レンタカー業を営む相談者がレンタカーを貸し出した顧客に対し、車両物損事故による損害、レンタル期間延長に伴う未収レンタカー代、車両の利用規約に反する使用態様に基づく違約金等を請求した事例
相談内容
レンタカー業を営む相談者Xは、顧客Yにレンタカーを貸し出した。Yは手元の現金が少額であったことから、Xは一時金だけ受領し、不足分は車両返還後に請求することとした。
ところが、貸し出しから数日後、XはYから貸出車両で物損事故を起こしたとの連絡を受けた。XはYの希望に応じ、同車両を回収したうえ、別車両を新たに貸し出すこととしたが、回収した車両を精査すると、禁煙車であるにもかかわらず車内でYまたはその同乗者が喫煙していたことが明らかになるなど、レンタカー利用規約に反する使用がなされていることが判明した。その後、XはYに対し、再三の連絡を試みるも、レンタル費用の精算もできないまま、音信不通に陥ったことから、一切の損害につき賠償請求することとした。
争点
特になし
解決内容
Yの住所地に赴き、協議によりXの主張する全損害をYに認めさせる内容の合意書を取り交わした。
弁護士の所感
債権回収事案は相手方が音信不通になることや回収可能性に問題があることが解決を困難にすることが多いです。本件は特に前者の問題が顕著な事案でした。
具体的には、相手方が相談者の連絡に一切応じないばかりか、訴訟提起をしても訴状を意図的に受領しないために訴訟手続上必要な送達が完了せず、訴訟が進行しない事態となりました。
このような場合、送達先住所を調査したうえでそこに対象者が居住していることが明らかであることを疎明することにより、訴状が裁判所から発せられた段階で送達されたことになるという制度(付郵便送達)を利用することが考えられます。
本件は弊所弁護士が送達先住所を調査するために赴いたところ、相手方と直接会うことができたため、その場で相談者の求める損害賠償を認めさせる内容の合意書を取り交わすことで、訴訟手続を利用せずに迅速に解決することができた事案でした。