会社資金の着服が疑われている従業員と交渉し、疑惑となっている不明瞭な金銭の動きは自身の行為によるものだと認めさせ、実質的に横領された金銭を回収した事例
相談内容
会社を設立してから経理を任せていた従業員に対して、会社の資金を着服したのではないかという疑念を抱いている。これが本当のことであると証明された際は、会社が被った損害に応じた賠償請求をしたい。
争点
①そもそも横領は事実であるのか
②横領が事実であった場合、横領された金銭を回収することは可能なのか
解決内容
決算書をはじめとした経理に関する各種資料を精査し、横領された金額等を明確化しました。それを基に相手方と交渉した結果、代物弁済という形ではあったものの、最終的には横領金の回収が実現しました。
弁護士の所感
本件の懸念材料として次の2点が挙げられました。
①相談者である代表取締役は一切経理に関与していなかったため、横領はあくまで疑念の範囲というものであった。従って、横領が事実であったのか否かを判断するために、資料を検討する必要があった。
②相手方の資産状況も芳しくなく、着服が事実であったとしても回収は困難を極めるものと思われた。
上記を踏まえ、依頼を受けてから最初に取り組んだことは、10期以上に渡る決算資料等を念入りに調べ、疑わしい金銭の流れがないか等について確認することでした。そして、不自然なお金の動きや、不正と思わしき処理を発見したうえで、相手方と交渉しました。
交渉により、不明瞭な金銭の動きがあったことをまずは認めさせ、次に、その時点で相手方が経営していた会社の資産状況を考慮した結果、相手方が所有する什器や備品の一部を弁済に充てることで、横領された金銭を事実上回収することができました。
そもそも本件については、横領そのものを明らかにすることすら難しいと思われる案件でしたので、着服したことを認めさせただけでなく、横領された金銭の回収も実現したという結果は、依頼者にとっても満足いただけたものと考えております。