Twitter上の誹謗中傷記事に関し、被害者を代理して刑事告訴した事例
相談内容
芸能事務所を運営しているが、当社タレントの過激なファンと思われる人物がSNS(Twitter)において繰り返し、当社に関する文章を書き込んでいる。もっとも、その内容はすべて事実無根のものであり、当社の評判に不当な影響を及ぼし得るものばかりであるため、非常に迷惑している。
現在、同書込みはすでに削除されているようであるが、このような卑劣な誹謗中傷行為を許すことはできず、また今後同様の行為が繰り返されないためにも、当社としては厳しく責任追及を図っていきたいと考えている。
争点
SNS上で誹謗中傷行為をした者に対して、刑事罰を科することができるか
解決内容
刑事告訴が受理され、誹謗中傷文を書き込んだ者に対して刑事罰(罰金20万円)が下された
弁護士の所感
本件は、近年問題視されている「SNS上での誹謗中傷行為」に関するご相談でした。
本来、匿名性が高いSNS上での誹謗中傷行為は加害者の特定が難しいのですが、本事案においては、クライアントの側で誹謗中傷文を書き込んだ人物についておおよその見当がつくとのことで、まず当人に対して当事務所から、誹謗中傷行為をやめるよう警告する旨の通知を送りました。すると、当人のTwitter上にて、法律事務所から警告通知が送られてきたこと、また今後クライアントに対する誹謗中傷行為を行わないことを誓う旨の書込みがなされ、一時は解決したかのように思われました。
ところが、その後しばらくして再びTwitter上にて誹謗中傷文が書き込まれるようになったため、当事務所はクライアントを代理し、警察署に対して刑事告訴の手続を行うことにいたしました。もっとも、一般に、警察は捜査が困難であることから、いわゆるネット犯罪にかかる告訴受理に対して消極的であり、本事案についても当初は受理を渋られました。ですが、当事務所ができる限りの証拠を揃え、また訴追上での立証経路をお伝えするなど積極的に働きかけた結果、告訴を受理してもらうことができました。
その後は、警察の多大なご尽力もあり、誹謗中傷文を書き込んだ者に対して刑事罰を下すことができ、クライアントの期待に応えることができたのではないかと思っております。