当社の社員が逮捕され、身柄を拘束された。依頼会社は当然に風評被害を懸念する中で、スピードをもってそれを回避したうえで無事に釈放された事例
相談内容
当社に勤務している社員が他人の家を覗き見たとして住居侵入罪で逮捕されてしまった。それにより、この社員は現在身柄を拘束されているが、このようなケースではどのように対応すればよいのか。また、当社でこのような事件が起きたという話が近隣地域に広がることは、今後の企業活動に支障が出るため何としても避けたい。その上で、この件での自社の風評被害を最小限にとどめたい。
争点
逮捕された社員が覗き見たとされる家の被害者との間で問題なく示談を成立させることが出来るか、また、示談が可能であるとしても、地域での自社の風評被害を最小限に抑えることが出来る内容での示談を希望するが、そのようなことは可能か。
解決内容
依頼会社より、社員が逮捕されたというご連絡を受けて初動からスピードをもって対応した。
まず、社員が逮捕された直後に早急に本人と接見し、今回の件で被害を受けた方との示談について、依頼会社の要望を踏まえたうえでの内容を検討し、被害を受けた方と直接示談交渉を行い、依頼会社の望む内容で早急かつスムーズに示談を成立させることが出来た。
このように、被害を受けた方との間で示談を成立させることが出来たことにより、逮捕された社員の勾留期間が満了する前(勾留の延長なし)に当社員は起訴猶予によって釈放される結果となった。
弁護士の所感
刑事事件が発生した場合、何よりもまず初動が重要です。
本件ではその初動が非常に早かったため、従業員の勾留期間の満了前に被害を受けた方との間でスムーズに示談を成立させることが出来たことで、結果として逮捕・勾留された従業員は釈放されることになりました。
企業活動において、役員や従業員が刑事事件で身柄を拘束されるという事例は、実は決して珍しい出来事ではありません。もし本件のように一企業の従業員が犯罪により逮捕されたというケースでは、使用者である企業にとって風評被害を最小限に抑えたいということが何よりも強いご要望としてあるのは当然のことであると思います。
そのため、被害に遭われた方との間で示談をする際には、その示談内容の中に、事件のことを決して口外しないという約束を明確に盛り込むことが必要ですが、本件においては、被害者との間でこの口外禁止の規定を含めた示談をスピードをもってスムーズに成立させたことにより、当初よりいただいていた依頼会社のご要望のとおりに会社に対する風評被害を回避することができたという点においても非常に良い解決となりました。