お金について
離婚時に確認すること
お金について
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不貞慰謝料を請求したい
不貞行為とは、婚姻しているものが婚姻外の異性と自由な意思のもとに性的関係を結ぶことです。これについては、不貞行為があれば、ただちに離婚事由になるという考えと、不貞行為があり、その結果、婚姻関係が破たんしたときに、不貞行為が離婚原因になるという考えの二つがあります。 裁判所は、不貞行為があっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認める場合には、離婚を認めないことができるので、結果的には、どちらの考えでも同じと思われますが、実務では、裁判所が民法770条2項によって離婚請求を棄却する判決をすることはほとんどありません。 また、不貞行為は、相手の意思の有無は関係ありません。相手方と合意がある(例えば不倫行為や売春行為)も、合意がない場合(例えば強姦)であっても、不貞行為になります。一時的なものか、継続的なものかも問いません。 なお、同性との性的関係は、不貞行為には当たりませんが、民法770条1項5号に規定される「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたる場合があります。 他方の配偶者が相手方の不貞行為を知ったうえで、これを許したような場合(これを宥恕といいます)には、離婚原因としての不貞行為にはならないと考えられています。 不貞行為の立証は、非常に困難です。なぜなら、不貞の現場は密室である場合が多いためです。不貞現場の写真・ビデオや動画撮影等がない場合には、相手が認めない場合、立証は難しいでしょう。場合によっては、探偵を雇い、証拠を集めることも検討する必要があるかもしれません。 メールやラインの内容等で密接な交際をしていることが明らかになることがありますが、これだけでは性的関係をもったと100%いえるかというと、そうではありません。もっとも、このような場合、「婚姻を継続しがたい重大な事由」になり得ますので、証拠として保全しておく必要があります。 不貞行為は、離婚事由となるだけではなく、婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害したことになりますので、不法行為に基づく損害賠償義務が発生します。 この場合不貞行為の相手方も、不貞行為をした配偶者と共同して不法行為を行ったことになりますので、同じく共同して損害賠償義務を負います。 なお、不貞行為されていたとしても、その時点においてすでに婚姻関係が破たんしていたような場合には、婚姻共同生活の平和を破壊したとは言えませんので、損害賠償義務も生じません。これは、不貞をした相手方が必ずと言っていいほど反論してくる事情ですので、婚姻関係の破たんの有無は重要な争点となります。 不貞相手に慰謝料をいくら請求できるのかは一概に判断できません。 不貞に至った経緯、不貞発覚後の経緯、婚姻期間、未婚の子どもがいるかどうかなど、様々な要素を考慮して判断されますので、数十万円から数百万円まで、幅広く認定されます。 一般的に70万円~250万円といわれておりますが、あくまでもケースバイケースです。 ただし、不貞の結果、夫婦関係が修復困難な状態に至ったかどうかによって、慰謝料額は大きく変わります。なぜなら、不貞判明後、夫婦関係が修復された場合と、修復されず離婚に至った場合とで慰謝料が同額では不公平な結論となるためです。 例えば、慰謝料として100万円が相当であるとするならば、不貞行為をした配偶者と、不貞相手と、両者に対して100万円ずつ、合計200万円を請求できるわけではありません。 不貞行為をした配偶者と、その不貞相手は、共同して他方配偶者の権利を侵害しているわけですから、1つの不法行為と評価され、慰謝料は総額で100万円となります。このため、例えば離婚が先行して、不貞をした配偶者から慰謝料を全額受け取った場合には、不貞相手に対しては請求できないことになりますので注意が必要です。 また、慰謝料請求権は、不貞行為それ自体を理由とする場合には、不貞行為があったこと等を知った時から3年、不貞行為が原因で離婚したことを理由とする場合には、通常、離婚してから3年で時効となり、慰謝料の請求ができなくなってしまいますので、注意が必要です。 夫・妻が浮気しているかもしれない、という場合、弁護士に相談することによって、情報収集の方法や、離婚のタイミング等、様々な情報を得ることができます。また、弁護士に依頼すれば、不貞相手や離婚したい相手と直接やりとりをせずにすむため、精神的負担も大幅に軽減することができます。 その結果、通常よりスムーズに離婚をすることができたり、損害賠償を請求できたりする可能性が高まります。少しでも不安な場合、ぜひ一度弁護士にご相談することをお勧めします。 [myphp file='link-footerban'] 「慰謝料」に関するQ&A よくあるご質問のうち、慰謝料に関するご質問をまとめました。 「浮気・不倫をされた方で、慰謝料が争点」の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、浮気・不倫をされた方で、慰謝料が争点であった事例をまとめました。 [myphp file='link-money']
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不貞慰謝料を請求された
配偶者のいる異性と性的関係をもつと、不貞行為となり、相手の配偶者から慰謝料請求を受けることとなり、不貞行為が事実ならば、基本的には慰謝料を払わなくてはいけません。 相手から請求された金額そのままを支払わなければいけないわけではありません。 弁護士や行政書士から内容証明郵便で慰謝料請求されたら、その金額を払わなければいけないように思ってしまうかもしれませんが、実際には裁判で認められる金額よりも高い金額で請求をしている場合があります。 裁判で認められる慰謝料の金額は、ケースバイケースですが、現実には、70万円から250万円が多く、500万円を超えることは少ないと言われています。 また、不貞をした配偶者の責任と不貞の相手方の責任は、共同不法行為となるため、慰謝料は連帯債務となり、不貞をされた配偶者はその双方に慰謝料請求をできます。 不貞をした配偶者Aさんと、不貞の相手方Bさん、不貞をされた配偶者のCさんがいるとすると、AさんとBさんは、共同してCさんに不法行為である不貞行為を行っているということになります。ですから、CさんはAさんとBさん双方に慰謝料請求をできるのです。 たとえば、Cさんが不貞によって受けた心の痛みを慰謝するためには200万円かかるとします。そしてAさんとBさんが100万円ずつの責任があるとします。この場合、共同不法行為は不真正連帯債務ですから、Aさんに100万円とBさんに100万円請求してもよく、Aさんに200万円全額の請求を行っても、Bさんに200万円全額の請求を行っても問題ありません。これが連帯債務です。 相手の主張を認め、言われた金額を払う場合でも、周囲の人にばらされないよう示談書を作っておくのがよいでしょう。 夫婦関係が既に破綻しているような状態で不貞行為がされた場合は、慰謝料請求は認められません。 また、不貞行為の相手方に慰謝料請求をする場合は、不貞行為に至る過程において、不貞行為の相手方に特別の事情がある場合、例えば、相手の女性が夫が結婚していることを知らなかった、または、夫が相手の女性に対してしつこく関係を迫った等の事情がある場合には、慰謝料請求が認められなかったり、認められたとしても非常に低額になる可能性もあります。 また、慰謝料請求権は、不貞行為それ自体を理由とする場合には、不貞行為があったこと等を知った時から3年、不貞行為が原因で離婚したことを理由とする場合には、通常、離婚してから3年で時効となり、慰謝料の請求ができなくなりますので、その場合は、時効を援用すれば、慰謝料を支払う必要はなくなります。 慰謝料請求をする側は、不貞行為の事実を証明する必要があります。証拠がない場合は、慰謝料を払う必要はありません。また、相手から証拠があると言われても、その証拠が裁判で認められる証拠なのかどうかは分かりません。 ただし、話を突っぱねると、周囲に変な噂を立てられてしまうかもしれません。相手が何を根拠に不貞行為だと思っているのかを聞いて、誤解を解く必要がありますが、本人同士だと冷静に話し合いが出来ず、交渉決裂してしまう可能性がありますので、どのように交渉すればよいかを弁護士に相談することをおすすめします。 ①配偶者以外の人と肉体関係を持ってしまい、慰謝料請求を受けている、②請求されている慰謝料の金額が妥当かどうか知りたい、③不貞行為をしていないのに慰謝料請求されている 等でお悩みの方は、ぜひ弁護士に一度ご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] 「慰謝料」に関するQ&A よくあるご質問のうち、慰謝料に関するご質問をまとめました。 「浮気・不倫をした方で、慰謝料が争点」の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、浮気・不倫をした方で、慰謝料が争点であった事例をまとめました。 [myphp file='link-money']
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財産分与
夫婦の財産はどうやって分けるでしょか?離婚する際には、それまで夫婦で築き上げてきた財産や所有物をそれぞれに分けなければなりません。早く離婚したいという気持ちが強い場合や、話合いすらしたくないという場合には、十分な話合いをせずに離婚してしまう場合も多々見られます。 しかし、特に離婚後の生活に不安がある場合には、離婚後に経済的に困窮しないよう経済面での清算もきちんと行いましょう。 離婚する際に、婚姻期間中に形成された財産を分けることを「財産分与」と言います。財産分与の目的は、それまで夫婦が協力して築き上げた財産を公平に分配することです。 婚姻関係破綻の原因が相手にないと請求できない慰謝料と違い、財産分与の請求は、自分に離婚の原因があった場合であっても請求できます。 不動産の財産分与についてはこちらもご覧ください。 不動産や預貯金など、自分名義のものは離婚後も自分のものだと考えてしまいがちです。しかし、どちらの名義であるかということだけで判断してしまうと、分与の割合が一方に偏ってしまうことも多く、公平な清算になりません。 財産分与の対象となる財産(夫婦共有財産)としては、結婚後の夫婦の収入を原資とする預貯金、不動産、車などがあります。 親から相続や贈与を原資とする預貯金、不動産、婚姻前から持っていた預貯金、不動産等は、いわゆる特有財産といわれる、財産分与の対象にならない財産です。 と、言葉で説明するのは簡単なのですが、実際は、この共有財産、特有財産の振り分けは、家庭裁判所の調停や訴訟で熾烈な争いになることが最も多いポイントの一つです。人間として、離婚する配偶者に自分名義の財産の半分を持っていかれたくはない、というのは自然な心情ということなのだと思われます。 この共有財産と特有財産の振り分けについては、法的にもなかなか難しいところもあります。たとえば預貯金について、「別居時残高-婚姻時残高」が婚姻後に形成された財産といえると思われる方がいるかもしれず、実際、弁護士でもそのように考えている方はそれなりにいるようです。もっとも、家庭裁判所の実務がそのように考えているわけではなく、たとえば定期預金のような日常的に入出金がそこまでない財産であればそのようにいえても、普通預金、それも日常的に頻繁に入出金されている口座であれば「婚姻時預貯金と別居時預貯金はすでに区別不可能なほどに混在してしまっているので別居時残高全額を共有財産と見るしかない。」というような判断がされるわけです。 この点について、とある裁判官の論文では、「夫婦の預貯金は全体として一つの家計を構成し、入出金を繰り返しながら変動していくのが通常であって、婚姻時の残高が、いわば夫婦共有財産の形成のための原資として費消されたと考えることができる。そうであるとすれば、この場合も、夫婦の一方の特有財産を原資の一部として取得・形成された財産(略)と同じく、原則として、基準時の残高全額を分与対象財産と評価した上で、婚姻時の残高については寄与度の問題として全体的な分与割合を認定する際に考慮すべきである。もっとも、婚姻期間が長くなれば現在の財産形成に対する婚姻時の預貯金残高の影響は小さくなるから、実質的婚姻期間が長期(例えば5年以上)にわたる場合には、分与割合に差をつける必要はないと思われる。」と指摘されています(山本拓「清算的財産分与に関する実務上の諸問題」家庭裁判月報平成22年3月第662第3号)。そのため、筆者は、婚姻時残高を別居時残高から控除できるかという問題については、一応この「実質的婚姻期間が5年あるか」を念頭に検討しています。 「分与の割合」は、基本的に、夫婦それぞれの財産形成に対する貢献度により決まるという考え方が取られています。 夫が働いて得た収入で家計を支え、妻は家事に専念して生活を支えているという場合も多く見られます。夫婦共働きの場合にも、家事や子育てによって勤務形態が制限されるということもあるでしょう。 こういったことを考慮すると、財産形成に対して、どちらがどれだけ貢献したか判断するのは非常に難しい問題です。 そのため、実務上は、ほぼすべての事案で、共有財産形成への貢献度については5:5を当然の前提として進められます。稀にこの共有財産形成への貢献度を訂正するという事案もありますが、例えば、夫婦の片方の高収入がよほどの特殊な個人的技能によるものである場合(プロスポーツ選手や芸術家など)や、夫婦の一方が過度な浪費やギャンブルで夫婦共有財産を著しく毀損したことをいわゆるマイナスの貢献とみる場合であれば5:5の貢献度を訂正することもあり得るでしょう。後者のマイナスの貢献のパターンは実際には結構あり得るのではないかと思いますが、ただ当然のことながら、調停や裁判で浪費やギャンブルの証明をできるかというハードルはあり、これをクリアすることは容易ではありません。 相手の財産を把握しておかないと財産を隠されるリスクがあります。相手方が普段はあまり動かしていない口座も含めて銀行口座をもれなく把握しておくことや、株等の証券、保険なども財産性のあるものはきちんと把握しておく必要があります。別居後、こちらがきちんと情報を持っていない状況で、きちんと財産を漏れなく自ら開示してくる相手ばかりであれば楽なのですが、残念ながらそういう相手方ばかりではありません。 通帳についても、表紙の写真だけあればその口座の存在が分かるのでいいと思われるかもしれませんが、その引落しの履歴からは、保険料の支払(=保険契約の存在→積立性のある保険であれば当然財産になります。)、証券口座への資金の移管(=株や投資信託の存在が推認できます。)など重要な情報があることも多いです。表紙だけ写真で抑えて満足してはいけないのです。 給与明細から会社で掛けられている生命保険の存在が分かり、その生命保険に思いのほか高額の解約返戻金が出ることが判明したこともありますし、退職金の積立てがなされていることが判明することも多いです。 このような相手方財産の資料は、当然、別居してからは得られなくなるものではないので、同居中に時間をかけて収集しておく必要があります。同居中から弁護士にご相談いただければ、このような同居中の相手方財産収集に向けたアドバイスもさせていただきますので積極的にご相談ください。 財産分与請求は、離婚後2年以内であればできると期限が決まっているので、早めの請求を心がけましょう(なお、余談ですが、この財産分与の期限については法改正で若干延長するという動きがあるようです。)。 少なくとも現行法のもとでは、財産分与請求は離婚後2年以内にしておかなければいけないので、もし離婚から時間がたっている場合は早めに弁護士に依頼することをお勧めします。 協議で合意に至らなかった場合は、裁判所の手続きで決めてもらうことになります(もちろんこの事前の協議は、必ずしておかないといけないというものではありません。)。裁判所の手続きというものがどのようなものかは、離婚前か離婚後かで若干の違いはあります。離婚前なのであれば離婚自体と一緒に決める必要がありますので、離婚調停または離婚訴訟のなかで財産分与について決めていくことになりますし、離婚後であればすでに離婚の問題はないので、財産分与についてのみ調整してもらう財産分与調停という手続きをすることになります。 家庭裁判所で決めた、調停や審判などの取決めを守らない場合には、裁判所の手続きのなかで作成された調書という書類の効力をもとに強制執行することが可能になります。その中でも、給与差押えが一番効果的ですが、相手方が無職の場合や、個人事業の場合には、個別の財産を探し出して差押えをする必要があります。ここまでくると弁護士でないと対処が難しい場合も多いと思われますので、早めにご相談いただくのが良いと思います。ここで動き方を間違えると、相手方の財産隠しや強制執行逃れを誘発してしまうこともあります。 財産分与は、そもそもの夫婦双方が持っている財産の調査、その財産がどのように形成されたか、財産の評価はどうするか、分け方をどうするか、等様々な問題があります。財産分与について不安がある方は、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。 [myphp file='link-footerban'] 「不動産の財産分与」について 財産分与のうち、不動産について、分与方法、ローン付き不動産の分与方法、税金などについて、ご説明いたします。 「財産分与」に関するQ&A よくあるご質問のうち、財産分与に関するご質問をまとめました。 解決事例財産分与(預貯金)が争点の事例 解決事例財産分与(保険)が争点の事例 解決事例財産分与(退職金)が争点の事例 解決事例財産分与(不動産)が争点の事例 解決事例財産分与(債務・借金)が争点の事例 解決事例財産分与(株式)が争点の事例 解決事例財産分与(その他)が争点の事例 [myphp file='link-money'] [myphp file='link-zaisanfaq']
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財産分与(不動産)
財産分与の対象には、預貯金だけでなく、不動産も含まれます。 まずは、不動産の時価を算定し、評価額を算出します。不動産会社に査定してもらったり、近隣で同じような物件の取引があれば、その価格を参考にしたりします。その他に、土地は路線価や公示価格を参考にしたり、不動産鑑定士に依頼したりする方法もあります。 不動産を分与する場合には、 売却して、代金から経費などを引いた売却益を分ける どちらかが所有し、分与の差額を現金で支払う 相手方名義の家に住み、賃借権を設定して家賃を払う 分与の割合に応じて共有する など、様々な方法があります。しかし、それぞれに良い点もあれば、悪い点もあります。 1.については、分け方が簡明であるというメリットがありますが、中古住宅であれば希望価格での売却が困難というデメリットがあります。 2.については、片方が従前の住まいと同じ場所に住むことができるというメリットがありますが、他方で差額の支払い能力がないと困難であるというデメリットがあります。 3・4については、支払い能力についてはあまり問題となりませんが、離婚後も相手との交渉を続けなければならないというデメリットがあります。 不動産を分与する場合には税金の問題もあるため(後述)、どういう分け方をするのかは慎重に選択すべきです。 ローンが残っている不動産の場合は、そうでないものと比べて財産分与が複雑になります。 まず、不動産の評価額ですが、不動産の時価から、残っているローンの額を引いた額とするのが一般的です。例えば、時価3000万円のマンションでローンが2000万円残っている場合には、3000万円-2000万円の1000円が分与の対象となります。 また、評価時期までに返済した元金充当分を分与の対象とする考え方もあります。例えば、時価3000万円のマンションで、離婚時までに返済したローンのうち元金充当額が2000万円であれば、この2000万円が分与の対象となります。 ローン付き不動産を分与する際には、不動産の名義、ローンの名義、ローンの残高、不動産の時価によっても違ってきますが、 所有権を取得した側がローンの返済をし、分与の差額があれば現金で支払う 売却して、代金から経費などを引いた売却益を分ける 所有権を取得しなかった側がローンの返済をする 等の形があります。 1.の場合、マンションの時価が3000万円でローンが1000万円残っているとすると、2000万円が分与の対象となります。分与の割合が2分の1ずつとすると、取得する側は、相手に現金などで1000万円を支払うことになります。取得する側がローンの名義人でなければ、名義の変更をしなければなりません。変更には債権者の承諾が必要であり、支払い能力がなければ承諾はされないでしょう。 2.の場合は、不動産の時価よりもローン残高が上回っている場合、売却しても債務がのこることになります。例えば、マンションの時価が1500万円で、ローン残高が2000万円であれば、売却後も500万円の債務が残ります、この債務について、分与の対象とすることもあります。 3.の場合は、例えば妻に不動産の名義を変更し、ローンの名義人である夫が離婚後養育費の代わりとしてローンを払い続けるという形も場合によっては考えられます。ただ、離婚後夫が任意にローンを支払うとも限りません。支払われなくなった場合、ローンの支払いの取り決めを公正証書でしてあれば強制執行の手段もありますが、夫に資力がなく、差し押さえる財産がなければ意味がありません。 また、妻がマンションのローンの連帯保証人になっている場合には、夫がローンを支払わない場合、妻にローンの支払い請求が一挙にされてしまいますので、そこには十分留意する必要があります。 お金を貸した側としては、担保として、連帯保証人をつけているわけですから、簡単に連帯保証契約を解除したり、他の親族に連帯保証人を変更したりすることは、弁護士を入れたとしても難しいところです。ですから、不動産の財産分与の際は、ローンについてしっかり把握し、その支払いについてどうするか、そこでの交渉であれば弁護士に依頼するメリットは十分あります。 不動産を分与する場合は、実際には売買していなくても、分与する側が資産を売却して得た代金を相手に支払ったものとみなされ、支払う側に譲渡所得税が課せられる場合があります。 居住用の不動産を分与する場合は、譲渡所得の特別控除(3000万円を限度とする・平成30年6月現在)が受けられます。さらに所有期間が10年を超える場合は軽減税率の適用が受けられます。ただし、この軽減税率は「親族以外の者への譲渡」に適用されるので、分与は離婚成立後に行うこととなります。 不動産を受け取る側には、「不動産取得税」と、不動産の名義変更の際に「登録免許税」が課せられます。また、不動産の所有者になると、毎年「固定資産税」が課せられます。 結婚20年以上の夫婦であれば、一方が自宅用の土地や建物や、土地・建物の取得金を贈与し、贈与された側が続けて住む場合は、2110万円(特別控除2000万円+通常の贈与税の控除額110万円)までは非課税です。 もっとも、不動産取得税・登録免許税はかかります。贈与した側にも税金は課せられません。この制度を使うか、財産分与をするか、比較考量して検討する必要があります。 不動産の財産分与については、評価から分け方まで様々な方法がありますので、争いの多い事案です。まずは一度、専門家にご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] 「財産分与」について 財産分与について、分与の対象となるもの、割合、気をつける点などについて、ご説明いたします。 「財産分与」に関するQ&A よくあるご質問のうち、財産分与に関するご質問をまとめました。 「財産分与(不動産)」が争点の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、財産分与(不動産)が争点であった事例をまとめました。 解決事例財産分与(預貯金)が争点の事例 解決事例財産分与(保険)が争点の事例 解決事例財産分与(退職金)が争点の事例 解決事例財産分与(不動産)が争点の事例 解決事例財産分与(債務・借金)が争点の事例 解決事例財産分与(株式)が争点の事例 解決事例財産分与(その他)が争点の事例 [myphp file='link-money']
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婚姻費用
婚姻費用とは、衣食住の費用、医療費などの生活費、子どもの教育費など、結婚生活を送るうえでかかる費用のことをいいます。 概念的には、同居、別居に関わらず、夫婦間で受け渡される生活費は婚姻費用であり、別居後に請求する生活費だけが婚姻費用になるわけではないのですが、同居中は各家庭のルールにより生活費分担がされていることが多いので、ある程度定型的なルールに従って算定される婚姻費用が問題になるのは主に別居後のことになります。 民法には、夫婦は婚姻から生ずる費用を分担する義務がある旨を定めています。妻が専業主婦で収入が少ない場合や、パート勤務などで夫より収入の少ない場合は、夫は生活費を渡す義務があります。なお、勘違いしないでいただきたいですが、婚姻費用は、必ずしも夫から妻に支払う必要がある金銭というわけではなく、男女問わないものです。しかし、やはり現実には、妻のほうの収入が低いケース、あるいは別居後は妻が子どもと監護するケースが多いので、妻から夫へ婚姻費用請求するケースが多いというだけです。 本記事では、単に婚姻費用の請求権者を「妻」と記載しますが、状況によっては夫から妻に請求できることもあることはご認識のうえ読んでください。 さて話を戻しますが、離婚前の別居中、離婚の協議中、離婚調停中、離婚訴訟中であったとしても、離婚成立までは法律上は婚姻関係がある以上、夫婦にはお互いを扶養する義務があります。 ですから、離婚が決着するまでは、婚姻費用として生活費をお互いに分担しなければならないわけです。 例外的な事情として、婚姻関係の破綻に主たる責任がある配偶者(これを「有責配偶者」ということがあります。例えば、不貞をして別居の原因を作った配偶者などです。)からの婚姻費用請求は、一部制限されることがあります。妻が不貞して家に出て行ったのに婚姻費用請求されては、不貞をされた夫としてはたまったものではありませんし、そのような場合に裁判所が婚姻費用請求を制限するというのは、一般的な感覚からしても正しいと感じられますね。ここで「一部」制限されると留保を付けたのは、婚姻費用は、いわば『子どもの養育費に「婚姻費用を請求する配偶者自身」の生活費を合算した額』であり、有責配偶者からの婚姻費用請求で制限されるのは、後者の「婚姻費用を請求する配偶者自身」の生活費部分だけで、子どもの養育費部分は制限されないからです。妻が不貞して子どもを連れて出て行ったからと言って、子どもにそのしわ寄せが来るのは避けるべきとの考えです。これも一般的な感覚から言っても正しいのではないかと思います。 婚姻費用の金額や支払方法に特に決まりはありませんが、ご想像に難くないとおり、別居、離婚協議、離婚調停など揉めに揉めている夫婦間で、夫婦の話合いで生活費を支払えと妻が請求して夫が素直に支払うケースは多くはありません。そのため、揉めた場合には弁護士ないし裁判所の出番となるわけですが、弁護士や裁判所が婚姻費用について定めるときに夫婦独自のルールや慣習を元にしていては処理に統一性を欠くので、弁護士や裁判所は、通常は裁判所が公開している婚姻費用算定表を用います。これはネット検索していただければこれはすぐ出てくると思います。一つ注意点として、この算定表は数年前に改定されているので、うっかり古い算定表を参照したりしないよう注意しなければなりません(うっかり古いものを使うと婚姻費用が低めにはじき出されます)。 ただこの算定表は、簡易に婚姻費用をはじき出すツールではありますが万能ではないことに注意すべきです。そもそも相手方の収入が分からなかったり、自営業で額面収入を操作されているとこの算定表を使えなかったり不相当な金額しか出てきません。 また、どちらかに前配偶者との子ども(いまの配偶者との養子縁組などはないことを前提とします。)などがいるなど、イレギュラーな事案では、この算定表を使えません。そのような場合は、この算定表の背後にある考え方に従い個別に計算をしていくしかありません。 算定表は、元をただすと「司法研究報告書第70輯第2号『養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究』」という論文に端を発するのですが、この論文に示された考え方であったり、これまで実務で集積されてきた裁判例をもとにして計算をしていくことになります。そこまでいくともはや弁護士でなければ対応が難しい場合もあるでしょうから、家事事件の取扱い経験が多い弁護士へのご相談をお勧めします。 婚姻費用の支払義務や金額について、相手が話合いに応じない場合や、話し合っても合意に至らない場合には、家庭裁判所に「婚姻費用分担」を求める調停(婚姻費用分担調停)を申し立てます。 家庭裁判所の調停では、夫婦の資産や収入、支出などについて双方から話を聞いたり、解決案を提示したりしながら話合いを進めます。 婚姻費用の始期(要するにどの月から支払義務が生じるか)については諸説あるのですが、実務上多く取られているのは、請求時(明確に婚姻費用請求をした日が属する月)あるいは婚姻費用分担調停の申立てをした月(もう少し正確に言うと家庭裁判所に婚姻費用分担調停の申立書が受け付けられた月)となります。そのため、別居してからいつまでも婚姻費用請求をせず、調停申立てもしないと、毎月の権利が消滅すると言うことになるので、別居したらできるだけ早く申し立てをしたほうがよいでしょう。例を挙げると、1月31日に別居して2月1日に婚姻費用分担調停の申立てをすると支払ってもらえる婚姻費用は2月分からになりますが、これをもう少し頑張っていただき、1月31日の家庭裁判所が動いている時間帯までに婚姻費用分担調停の申立書を提出してその日中に受付の処理をしてもらえば、1月分から婚姻費用が取れる可能性が高いので、「ひと月分も漏らさず婚姻費用を取りたい!」という方はそこまで考えて動きましょう。 妻が専業主婦などで、実家にも頼れず、子も小さい場合、すぐに婚姻費用の支払いがなければ大変です。 裁判所の調停・審判には時間がかかるので、上記のような場合には、調停・審判の申立てとともに「審判前の保全処分」の申立てをします。裁判所の判断で、「毎月~万円支払え」という仮の婚姻費用の支払が命じられます。そして、その後調停・審判をじっくりすることにより出た結論が保全処分による仮の婚姻費用額とずれる場合には、事後的に清算をすることになるのです。 婚姻費用に関してこの「審判前の保全処分」をするケースは多くはありません。しかし、別居後にすぐ婚姻費用分担調停をしても、相手方が粘ってくると調停ないし審判での結論が出るまで半年以上の期間が経過してしまうことはかなりあります(なおその間の婚姻費用は未払分として一括の支払命令が出ます。)。そのため、そのような場合、別居するほうの選択肢としては、調停ないし審判で決まるまでは自分の収入だけで生活を回す、あるいは誰かの援助を得る、ということのほかに、「審判前の保全処分」で仮払いを受けつつ別居先での生活を落ち着かせる、ということも考えるべきです。頼れる実家もなく別居後の生活の目途が立たないからといって別居を諦めるべきではないのです。 ただ、単に婚姻費用分担調停をするくらいであれば弁護士を立てずに手続を取る方も多いでしょうが、この「審判前の保全処分」までするとなるとかなり難易度が上がるので、弁護士へのご相談はしたほうがよいでしょう。 弁護士からの手紙によってすぐに支払いをしてくるケースも少なくありません。また、交渉では、弁護士が間に入りますので、相手と直接やりとりするストレスから軽減されます。 調停等も、弁護士が同行します。弁護士を頼むメリットはたくさんあるので、ぜひ一度弁護士にご相談されることをお勧めします。 [myphp file='link-footerban'] 「婚姻費用」が争点の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、婚姻費用が争点であった事例をまとめました。 [myphp file='link-money']
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年金分割
熟年離婚の場合、特に問題になるのが年金の問題です。 たとえば、夫がサラリーマンで妻がずっと専業主婦だった場合、老後の年金は夫と妻それぞれの名義の国民年金(老齢基礎年金)と、夫名義の厚生年金(老齢厚生年金)を受け取ることになっています。離婚すると、妻が老後にもらえる年金は国民年金だけになり(独身中に厚生年金に加入していた場合は、その分の厚生年金を受け取ることができます)、夫と妻の受け取る金額には大きな差が出てしまいます。 しかし、夫が外で精一杯働けるのは妻のサポートがあってこそです。また、家事や育児に追われて男性並に働きたくても働けないという女性もいらっしゃいます。 家事労働は、そのままでは年金に反映されないため、「結婚している期間に支払った保険料は夫婦が共同で納めたものとみなして、将来の年金額を計算しよう」という制度が「年金分割」です。 年金分割制度には、「合意分割」と、「3号分割」の二つがあります。 離婚をしたときの年金分割制度は厚生年金や共済年金を対象にした制度です。夫婦ともに国民年金のみに加入している場合には対象になりません。この分割制度には、「合意分割制度」と、「3号分割制度」の2種類があります。 また、年金分割は厚生年金や共済年金の標準報酬部分に限られ、基礎年金部分や厚生年金基金のような上乗せ部分は対象になりません。いずれも、請求は離婚後2年を過ぎるとできなくなります。 参考資料 1階部分 (老齢)基礎年金 受け取る金額は年金の種類にかかわらず、一定額となる 国民年金で受け取れるのはこの部分のみ 2階部分 報酬比例部分 年金保険料が給与額をもとに決まるため、給与が高いほど保険料が高く、年金額も高くなる これを受け取れるのは、厚生年金や共済年金の加入者のみ 3階部分 企業年金 (厚生年金の場合) 職域相当部分 (共済年金の場合) 会社ごとにある上増し年金。 同じ金額の年金を受け取れる確定給付年金と、同じ金額の保険料を払うが、受け取れる年金額は年金の運用実績により左右される確定拠出年金がある これを受け取れるのは、厚生年金や共済年金の加入者のみ 第1~3号被保険者 第1号被保険者:日本国内にお住まいの20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生および無職の方とその配偶者の方(厚生年金保険や共済組合等に加入しておらず、第3号被保険者でない方) 第2号被保険者: 厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員の方(ただし、65歳以上の老齢基礎年金などを受ける権利を有している方は除きます) 第3号被保険者:第2号被保険者(※)に扶養されている配偶者の方で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方 ※ 第3号被保険者は、自身は年金保険料を支払うことなく、1階部分の老齢基礎年金を受け取れます。 当事者間で年金分割の割合を決めるのが、「合意分割」です。 合意分割は、平成19年4月1日以降に離婚した夫婦が、結婚していた期間に応じて、その期間の厚生年金・共済年金の標準報酬を最大2分の1まで分割できる制度です。分割の割合は夫婦の話し合いで決め、決まらない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めます。 割合についての合意ができたら年金事務所に年金分割の請求をする必要があります。 分割の話し合いをするにあたっては、分割の対象になる婚姻期間や厚生年金の標準報酬額について正確に知る必要があります。そのための情報は、日本年金機構が「年金分割のための情報通知書」を提供することになっています。情報の請求は当事者が一緒に、または一方からすることができます。 請求により2分割されるのが「3号分割」です。 3号分割は、専業主婦の方が対象です。平成20年4月から離婚するまでの間、第3号被保険者であった期間の夫の厚生年金の標準報酬額の2分の1を、話し合いや調停などによらずに受け取ることができます。 たとえば、夫がサラリーマンで妻が専業主婦の夫婦が平成30年5月に離婚した場合、平成20年からの10年間分に相当する厚生年金の標準報酬額の半分が妻名義になります。それ以外(平成20年3月以前や妻が厚生年金に加入していた期間など)の夫名義の厚生年金や、共働きの場合の分割については、合意分割の制度に従って決めます。 なお、3号分割は、離婚をすると自動的に年金が分割されるわけではないため、離婚後、第3号被保険者であった本人が年金事務所に分割の請求をする必要があります。 婚姻中に相手方が厚生・共済年金に加入しており、その扶養に入っていた場合には、離婚後に当然に相手方名義の厚生・共済年金を受け取ることはできません。また、老後に受け取れるのは国民年金のみ、又は自身で厚生・共済年金に加入したとしても加入期間が短く年金も低額であることも想定され、老後の生活費が不足するおそれもあります。そのため、年金分割をしない場合には、将来受け取れる年金の受給額が減少することになり、老後の生活費が不足するということにもなりかねません。このようなデメリットの大きさや老後の金銭的な不安は精神的な負荷等を考慮すれば、老後の生活を少しでも安心して過ごせるよう年金分割を行っておくことは必須といえます。 なお、次に記載してあるとおり、年金分割も請求できる期間に制限がありますので注意が必要です。 年金分割の請求は離婚が成立した後でも行うことができます。しかし、年金分割請求ができる期間にも制限があることに注意が必要です。この期間制限は、原則として、離婚をした日の翌日から起算して2年です。ただし、例外として、離婚してから2年を経過するまでに審判又は調停を申し立て、審判が確定又は調停が成立した場合には、その確定又は成立日の翌日から6ヶ月経過するまで年金分割請求を行うことができます。 以上のとおり、年金分割が請求できる期間は原則として離婚が成立した日の翌日から2年です。期間制限に例外があるとしても、この例外の適用を受けるためには調停又は審判の申立てが必要であるため、その準備期間も考慮しなければなりません。その他必要書類の取得などに必要な期間もあります。そのため、2年という期間があるとしても、年金分割に向けた行動を早期に取る必要があります。もっとも、年金分割は老後の生活に直接影響する制度ですが誰かがその存在を当然に知らせてくるものではありません。そのため、できる限り、離婚を検討する際に弁護士に相談し、離婚時に請求すべきものを把握しておくことも重要といえます。 年金分割は、熟年離婚に際して必ず決定しておいたほうが良い事項です。3号分割であれば、相手方の合意なくしてできますので、ご依頼となった際は、その手続きのお手伝いをさせていただきます。また、交渉によって企業年金部分の分割も請求していくことで、さらに多くの年金を受給できる可能性がございます。 熟年離婚する際には、年金分割が大きな関心ごとになるかと思います。手続きも煩雑になりますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。 [myphp file='link-footerban'] 「熟年離婚」のご相談 熟年離婚で気をつけるべき3つのことについて、弁護士が解説いたします。 「年金分割」が争点の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、年金分割が争点であった事例をまとめました。 [myphp file='link-money']
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退職金
離婚時に、すでに支払われている退職金は、婚姻期間に対応する部分については、財産分与の対象となります。配偶者の寄与は、同居期間に按分した額を対象額として、原則2分の1の寄与が認められることが多いです。 また、近い将来支払われることがすでに確定している退職金は、財産分与の対象となりえます。 「なりえます」と述べたのは、将来の退職金は、事故、病気、懲戒解雇、勤務先の倒産、経営不振による減額など不確定要素があり、その受給が確実でないからです。 しかし、退職金は賃金の後払い的性格があること、勤労世帯にとっては年金と同様、老後の生活保障として重要であることなどから、その支給を受ける蓋然性が高い場合には、財産分与の対象とされています。 問題となるのは、何年先の退職であり、どういった勤務先であれば支給の蓋然性が高いと認められうるのか、蓋然性の低い場合にも何らかの事情として考慮するのか、清算対象とする場合の具体的な計算方法、支払い時期等ですが、これは事案ごとに裁判所の判断にゆだねられており、基準は明確ではありません。 しかし、退職まであと数年で、公務員等の退職金を受け取ることのできる可能性が高い業種であれば、将来の退職金が財産分与の対象となる可能性は高いでしょう。 配偶者が退職していない場合の退職金の財産分与の金額について、最近の公表例は少ないですが、実務では、別居時に退職したと仮定した場合の退職金額を、配偶者との同居期間に按分した額に修正し、それを折半するものが多いように思われます。 実際には、一括払いが多いように思われます。しかし、将来支払われる退職金については、退職金を支給された時点で支払え、と判断した裁判例もあります。 将来支払われる退職金については、もちろん配偶者の手元にないわけですから、事実上一括払いが無理である場合も十分あり得ます。そういった場合には、退職金については支給された時点で支払うとの文言を公正証書に残し、退職金が支給された時点で請求すること、任意に支払われない場合には強制執行をかけること等を検討するほうが良い可能性もあります。 どちらにしろ、退職金は一般的に夫婦の共有財産の中でも大きな割合を占めます。その点についてしっかりと決めておくことで、離婚後の生活をスムーズに送ることができます。 退職金の財産分与についてご不安な場合は、弁護士にご相談することをお勧めします。 [myphp file='link-footerban'] 「熟年離婚」のご相談 熟年離婚で気をつけるべき3つのことについて、弁護士が解説いたします。 「財産分与(退職金)」が争点の解決事例 当事務所が解決した事例のうち、財産分与(退職金)が争点であった事例をまとめました。 [myphp file='link-money']