0120-77-9014

時効の完成後、法的責任の追及が不可能であるケースでの建築瑕疵等に関する交渉に成功した例

医療機関訴訟・紛争

相談内容

本件は、依頼者のご自宅の建築紛争に関するご相談に対応した事例です。

建築家に設計と施工を依頼し、鹿児島の大規模ゼネコンに施工を依頼のうえ、総工費1億円以上をかけて自宅を建築したところ、外壁に大きくクラック(亀裂)が入る等、居住する上で不具合が多数見つかったというご相談でした。

相談者は、建築瑕疵の修補またはその修補に相当する金額の損害賠償請求を希望しているという事案でした。

                   

争点

本件の争点は、建築瑕疵があるといえるかどうかです。
ただ、実際に瑕疵があると判断できたとしても、ご依頼いただいた時点で、建物の引き渡し後約10年が経っていました。建築瑕疵のうち、軽微な瑕疵に関しては6ヶ月から2年の時効、建物としての基本的な安全性を損なう重大な瑕疵や雨仕舞に関する瑕疵に関しては、10年の時効が、法令及び約款によって定められていました。
軽微な瑕疵に関しては時効が経過していたため、本件の争点は、建物としての基本的な安全性を損なう重大な瑕疵と雨仕舞に関する瑕疵の存在の有無に集約されました。

                   

解決内容

                   

建物としての基本的な安全性を損なう重大な瑕疵と雨仕舞に関する瑕疵が存在するかどうかを判断するため、建築瑕疵の調査を専門とする調査士を入れ、技術的な観点から建物の状況を調査しました。
この調査の結果、この建物には、外壁のクラック以外にも床断熱の機能障害や、発火する可能性のある断熱材とダウンライトを併用しているなど多数の瑕疵が発見されましたが、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵は存在せず、法的に責任を追及することは不可能であることが判明しました。
この時点より、法的に責任を追及するのではなく、任意の交渉により、相手方から少しでも金銭保障の譲歩を引き出すということが課題となりました。本件の相手方はリーガルリスクがない状況ですので、瑕疵の存在やずさんな施工事実に関する公表等の事実上の対抗手段を材料として、相手方の譲歩を引き出す交渉となりました。
結果的には、400万円の金額を相手方から解決金として引き出すことができ、示談によって無事に解決することができました。

                   

弁護士の所感

                   

一般的に、弁護士は、既に時効が完成しているケースなど、相手方に法的責任を追及する手段がない状態での交渉については受任に消極的です。また、建築瑕疵についての争いの場合には、実際に調査を行わなければ「建物としての基本的な安全性を損なう重大な瑕疵」に該当するかどうか確定できないケースがあります。

この件は、残念ながら、そのような重大な瑕疵には該当せず、法的な責任の追及は出来ないということが交渉の途中で明確になった事件ではありましたが、そうした強制手段がない任意の交渉の中で、相手方からの高額な示談金の獲得に成功した事例です。

事例カテゴリー

お問い合わせ

企業法務部 新規相談予約専用ダイヤル

0120-77-9014

法律事務職員による電話受付時間 平日9:00‐18:00
夜間コールセンター電話受付 平日夜間、土日祝

弁護士法人グレイス 東京オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 神戸オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 福岡オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 長崎オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 熊本オフィシャルサイト
弁護士法人グレイス 鹿児島オフィシャルサイト