在職中及び退職直後に従業員が顧客を引き抜いていた事例を金銭的支払いをさせることにより解決した事例
介護業労務問題
相談内容
ある施設を経営しているが、かつての従業員が、退職直前から同施設や自身について虚偽の事実を伝え、利用者(顧客)を他の施設に引き抜いていたという事実が判明した。このような不当な勧誘行為によって同施設の売上がかなり落ち込んでしまったため、同従業員に対して当該損害分を請求したいと考えている。
争点
顧客に対する上記勧誘行為が違法といえるか
解決内容
顧客に対する上記勧誘行為が不当なものであったことを謝罪させ、加えて、一定の金銭を支払ってもらうことによって和解した。
弁護士の所感
従業員による顧客への勧誘行為が違法であると認められるためには、単に引き抜かれた側(使用者)に損害が生じたというだけは足りず、その行為態様の悪質性が高いと評価される必要があります。さらに、その立証自体も困難であることから、一般に、違法性が認定されることは難しく、使用者側が敗訴することも珍しくありません。
しかしながら、本件では、勧誘にあたって虚偽の事実を用いていたという点で悪質性が高いといえる事案でした。また、それにかかる客観的な証拠も手元にあったため、これを糸口として相手方に謝罪させること、および金銭を支払わせることができ、良い解決ができたのではないかと考えています。