工事請負契約を口頭でしたものの、相談者が基礎工事に入ったとこ ろ、地盤改良等が必要であることが判明し、当初見積額を超過したことにより、 工事を続行すべきかどうか施主との協議を要することとなった事案
建設業訴訟・紛争
相談内容
建設業を営むXはYの依頼に応じて、Y所有の土地上に一戸建て住宅の建築を請け負うこととなった。ところが、いざXが工事に着手すると、地盤改良等が
必要であることが判明し、当初見積額を超過することとなった。そこで、その後工事をどうするかにつき、XとYが協議することとなった。
争点
XとYの法律関係をどう調整すべきか。
解決内容
Xが着手した工事を続行のうえ、Xが建物を完成させた場合には、Yがその土地を贈与するとともに、Xが建物の所有権を取得する内容で交渉解決。
弁護士の所感
当初見積額を超過した場合にはその代金を前提とする契約を新たに締結しない限り、当然にXがYに超過分代金まで請求できるものではありません。もっとも、本件では基礎工事に非常に多額の費用を要したほか、既に購入した材料費等も相当額に上っていたことから、もともと締結していた契約を白紙にするこ
とはできない事案でした。
もっとも、XとYが任意に協議をすることにより、YがXによる工事で完成させた建物につき一切の権利を主張しないこと、またYが建設予定地として所有していた土地をXに贈与すること等を内容とする協議が調うこととなりました。
また、本件はXがYに契約書を交付こそしていたものの、Yは同契約書にサインをしないまま工事を進めざるを得ないという特殊事情が存在しておりました。
建築紛争は特に契約書の有無、契約書の各条項の解釈をめぐって争いになることの多い紛争類型です。その意味で、本件では、長期化する訴訟を避け、協議による解決を図ることができた点が良かったといえます。