離婚の原因と対策
目次
離婚の原因と対策
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性格の不一致で離婚できる?
相手が離婚に応じない場合、離婚するためには「法律上の離婚原因」(民法770条1項)が存在することを裁判で認めてもらう必要があります。 この「裁判上の離婚原因」として挙げられているのは、以下の5つです。 不貞行為 悪意の遺棄 三年以上の生死不明 回復の見込みのない強度の精神病 その他婚姻を継続し難い重大な事由 「性格の不一致」は裁判上の離婚原因1~4に当たりませんので、裁判では「5 その他婚姻を継続し難い重大な事由」があると主張していくことになります。 この「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、一般に「婚姻関係が破綻し回復の見込みがないこと」をいいます。 そして、その判断については、婚姻中における両当事者の行為や態度、婚姻継続の意思の有無、子の有無・状態、さらには双方の年齢、性格、健康状態、職業、資産収入など、当該婚姻関係にあらわれた一切の事情が考慮されると考えられています。 実際のところ、性格の不一致があるというだけでは、婚姻関係が破綻し回復の見込みがないとは認められず、性格の不一致だけを理由とする離婚請求はなかなか認められづらいのが実情です。 そこで、性格の不一致を理由に離婚を考える場合、確実に離婚をするためには、別居を検討する必要があります。 別居期間が長期にわたれば、夫婦関係が破綻したものして「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる可能性が高まるからです。 「婚姻関係が破綻している」として、裁判で離婚が認められるための別居期間としては、概ね「3年前後」がひとつの目安であるといわれています。もっとも、当事務所の扱った案件の中には、婚姻関係の破綻に関して詳細な主張をしたことなどから、別居期間2年半でも裁判で離婚が認められたケースもあります。 このように、性格の不一致があるというだけでは、裁判で離婚が認められる可能性は高くなく、離婚をするためには、通常、相当期間(目安として、3年前後)の別居が必要になりますが、弁護士が介入して相手方と交渉することで、早期に離婚が実現するケースもあります。 たとえば、当事務所では ・度々感情的になる妻との離婚を望む男性からのご依頼を受けた、裁判では離婚することがむずかしいと考えられるケースにおいて、相手方も一貫して「離婚はしない」と主張していたものの、当事務所の弁護士が粘り強く交渉することにより、一定の解決金を支払う形で離婚を成立させることに成功した事例 ・きちんとした職につかない夫との離婚を望む女性からのご依頼で、裁判では離婚することがむずかしい事案で、相手方も離婚に消極的でしたが、当事務所の弁護士が交渉することにより、引っ越しのための最低限の金銭を交付することで離婚を成立させることに成功した事例 などの解決事例があります。 このように裁判では離婚することがむずかしい場合でも、交渉のプロフェッショナルである弁護士が介入して相手方と交渉することにより、早期に離婚が成立する可能性がありますので「性格の不一致」で離婚を考えられた場合には、離婚に精通した弁護士へのご相談をお勧めします。 別居の際、注意すべきこととして、別居前に、できる限り、相手方の財産に関する情報を把握しておくということがあります。 将来、離婚することになれば、財産分与が問題となってきますが 離婚前に別居した場合、財産分与の対象となる財産は、別居時の財産とされるのが原則です。 もっとも、後に交渉や調停を行う際、相手方が財産を隠そうとすることもあるのです。 その際、裁判所の手続きによって、相手方の財産の調査をすることもできますが、こちらがある程度の情報をもっていないと、その調査をすることもできません。 そこで、別居前に、できるだけ相手方の財産に関する情報を収集しておくことが、後に交渉や調停を有利に進めることにつながるのです。 離婚に強い弁護士であれば、相手方の財産を調査する際のポイントも含めて、後々有利に交渉や裁判を進めるためのアドバイスをすることができます。 まずは、別居の前までに、ぜひ弁護士にご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 「性格の不一致」が原因の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、性格の不一致が原因であった事例をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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不貞行為・浮気・不倫
民法770条1項1号に定められている離婚理由の一つとして、不貞行為があります。不貞行為とは、「婚姻しているものが婚姻外の異性と自由な意思のもとに性的関係を結ぶこと」です。 これについては、不貞行為があれば、ただちに離婚理由になるという考えと、不貞行為があり、その結果、婚姻関係が破たんしたときに、不貞行為が離婚理由になるという考えの二つがあります。 裁判所は、不貞行為があっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認める場合には、離婚を認めないことができます。ですので、結果的には、どちらの考えでも同じと思われますが、実務では、裁判所が民法770条2項によって離婚請求を棄却する判決を出すことはほとんどありません。 また、不貞行為は、相手の意思の有無は関係ありません。相手方と合意がある(例えば不倫行為や売春行為)場合も、合意がない場合(例えば強姦)であっても、不貞行為になります。一時的なものか、継続的なものかも問いません。 不貞行為の立証は、非常に困難です。なぜなら、不貞の現場は密室である場合が多いためです。不貞現場の写真・ビデオや動画撮影等の確実な証拠がない場合には、相手が認めない場合、立証は難しいでしょう。 メールやラインの内容等に密接な交際をしていることが明らかになることがありますが、これだけでは性的関係をもったとはいえません。もっとも、このような場合、「婚姻を継続しがたい重大な事由」になり得ますので、証拠として保全しておく必要があります(事由とは、理由・原因のことです)。 不貞行為は、離婚理由となるだけではなく、婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害したことになりますので、不法行為に基づく損害賠償義務が発生します。 この場合不貞行為の相手方も、不貞行為をした配偶者と共同して不法行為をしたことになりますので、同じく共同して「損害賠償義務」を負います。 なお、不貞行為をされていたとしても、その時点においてすでに婚姻関係が破たんしていたような場合には、婚姻共同生活の平和を破壊したとは言えませんので、損害賠償義務も生じません。これは、不貞をした相手方が必ずと言っていいほど反論してくる事情ですので、婚姻関係の破たんの有無は重要な争点となります。 また、「不貞行為の相手方が不貞行為をした配偶者を既婚者だと知らなかった」という反論もよく見られますが、既婚者が不貞行為を行う場合には、既婚者ということを明かさない場合が多いので、この反論はほとんど認められません。 しかし、婚約している場合にも、婚約者以外の方と性的関係を持つことは不貞行為にあたりますので、その場合には、不貞行為の相手方が戸籍を閲覧し、不貞行為をした婚約者が独身であることを確認した等の事情があれば、当該反論も認められる可能性があります。 夫・妻、または婚約者が浮気しているかもしれない、という場合には、情報を集め、弁護士に相談することで、離婚できたり、損害賠償を請求できたりする可能性があります。一度弁護士に相談することをお勧めします。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 「浮気・不倫をされた」が原因の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、浮気・不倫をされたことが原因であった事例をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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生活費をくれない夫への対処法 ~ 「モラハラ」や「経済的DV」にあたる可能性も
「夫が生活費をくれずに困っている」 離婚のご相談においては、そのようなお悩みを抱えていらっしゃる方も相当な割合でいらっしゃいます。 妻に必要な生活費をわたさないという行為は「経済的DV」といわれており、 内閣府による『男女間における暴力に関する調査報告書』においても、 配偶者からの被害のひとつとして 「生活費をわたさない」「給料や貯金を勝手に使われる」「外で働くことを妨害される」 などという『経済的圧迫』が挙げられているところです。 このような「経済的DV」はモラル・ハラスメント、いわゆる「モラハラ」の一態様として行われることもあります。 モラハラ加害者は、暴言や無視などによって相手から自尊心を奪い、相手に対して優位な立場を確立しようとするところに特徴がありますが、 経済的DVは、まさに妻への優位性を確立する手段となるからです。 しかし、夫が主に収入を得ている家庭において、夫が妻に生活費をわたさないことは 「婚姻費用分担義務」に違反する行為であるといえます。 夫婦間の協力扶助義務(民法752条)に基づき、夫婦間には婚姻費用、すなわち家族の生活費を分担する義務があり、通常、収入の高い方から低い方に対して、家庭裁判所が発表している算定表に定められた金額の婚姻費用を支払う義務があります。 そこで、夫が生活費をくれない場合、妻は夫に対し、婚姻費用の支払いを求めることができるのです。 このような婚姻費用の請求は、別居後に行うことが一般的ですが、同居中でも請求することは可能です。 もっとも、生活費をくれない夫はもともとお金に対する執着心が強いことが多く、とくにモラハラ夫の場合、婚姻費用の支払いに簡単には応じないケースも多くあります。 このような場合には、家庭裁判所に対して、婚姻費用分担調停を申し立てることができます。 夫側に婚姻費用の不払いがある場合、過去分として請求することができるのは、多くの場合、調停申立時からとされますので、夫が支払いに応じない場合は、なるべく早めに調停の手続きをとるべきです。 さらに、生活費をくれないということは「悪意の遺棄」や「婚姻を継続し難い事由」として裁判上の離婚事由にもあたる可能性があります。 弁護士に相談されると、生活費をくれない夫と離婚するために必要な準備や留意することについて、個々のご事情に応じたアドバイスを受けることができます。 夫が生活費をくれず、離婚を悩まれている場合には、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 「遺棄・失踪」が原因の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、遺棄・失踪が原因であった事例をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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暴力・DV
暴力(DV)は、裁判離婚のページで述べた裁判における法律上の離婚原因にはありません。 離婚理由がなくとも相手が離婚に応じてさえくれれば問題ないのですが、そうもいきません。その場合には、最終的には裁判離婚となりますから、離婚理由は必要ですし、そこまでいかなくとも、相手を納得させられるだけの理由を見つける必要があります。 法律で認められた5つの離婚の原因の「婚姻を継続しがたい重大な事由」によって、離婚が認められる場合があります。「事由」、とは、「直接、理由または原因となっている事実」のことをいいます。 民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。 配偶者に不貞な行為があったとき。 配偶者から悪意で遺棄されたとき。 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。 たとえば、配偶者が暴力を振るう、虐待する、ギャンブルにのめり込んで多額な借金を作る、宗教活動にのめり込む、性交渉拒否等の理由で、夫婦か生活が事実上破たんしている場合です。 ただし、その理由が「重大な事由」にあてはまるかどうかは、ケースバイケースです。お互いが努力、妥協をすれば夫婦生活が修復できる状況と判断されれば、離婚は認められないことになります。 まず前提として、婚姻関係破たんに至っていなければ、そもそも離婚請求は棄却されます。婚姻関係破たんというのは、主観的側面及び客観的側面から判断されます。 主観的側面で判断されるのは、お互いに、婚姻継続の意思が喪失しているかどうかです。これは認定が難しいと言われています。客観的側面判断されるのは、婚姻共同生活を回復する見込みがないかどうかことです。これは、別居期間等により、ある程度認定することが可能です。 次に、DVです。DVで民法770条5号の離婚請求をするのは、離婚の法律相談のうち多くを占める事例です。DVがあったかどうかは、客観的に診断書等の有無が問題になります。傷跡の写真があれば、それも証拠となるでしょう。警察に相談している場合などには、相談記録の開示請求をすると、証拠になり得ることもあります。 また、精神的暴力も離婚原因の一つとして位置付けることが可能ですが、これだけで離婚が認められるためには困難が伴います。家庭内での言った言わないについては、証拠が存在しないことが通常だからです。 DV被害にあわれている方はご自身の身を守るため、一刻も早く配偶者から離れるべきと考えます。当事務所では、別居サポート等も行っていますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 「暴力・DV」が原因の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、暴力・DVが原因であった事例をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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セックスレス
性的な問題(セックスレス、性的異常等)は、裁判離婚のページで述べた裁判における法律上の離婚原因にはありません。 離婚理由がなくとも相手が離婚に応じてさえくれれば問題ないのですが、そうもいきません。その場合には、最終的には裁判離婚となりますから、離婚理由は必要ですし、そこまでいかなくとも、相手を納得させられるだけの理由を見つける必要があります。 法律で認められた5つの離婚の原因の「婚姻を継続しがたい重大な事由」によって、離婚が認められる場合があります。「事由」、とは、「直接、理由または原因となっている事実」のことをいいます。 民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。 配偶者に不貞な行為があったとき。 配偶者から悪意で遺棄されたとき。 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。 たとえば、配偶者が暴力を振るう、虐待する、ギャンブルにのめり込んで多額な借金を作る、宗教活動にのめり込む、性交渉拒否等の理由で、夫婦か生活が事実上破たんしている場合です。 ただし、その理由が「重大な事由」にあてはまるかどうかは、ケースバイケースです。お互いが努力、妥協をすれば夫婦生活が修復できる状況と判断されれば、離婚は認められないことになります。 まず前提として、婚姻関係破たんに至っていなければ、そもそも離婚請求は棄却されます。婚姻関係破たんというのは、主観的側面及び客観的側面から判断されます。 主観的側面で判断されるのは、お互いに、婚姻継続の意思が喪失しているかどうかです。これは認定が難しいと言われています。客観的側面判断されるのは、婚姻共同生活を回復する見込みがないかどうかことです。これは、別居期間等により、ある程度認定することが可能です。 性交渉は、夫婦の義務ではありますが、数回拒否されたぐらいでは離婚の原因としては認められません。また、セックスレスでも、夫婦間に愛情や信頼関係があり、お互いに納得の上であれば問題はありません。しかし、一方が理由もなく、長期間にわたって性交渉を拒否し、拒否された側は精神的苦痛を感じ、また、それが原因で夫婦関係が破綻した場合は離婚が認められます。 性的不能は、その発生時期、原因、度合い等が考慮されます。性的不能を隠して結婚した場合は、離婚が認められる可能性が高いです。 また、配偶者の性的思考が異常な場合や、性欲が異常に強く、不本意な性交渉を強要され続けた場合などにも、離婚が認められる場合があります。 しかし、夫婦間でのことなので、証明するのがなかなか難しいのも事実です。その時は、性行為をしていないということについて日記をつけたり、性交渉の様子を録画・録音したものを確保したり、離婚する前に証拠を作っておくことが効果的です。 婚姻後3年半の間夫婦として同居していたにもかかわらず、性的関係がなかった場合、夫婦間の性関係は重要なので、病気や老齢などの理由から性関係を重視しない当事者間の合意があるような特段の事情のない限り、婚姻後長年にわたり性交渉のないことは、原則として、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるというべきであると判断した、セックスレスを理由に離婚を認めた事例があります。 夫が男性と知り合って同性愛の関係に陥り、その男性との間で、男女間におけると同様の関係を繰り返えしていたこと、そして、夫は、その男性に結婚話が持ち上ったのを機に、一旦は、同人との関係を解消はしたものの、未だその男性に対する未練を断ちがたく、その後も、同人に執拗につきまとっていたことは、性的異常があきらかであり、夫婦相互の努力によって夫婦間に正常な婚姻関係を取り戻すことはまず不可能と認められると判断した、性的異常を理由に離婚を認めた事例があります。 性行為の強要は完全にDVであり、離婚事由にあたります。また、夫婦間であっても、ひどい場合には、刑法上の強制性交罪(旧「強姦罪」)が成立する可能性もあります。 確かに夫婦の間には、性交渉を求める権利があり、正当な理由なく性交渉を拒み続けた場合には、離婚事由にもなり得ます。だからと言って、無条件に性交渉に応じなくてはならない義務があるわけではありません。 裁判例でも、夫婦間での性交渉でも強姦罪(現「強制性交罪」)が成立すると判示した事件もあります。この事例では、泣きながら性交渉を拒む妻に対し、夫が妻を脅迫し、力づくで性交渉をしていました。 性的な問題は、身近の方には相談しにくいことだと思います。自分が我慢すればよいと思わずに、つらい状況を打破する一歩だと思って、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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家庭内別居
「家庭内別居の状態が続いているので離婚したい」というようなご相談は少なくありません。 裁判上、相当期間の別居状態があれば、夫婦関係が破綻していると見られ、離婚原因として認められることもありますが、家庭内別居の場合には、なかなか離婚理由として認められないのが実情です。 ただし、家庭内別居となった理由が、不貞行為やDV、もしくは生活費を渡さない等、夫婦間での協力・扶助義務の放棄(悪意の遺棄)であれば、離婚請求が認められる可能性はあります。 ご自身の家庭内別居状態がどのように判断されるのかは、ケースバイケースです。 同居期間が長い状態では、なかなか離婚が認められない場合もあります。性交渉が無くても、双方同意の上でのことなら、離婚理由にはなりません。夫婦の会話が無くても、同居状態が続いていれば、裁判所も、なかなか離婚を認めないでしょう。 土日は一緒に過ごしているということであれば、平日一緒に生活していなくても、夫婦関係は破たんしていないといえるでしょう。性交渉がないそうですが、それだけでは破たん事由にはなりません。ただし、夫が全く家に来ない状態が今後も続くようですと、2、3年後には離婚が認められてもおかしくありません。 住まいも別という完全な別居状態が3年間ほど続いていれば、離婚請求が認められる可能性も十分あります。しかし、家庭内別居となると、裁判所もなかなか離婚を認めてくれません。 庭に離れを建て、それぞれ顔を合わせることもないということであればともかく、たとえば、ただのマンションの中で家庭内別居だといっても、頻繁に顔を合わせざるを得ない状況で一緒に住んでいる以上、それだけでは、婚姻関係が破たんしていないのではないかと解釈されてしまいます。 顔を合わせていないのであれば、離婚するためにも、実際に家を出て、別居してみることをお勧めします。当事務所では、別居サポート等も備えておりますので、一度相談にいらしてみてはいかがでしょうか。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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嫁姑問題
嫁姑問題は、裁判離婚のページで述べた裁判における法律上の離婚原因にはありません。 離婚理由がなくとも相手が離婚に応じてさえくれれば問題ないのですが、そうもいきません。その場合には、最終的には裁判離婚となりますから、離婚理由は必要ですし、そこまでいかなくとも、相手を納得させられるだけの理由を見つける必要があります。 法律で認められた5つの離婚の原因の「婚姻を継続しがたい重大な事由」によって、離婚が認められる場合があります。「事由」、とは、「直接、理由または原因となっている事実」のことをいいます。 民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。 配偶者に不貞な行為があったとき。 配偶者から悪意で遺棄されたとき。 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。 たとえば、配偶者が暴力を振るう、虐待する、ギャンブルにのめり込んで多額な借金を作る、宗教活動にのめり込む、性交渉拒否等の理由で、夫婦か生活が事実上破たんしている場合です。 ただし、その理由が「重大な事由」にあてはまるかどうかは、ケースバイケースです。お互いが努力、妥協をすれば夫婦生活が修復できる状況と判断されれば、離婚は認められないことになります。 まず前提として、婚姻関係破たんに至っていなければ、そもそも離婚請求は棄却されます。婚姻関係破たんというのは、主観的側面及び客観的側面から判断されます。 主観的側面で判断されるのは、お互いに、婚姻継続の意思が喪失しているかどうかです。これは認定が難しいと言われています。客観的側面判断されるのは、婚姻共同生活を回復する見込みがないかどうかことです。これは、別居期間等により、ある程度認定することが可能です。 配偶者との親族の不和は、それだけでただちに「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するわけではありません。ただし、例外的に、こういった不和な状況を他方配偶者が傍観していたということから離婚請求を認容した裁判例があります。 嫁姑問題というのは、何年も昔からあるものです。夫の実家に嫁入りし、夫が夫の両親の味方ばかりして孤立している、という状況は、大変お辛いと思われます。ぜひ一度、弁護士にご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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別居
離婚するには、基本的には、互いの合意で離婚するか、裁判の判決により離婚するかのどちらかです。裁判上の離婚事由は法律で定められており、「別居する」ということ自体は離婚事由として明記されているわけではありません。 しかし、長期の別居は、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたり、相手の合意がなくとも離婚できる可能性があります。 期間についてケースバイケースですが、特に離婚を請求する側に問題がない場合には、2~3年程度別居することにより、客観的に婚姻関係が破綻していることが証明されているとみなされ、裁判で離婚が認められる可能性があります。 もっとも、離婚したくない側の配偶者が、婚姻関係を修復するために努力するといった事情がある場合には、別居期間が長期にわたっても、離婚できない場合もあります。 さらに、有責配偶者からの離婚請求では、別居期間は相当長期にわたらなければ裁判上での離婚は難しいケースが多いです。 また、別居しているといっても夫婦は夫婦のままなので、婚姻費用を分担する義務があります。婚姻費用とは、衣食住の費用、医療費、子供の教育費など、結婚生活を送るうえでかかる費用のことです。妻が専業主婦で、収入がない場合や、パート勤務で夫より収入の少ない場合は、別居していたとしても、夫から妻に生活費を渡さなければなりません。 離婚したくない夫が、妻と一緒に暮らせないのにもかかわらず、お金だけをとられることに嫌気がさして、離婚に応じる可能性も十分あります。 「離婚事由がないが離婚したい!」「相手が応じてくれない!」という方には、可能であれば別居をおすすめしています。当事務所では別居サポートも行っております。是非お気軽にご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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モラルハラスメント
モラルハラスメントとは、フランスの精神科医である「マリー=フランス・イルゴイエンヌ博士」が最初に使った言葉で、それ以前は、「いじめ、精神的虐待・暴力」などと一緒に分類されていました。 主に、言葉や態度によって、巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力のことを言います。また、精神的暴力だけでなく、無視などの態度や人格を傷つけるような言葉など、精神的な嫌がらせや迷惑行為なども含みます。 従来までの、いじめや精神的虐待、暴力等のように「意図的な悪意」を前提としているケースと違い、モラルハラスメントの場合は、積極的な悪意ではなく、本人は教育や指導だと思い込んで行なっている行為が、実は相手に対する(=相手にとって)ストレスとなっているようなケースを言います。そのため、いじめや精神虐待とは異なり、本人の自覚が無いのがその特徴です。 ですが、モラルハラスメントという言葉が一般的に使われるようになってからは、「もしかして、私、夫にモラハラを受けているかも?」と気づいて相談にいらっしゃる方も少なくありません。 例えば、サラリーマンの夫が、専業主婦の妻に対して、「俺が働いて養っているのだから口答えするな。」であったり、夫より稼ぎの良い妻が、「男のくせに私よりも稼げないのか。」等と夫を馬鹿にしたり、夫婦の一方がもう一方を無視することが毎日続けば、モラルハラスメントを受けた側は精神的にも肉体的にも疲弊してしまうでしょう。モラルハラスメントが原因で精神病になってしまう方も少なくありません。 では、モラルハラスメントを理由に離婚することはできるのでしょうか。正直、100%できる、とは断言できません。なぜなら精神的な暴力があったということを、証拠にすることが難しいからです。 また、上記で述べたように、モラルハラスメントをする方は、無自覚な方も多いので、離婚になかなか応じてくれない場合も多々あります。そういった場合は、最終的に裁判所に離婚するかしないかを決めてもらいます。 ですから、モラルハラスメントを受けていると少しでも感じている方は、会話を録音したり、毎日何を言われたか日記をつけたりして、証拠を作っておくことが重要です。 現在はテクノロジーが進化しており、携帯電話でもすぐに録音ができる、動画もとれる、という証拠を残しやすい環境にあります。また、メールやLINEでのモラルハラスメント発言があった場合には、見るのも辛いとは思いますが、削除せずに重要な証拠だと考えて、保存しておくことをお勧めします。 そして、可能であれば、そのモラルハラスメントから逃れるために、一刻も早く加害者から離れることをお勧めします。そうでないと、被害者の方が疲弊して、離婚する気力すらなくなってしまうかもしれません。 また、「別居」のページで述べた通り、別居し、それを継続することによって、離婚できる可能性が高まります。 このページをご覧になっている方の多くは、現状の配偶者との生活に違和感や不安、苦しさを感じ、勇気を出して検索をして、当サイトを見つけてくださった方が多いのではないでしょうか。 当事務所ではこれまでもモラハラ被害に悩む多くの方のご相談をお受けし、新しい明日を踏み出していくためのサポートをしてまいりました。 当ページを見て、「私にもあてはまる」そう思った方はぜひ当事務所の無料相談へお問合せください。 [myphp file='link-moraharaban'] [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 「暴言・モラハラ」が原因の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、暴言・モラハラが原因であった事例をまとめました。 [myphp file='link-moraharaban'] [myphp file='link-cause']
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マザコン夫の特徴と離婚する方法
マザコンはマザーコンプレックスの略語ですが、明確な定義はありません。一般的には「ママにベッタリ」な男といった意味合いで使われることが多いのではないでしょうか。多かれ少なかれ男性はマザコン的な部分はあるのでしょうし、大前提として母親を大切にすること自体は良いことなのでしょう。 しかし、結婚生活とは夫と妻が送るものであり、夫と母が送るものではありません。度を越えたマザコンは婚姻生活の継続にも影響を及ぼしかねないものです。 以下、婚姻生活の継続に影響を及ぼしかねないマザコンについてお話させていただきます。 ※あくまで当事務所の弁護士の主観によるものです。 マザコン度・小 頻度にもよりますが、母親と仲が良い、母親を大切にしているという範疇とも言えます。もっとも、母親との予定や連絡を妻や家族との生活より重視するようになったら要注意です。 □ 普段から頻繁に母親と出かける。 妻との外出になぜか毎回母親が参加する、妻との約束を断って母親と出かけるようになったら要注意です。 □ 普段から頻繁に母親とメールやLINEのやり取りをしている。 妻や家族との会話そっちのけでやり取りをしているようであれば要注意です。 マザコン度・中 必ずしも婚姻関係の破綻に直結するレベルではありませんが、一歩間違えると一気に婚姻関係の破綻に繋がりかねません。 □ 妻の家事・育児と母親の家事・育児と比べる発言をする 恐らくマザコンか否かにかかわらず、多くの既婚男性が少なからず内心では妻と母親を比べてしまうことがあるかと思います。 しかし、内心で思っているのと、それを口に出して相手に伝えるのでは全く違います。マザコンでない男性は仮に内心で比べてしまうことがあっても、妻の頑張りを認め、母親とは別の一人の女性として尊重することができるので、口に出して相手に伝えることはありません。他方で、マザコンの男性は母親が絶対的に正しいと疑わず、母親のようにできない妻が劣っていると思い、直接妻に対して非難の言葉をぶつけてしまいます。 マザコン度・大 夫婦としての信頼関係が破綻しており、婚姻関係を続けるのは困難です。 □ 判断基準は全て母親基準 夫婦の取り決めから子育て方針まで、何から何まで「自分の母親だったらこう考える」といちいち母親の考えを持ち出すようになっていたら重症です。マザコン夫にとって母親は間違いを犯すことのない絶対的存在で、妻の考えなど一切尊重しません。このような状況だと、もはや夫婦としての根本的な信頼関係は到底築けません。 □ 夫婦の重要事項の最終判断は全て母親任せ もちろん、誰かに相談するということ自体は良いことです。しかし、子供の進学や自宅の購入など、夫婦に関することは本来当事者である夫婦で話し合うべきであり、第三者である母親が介入するのは望ましくありません。これらの夫婦の重要事項について母親の意見を聞かなければ決定できないとなると、もはや成熟した男性としの決断力も疑わしいですし、何より夫婦としての根本的な信頼関係は皆無です。 結論から申し上げると、治すのは極めて困難です。 生まれてから何十年の中で形成された人格はそう簡単に治るものではありません。 そもそも、殆ど全てのマザコン夫は自分がマザコンだとは認識していません。マザコンだと指摘したとしても「自分はマザコンじゃない。母親を大切にして何が悪い」と言われるのが関の山です。そのような夫だと割り切って婚姻関係を続けていくか、早い段階での離婚を検討されることをお勧めします。 夫がマザコンだということのみを理由に裁判で離婚が認められる可能性は高くありません。マザコン夫の具体的な発言や行動を記録し(録音・録画、メールやLINEのやり取りの保存等)、夫婦としての信頼関係が破綻していることを証明していく必要があります。 仮に明確な証拠が無くとも、一定の別居期間が経過すれば、マザコン夫が離婚に同意しなくとも判決で離婚が認められるケースがあります。ただし、どの程度別居すれば良いのかについては事案によって様々ですので一度弁護士にご相談下さい。 マザコン夫について色々とお話させていただきましたが、結局のところマザコン自体が問題なのではなく、妻を一人の女性として尊敬・尊重し、対等な立場で信頼関係を築けないことが一番の問題だと言えます。信頼関係の築けない相手の婚姻生活は精神的にも負担が重く、幸せな生活とはいえません。 マザコン夫のとの婚姻生活に疑問を感じている方は一度当事務所の弁護士にご相談下さい。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 「不倫・浮気をした方から離婚請求をした」解決事例 当事務所が解決した事例のうち、不倫・浮気をした方から離婚請求をした事例をまとめました。 [myphp file='link-cause']
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有責配偶者からの離婚請求
有責配偶者とは、婚姻が破たんする原因を作った方の配偶者をいいます。 有責配偶者が離婚請求をした場合、①別居期間の長さ、②子どもが経済的・社会的に自立できる状況かどうか、③離婚により、相手の配偶者が精神的・経済的に苛酷な状況におかれるか、などの事情を総合的に考慮したうえで、離婚が認められるかが判断されることになります。 最高裁は昭和27年の判例で、有責配偶者からの離婚請求を認めませんでした。そして、その後35年間にわたり有責配偶者からの離婚請求を否定してきました。 しかし、その後昭和62年に、最高裁は、夫婦関係が破綻し、妻以外の女性と同棲関係にある有責配偶者(夫)からの離婚請求に対し、 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること その間に未成熟の子が存在しないこと 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等、離婚請求を認容することが著しく正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと といった一定の要件の下で、有責配偶者からの離婚請求も認められる場合がある とする判決をしました。 判例は、有責配偶者の離婚請求を認容する場合、夫婦の年齢・同居期間に比べて別居期間が長期に及んでいることを重要な要素としています。 判例・裁判例の動向を見てみると、当初は別居期間30年であったところを、別居期間22年、別居期間16年、別居期間10年余と短縮し、さらに、平成2年には、別居期間8年の事案について有責配偶者の離婚請求を肯定しています。 もっとも、別居期間8年余という他の事案では、夫婦の年齢・同居期間との対比において別居期間が相当長期に及んでいるとはいえないとして、有責配偶者の離婚請求が否定されています。つまり、まだ判例は固まっておらず、ケースバイケースというのが現状です。 有責配偶者の離婚請求に際しては、未成熟子が存在しないことが要件の一つとされています(※未成熟子とは、親の監護なしでは生活を保持し得ない子どものことです)。 両親の離婚によって未成熟子の家庭的・教育的・精神的・経済的状況が根本的に悪くなり、その結果未成熟子の福祉が害されることになるような特段の事情があるときには、未成熟子のために、有責配偶者からの離婚請求は認められないとしたものと考えられます。 もっとも、有責配偶者からの離婚請求の場合、未成熟子が存在すれば必ず離婚が認められないというわけではありません。最高裁は平成6年の判決で、未成熟子(高校2年生・17歳)が存在しても、有責配偶者の離婚請求を認めています。 有責配偶者からの離婚請求は、通常の離婚請求よりも困難が伴います。一度弁護士にご相談されることをお勧めします。 [myphp file='link-footerban'] 「離婚の手続き」に関するQ&A よくあるご質問のうち、離婚の手続きに関するご質問をまとめました。 「不倫・浮気をした方から離婚請求をした」解決事例 当事務所が解決した事例のうち、不倫・浮気をした方から離婚請求をした事例をまとめました。 [myphp file='link-cause']