建築瑕疵をめぐる損害賠償請求事件
相談内容
A社はBから保育事業を経営するための建物の建築工事を請け負った。A社はあくまでBから提供された図面をもとに建築することを求められた。しかし、いざA社が建築に着手すると、Bから詳細な変更指示等を受けることとなり、結果として当初予定されていた工期が大幅に延長されることとなった。
その後、BはA社に対し、①Bの希望とは異なる部分を複数指摘して瑕疵を主張するとともに、②Bが受けるべき補助金も受け取ることができなかったこと、③工期が大幅に遅れたこと等を理由として、代理人弁護士を通じて損害賠償の請求をした。
そこで、当事務所がA社を代理してBと交渉することとなった。
争点
A社が工期を延長することとなったこと、Bから提供された図面をもとに建設を行ったこと等は、損害賠償請求の根拠となるか。
解決内容
A社がBに対して一定額を支払う内容で交渉成立。
弁護士の所感
特に建設業においては、書面を交わすことなく、現場において口頭で工事代金を定めたり、種々の変更について合意してしまうことが多いと感じます。これは、契約当事者双方が建築現場において口頭で指示を出したり受けることが多く、しかもそれが工事の進行している中で行われる現状があるからであると思われます。
しかしながら、新たな変更や要望、指示が発生する都度、①変更工事の内容、②変更工事に基づく代金、③工期の見直し等を協議のうえ、書面にすることが極めて重要です。
本件とは異なりますが、建築紛争の中には、請負契約締結時において当初図面が存在しないにもかかわらず請負代金のみ定めてしまったがあまりに、見積もり以上の予算がかかってしまうケースや、最終的に合意に至ったのはどの図面なのかが判然としない事案が多く存在します。
動いている現場の中で契約書面等を取り交わすことを煩わしいと思わず、都度、書面を交わすことを習慣化して未然に紛争を予防していただきたいところです。