借入金について「期限の利益喪失」を理由に、一括返済と遅延損害金の請求を受けた事例
介護業不動産問題
相談内容
事業資金の借入れについて、予定していた時期に事業を始められなかったことについて、依頼者に原因がないにも関わらず、金銭消費貸借契約書の「特定の日に事業を開始できなかった場合、期限の利益を喪失する」という条項をもとに、借入金の一括での返済と返済の遅れによる遅延損害金の請求を受けた。予定していた事業開始時期からの遅延損害金の支払いが必要か。
争点
遅延損害金の発生時期はいつか。
解決内容
裁判所の判断をもとに、遅延損害金の発生時期を「事業開始予定日」ではなく「返済期限」からとすることができ、遅延損害金を大きく減額させた内容での和解を成立させた。
弁護士の所感
予定時期に事業をはじめられなかったことは、形式上は、金銭消費貸借契約書記載の「期限の利益を喪失する事由」にあたるため、これにあたらない又はこれにあたるとする相手方の主張が信義則違反であるという主張を依頼者側においてしなければなりませんでした。
ただし、信義則違反の主張は、認められる例が少なく、本件においてもこれが認められるかは厳しいところでした。
しかし、双方の従前のやり取りを整理し、丁寧に信義則違反を主張したことで、同主張が認められ満足いく解決となりました。