十分認識したうえで行うことが重要です。
 
なお、本件の取引は特定商取引法にいう「電話勧誘販売」に該当し得るものであり、仮にこれに該当すればいわゆるクーリングオフの問題となりますが、同法は企業間取引には適用されません。注意が必要です。

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