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取締役が資産管理会社を設立する場合、取締役会の承認が必要か否か

不動産業その他

相談内容

不動産の管理運用・販売をも目的とする株式会社の取締役より、投資用不動産の購入・運用を目的とする株式会社を設立して代表取締役に就任したいとの要望がありました。
・取締役会の決議が必要か。
・(必要な場合、)個別不動産の取得ごとに決議をすべきか。
の2点に関し、ご相談を受けました。

                   

争点

取締役が本件のような資産運用会社を設立する場合、取締役が自己又は第三者のために「株式会社の事業の部類に属する取引」をしようとするとき(会社法356条1項・365条1項)に該当するか否かが問題でした。

                   

解決内容

                   

実際に行っている取引と目的物(商品・役務)及び市場(地域・流通段階)が競合する取引のことを、「株式会社の事業の部類に属する取引」と言います。
本件では、会社の目的の一部と重なる取引のため、「目的物及び市場が競合する取引」に該当するので取締役会の承認が必要となります。
但し、取締役が競業会社の代表取締役に就任する場合、取締役会の承認を受けることが一般的で、個別の取引ごとに決議を得る必要はありません。

                   

弁護士の所感

                   

取締役は会社に対し、競業避止義務と善管注意義務を負っています。すなわち経営を委ねられたプロとしての役割が求められています。
例えば、子会社の役員に親会社の管理職が就任した場合、全く求められる役割が異なることを認識していないような事例はよく見受けられるところです。
本件では、適切な対応ができましたが、新規に役員になる人物の場合、適切に研修を実施し自分の負っている責任を自覚してもらうことが重要です。

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