建物収去明渡等請求事件
相談内容
店舗として建物を借りているが、すでに数年以上賃料を滞納している。そのような中、数千万にのぼる未払賃料の支払いおよび建物の収去明渡しを貸主から請求されてしまった。
争点
(1)建物明渡しの時期、およびそれに伴う収去費の負担について
(2)金銭の支払方法(分割での支払いの可否)
(3)保証人を免責することの可否
解決内容
まずは早急に店舗の移転先を見つけ、建物を明け渡した。
そのうえで、頭金を支払うこと、および長期分割で支払うこと等を条件に、無事に和解することができた。
弁護士の所感
(1)に関して、クライアントは当該建物を店舗として使用していたため、明渡しに先立ち別の建物を確保することが何よりの課題でした。また、遅延損害金をこれ以上拡大させないためにも、迅速な明渡しが必要とされる状況でした。
この点につき、和解交渉の過程で、近場に賃料が従来の半額以下の建物があることが判明したため、そちらへ移転することにしました。その際、移転のスケジュールを提示することで、スムーズに移転作業を進めることが可能となりました。
(2)に関して、すでに未払賃料は数千万円にまで及んでいたため、仮に和解で解決することができなかった場合、破産も視野に入れざるをえない状況でした。
(3)の点については、保証人が高齢であったため、保証人から外す方針のもと交渉を行いました。
これらの点につき、結果として上記保証人を外すことは叶わなかったのですが、クライアントの経営状況を考慮し、10年以上にわたる長期での分割に合意していただくことに成功しました。その結果、クライアントは破産を回避することができました。
なお、収去費の負担については、契約書には依頼人が負担する旨が明記されていたのですが、設備収去がむしろ今後の建物貸出において不利益になり得るということを相手方に説明した結果、別途検討していくということで落ち着きました。
このように、クライアントの営業を今まで通り継続させること、および交渉によって破産を無事回避することができたという点において、クライアントのご期待に添えた結果になったのではないかと思います。