元従業員から残業代等を請求されたものの、会社が正確に労働時間を管理していたことや、会社からの貸与物件が未だ返還されていないこと等を理由に、残業代の支払いを拒絶した事例
労務問題運送業
相談内容
相談者は、運送業を営んでいたところ、退職届だけ一方的に送付し退職をした元従業員から残業代の未払いがあるとして、その請求を求められた。
争点
残業代の支払義務の可否(残業の存否)
解決内容
元従業員からの残業代請求が撤回されることにより解決。
弁護士の所感
運送業においては、車両の運転時間が予定どおりとならないという実情から、残業時間の存否をめぐって残業代の支払の有無が問題になることが非常に多いです。
本件においては、いわゆるタコメーターによる労働時間管理を徹底していたことから、タコメーターに表れた残業時間の正当性等が争点となりました。本件では通常要する時間に相当する残業代が支払われていたにもかかわらず、元従業員から残業代の不足を求められた事案でした。運送業においては、いわゆる直行直帰による業務遂行が多いことから、タイムカードによる労働時間管理は現実的でなく、タコメーター等、別の方法による労働時間管理が求められます。
本件では、相談者が管理していたタコメーターによる主張が可能であったほか、相談者が貸与していたETCカードやキャッシュカードが元従業員から退職後も返還されなかったことから、それらに伴って発生した損害を反対に請求することで、残業代の請求を撤回させることができました。