「飲酒をしない」旨の誓約書を提出したにもかかわらず飲酒した管理職に対する懲戒処分の程度
労務問題人材紹介・登録支援機関
相談内容
以前から仕事中に「酒臭い」と周囲から言われている管理職がいた。度を越した行動に対し、仕事前には飲酒をしない旨の誓約書を出させたが、誓約書を出した翌日出勤前に飲酒をした事実が発覚した。会社の意向としては管理職から外し、懲戒処分を行いたいと思ってるが、他の社員からは懲戒解雇して欲しい、との話まで出ている。どう対処すべきか。
争点
「飲酒をしない」旨の誓約を交わしたにもかかわらず、それに反した管理職の懲戒処分の程度について
解決内容
懲戒処分としては「1~2日の出勤停止」が妥当な線だと考えられますが、これは就業規則の懲戒事由に該当していることが前提です。なお、降格については役職者として不適格な行いをしているので当然可能です。
いくら勤務時間前の飲酒をしないと誓約したとはいえ、私生活での飲酒に対し、直ちに懲戒解雇をすることは少々重すぎるので、相当性を欠いてしまう可能性があります。ですので、本来であれば本人に退職勧奨をし、自主退職の選択をしていただくことが望ましいです。
弁護士の所感
周囲の人間からの不満も出され、また誓約書を出した翌日の飲酒であり、かなり悪質な事案であるといえます。
飲酒など周囲に悪影響を与える行動は、懲戒処分の対象となります。しかしながら、通常であれば勤務時間外の行為に対する懲戒権は、よほど職場の名誉を毀損するような行為でない限り及びません。
勤務時間外である私生活の行為を懲戒に付す場合、先例は多数ありますが、無効とされるリスクも大きいです。
リスク回避の為にも、事前に弁護士にご相談されることをお勧めします。