依頼者である病院で診察を受けた患者がその支払いをせず遅滞していたものの、依頼者により本人の勤務先を特定することが出来ていたことから、本人の給与の差し押さえにより支払いを怠っていた医療費の全額を回収できた事案
相談内容
依頼者である病院から「以前、ある患者への治療をおこなったところ、当患者から『当日中に診察料を支払うことができない』という旨の申し出を受けたため、その際、当患者に対しては後払いでの診察料の精算を特別に許可したところ、当患者が本来約束したとおりの支払いをせずにいる。どのように回収すればよいか」との相談を受けた。
争点
患者に特別に許可した後払いでの医療費の支払いをせず怠っている状況で、その債権をどのように回収すればよいか
解決内容
未払いのままとなっている医療費の支払いを求めた訴訟をおこなった結果、裁判上の和解により決着し、患者に対しては医療費の分割払いによる支払をさせることが決定した。しかし、その後も患者が本訴訟による和解条項どおりの支払をおこなわなかったため、裁判所へ強制執行を申し立て、相手方である患者の給与を差し押さえるという圧力をかけた。その結果として、最終的に支払いを怠っていた医療費を全額回収することができた。
弁護士の所感
依頼者が患者に対して後払いを認めたにもかかわらず支払いを怠っていた医療費の支払い求めた訴訟をおこなった結果、相手方の経済状況を鑑みた決定として、分割払いにより医療費を完済する旨の和解が成立しました。ところが、その後、相手方は裁判上の和解内容による支払もまた怠りました。
本件では、依頼者により予め相手方の勤務先の特定ができていたため、当方から相手方の給与を差し押さえるという圧力をかけることによって、結果として任意で医療費全額の回収を実現させることができました。
本件は、相手方の勤務先の特定ができていたために、支払いを怠っていた医療費の全額回収が可能となりました。通常では相手方の財産を特定することは容易ではないケースがほとんどであるものの、本件では依頼者が事前に把握していたケースであったため、支払いを怠っていた医療費は確実に回収すべき事例であり、実際にそれを成功させることができましたので、弁護士としては出すべき結果を確実に出したと言える事案です。