小売業を営む個人事業主に商品を卸していたにもかかわらず、その 個人事業主が代金を支払わなかったことから、個人事業主がその後勤務するこ とになった会社に対して有する給料債権を差し押さえたものの、同社もその支 払いをしないことから、同社に対し取立訴訟を提起し、和解した事例
債権回収その他の業務
相談内容
個人事業主Yに対して売掛債権を有していた相談者X社は、Yに対する和解調書を取得し、これに基づきYが新たに勤務することになったZ社に対し、Z社がYに支払うべき給与債権を差し押さえた。しかし、Z社はYとの雇用関係こそ肯定しながら、その支払いを拒否したことから、XはZ社を相手どって取立訴訟を提起した。
争点
Z社はXへの支払いを拒否できるか。
解決内容
Z社のXに対する支払義務を認めさせる内容の和解が成立。
弁護士の所感
適法に差押えをしたにもかかわらず、差押えされた債権の支払義務者(第三債務者といいます)が任意にその支払いをしない場合に、その第三債務者を相手取って提起する訴訟を「取立訴訟」といいます。
本件でいえば、Xが債権を有しているのはYに対してですが、Yが任意に支払いをしない場合には、XがYに対する債務名義(判決や和解調書など)を取得しそれに基づく強制執行をするほかありません。その1つの例が、Yの給料債権に対する差押えです。
もっとも、差押えが適法にできたとしても、Yに対し給与の支払義務を負うZ社がその支払いを拒否した場合には、今度はXとしてはZ社を相手に訴訟提起し、強制執行をしていくこととなります。
本件は、その訴訟提起をした事案であり、債権回収を突き詰めていった場合に参考となる事案であります。