相談者が、その経営する一店舗の店長を任せていたところ、同店長の売上管理がずさんであり、本来の売上を把握できなかった点につき、損害賠償請求を求める民事調停を申し立てたところ、その売上の一部の支払い認めさせる内容の調停が成立した事例
労務問題サービス業
相談内容
相談者Xは複数店舗を要するサービス業を経営しており、そのうちの一部の店舗の運営については別の従業員Yに店長として管理させていた。
ところが、Yが退職したのち、XはYに管理させていた店舗の顧客情報等の記録が架空である等実態を反映していないものが多く、同店舗の売上として報告されていた内容が実際の入金額より不足していることが判明した。
そこで、XはYに対し、その不足額相当額の損害賠償を求めるため、当事務所に相談した。
争点
経営者は店長に対して、損害賠償請求権を有するか
解決内容
元従業員YがXに対し、一定の損害賠償金を支払うことを内容とする調停が成立。
弁護士の所感
「従業員に任せていたのに」「店長に管理させていたのに」といった事情が当該従業員の在職中や離職後に判明し、経営者側がその損害賠償を求めたいというご相談は非常に多いです。
このようなケースにおいては、経営者が当該従業員に対し、いかなる業務をどのように任せていたのかが非常に重要な要素となります。
任せていた業務内容が曖昧であったり、任せ方そのものが概括的、杜撰であったりする場合には、使用者側の指示や管理の在り方に問題があるに過ぎす、その損害を従業員に求めることが困難な場合があります。
「内部の統率の問題であり、従業員個人に責任追及できない」という結果とならないよう、専門家のアドバイスを受けることが重要といえます。