退社をした元社員3人から、就業期間中における時間外手当の不払いを請求され訴訟となった案件において、大きく減額をして和解に至った事例
労務問題サービス業
相談内容
依頼者は、退社をした元社員3人から、就業期間中の時間外手当が不払いであるとして、その費用の支払いを要求する訴訟を提起された。
依頼者は元社員の3人のうち1人とは、雇用関係ではなく委託関係であるため、時間外手当は生じないと主張した。
争点
依頼者と元社員との契約関係は雇用か委託のどちらであるか。
解決内容
原告である元社員らが始めに要求していた金額を85%減額したうえで、和解に至った。
弁護士の所感
依頼者は、原告3人のうち1人とは委託関係であると主張し、原告の要求する金額が多額であったため、その認否が本件の動向を大きく左右するものでした。
時間外労働手当を請求される訴訟において、使用者側の立場での争い方は数多く存在しますが、本件のように「雇用関係にない」と主張する方法もその1つです。
今回の争点となった雇用か委託かの判断は、契約書の有無やその文言だけでなく、報酬の制度や業務を行うにあたっての場所や時間的な拘束の存否、源泉徴収や保険控除の有無、使用者の指揮下に置かれていたかなどの多くの要因をもとに判断されます。
本件では、依頼者が原告の1人との契約関係を委託であると主張し続けたことにより、要求金額を大きく減額したうえで、和解に至ることができました。