建物賃貸借契約の終了により、賃借人は賃貸人に建物を明け渡したが、賃貸人が消費税増額分の賃料を受領していないことを理由に敷金を返還しなかった事案で、賃借人の代理人として交渉により敷金を全額回収した事例
不動産問題サービス業
相談内容
依頼者は、相手方と15年前に建物賃貸借契約を締結したが、契約期間中に消費税が5%から8%に増税された。
依頼者は、賃貸借契約が終了し建物を明け渡した時点で、相手方に敷金の返還を請求したところ、相手方は「消費税増税による増額分の賃料を受領していない」ことを理由に敷金の返還を拒否した。敷金を回収してほしい。
争点
消費税増税による賃料の増額分の支払いを受けていないことを理由として、敷金の返還を拒否できるか。
解決内容
消費税増税分の賃料増額分を支払うことなく、相手方から敷金全額を回収した。
弁護士の所感
本件については、重要なポイントが2つあります。
1つ目は、消費税率が変更になった時点で、相手方から依頼者に賃料が増額になる旨の連絡がなく、以降も従前の賃料を受領し続けていたこと。2つ目は、消費税率が変更になって以降に、依頼者と相手方で覚書の取り交わしをしたにも関わらず、その際にも賃料の増額について触れられなかったことです。
以上の2つの点からも、相手方が敷金の返還を拒否し、訴訟となった場合であっても確実に敷金を回収すべき件であったといえます。