円満調停って何?どういう時に使うの?ADRとの使い分けも弁護士が解説
目次
円満調停って何?どういう時に使うの?ADRとの使い分けも弁護士が解説
1. はじめに
離婚を切り出されたけど、離婚したくない。当事者間で何度か修復を求めたけど相手が応じてくれない。そのような場合に何かできることはあるのでしょうか。
特に別居が開始された後は、相手と直接やり取りをすることも一苦労です。電話にはでてもらえない。メールやLINEはブロックされて届かない。手紙を送っても返事がない。いたずらに時間だけが過ぎ、具体的な手段が思い浮かばない。
そのような場合に夫婦関係修復の最後の修復の手段として考えられるのが円満調停です。
2. 円満調停の内容
(1) 離婚調停との違い
離婚調停は、離婚をしたい配偶者が申立てをするもので、離婚をしたい理由や離婚に伴う各種条件について話し合いをするものです。
これに対して円満調停は、離婚をしたくない配偶者が申立てをするもので、離婚をしたくない理由や修復の方法について話し合いをするものです。
もっとも、いずれの調停も表裏の関係にあり、離婚するか否かという点において話し合う内容は殆ど重なってきます。実際、離婚調停も円満調停も手続の正式名称としてはいずれも「夫婦関係調整調停」となり、括弧内で「離婚」と記載されるか「円満」と記載されるかの違いしかありません。
(2) 円満調停のメリット
既に別居が開始され、電話やメール等の直接の話合いが閉ざされている場合、相手方とやり取りを進める唯一の手段といっても過言ではありません。当事者間で直接話し合うわけではなく、人生経験豊富な男女2名の調停委員が間に入り、修復の余地について調整をして下さります。
相手方の気持ちがまだ離婚に固まりきっていない段階であれば修復の糸口が掴めるかもしれません。
(3) 円満調停のデメリット
別居を決意するような方の殆どは離婚の意思が極めて固い傾向にあります。円満調停に強制力は無い為、調停委員の尽力があったとしても固まった気持ちを解きほぐすことは容易ではありません。
むしろ、円満調停を機に相手から離婚調停を申し立てられることも少なくなく、結果的に離婚の手続が進んでしまうという事態が想定されます。
3. 円満調停の帰結
(1) 円満成立
改めて同居を開始し、夫婦としての実態を再開しようという帰結です。
(2) 別居成立
修復や同居再開は難しいものの、直ちに離婚の合意も難しいという状況の中、当面双方が別居を開始し、様子を見るという帰結です。婚姻費用や面会交流など、別居中の必要事項を盛り込む場合が多いです。
(3) 離婚成立
結果的に婚姻関係の修復が難しいという点で双方が合意し、離婚に至るという帰結です。
(4) 不成立
何らの合意にも至らないという帰結です。離婚をしたくない側としてはこれ以上にできる手続はなく、相手方配偶者から離婚訴訟を提起するのを待つのみとなります。
(5) 円満調停の実情
当事務所は年間300件以上の離婚相談に対応させていただいており、円満調停に対応することも少なくありません。ただし、結果的に円満成立となったケースは数える程度しかありません。
なかなか人の気持ちを変えることは難しいというのが実情のようです。
4. 弁護士依頼の必要性
単に修復のみを求めるのであれば、円満調停を申し立てた際に弁護士を依頼する必要性は必ずしも高くありません。むしろ、双方に弁護士が介入してしまうと、お気持ちのやり取りがしにくくなり、修復はより困難になりかねません。
しかし、前述のとおり、円満調停の多くは円満で終わらず、遅かれ早かれ離婚を前提とした手続に進む傾向にあります。その際、当然に親権や養育費、財産分与などの離婚条件が問題となります。
万が一、弁護士が介入していない段階で何らかの合意をしてしまうと、後から覆すのが困難となりかねません。早い段階で弁護士に相談し、仮に離婚もやむなしとなった際に適切な対応ができるような準備をしておく必要があります。
円満調停の申立てを検討されている方は早い段階で一度当事務所にご相談下さい。
5. 弁護士費用
着手金 20万円
ただし、相手方配偶者から離婚調停を申し立てられた場合は、離婚調停対応に準じて追加着手金として10万円をお願いしております。
報酬金 30万円(円満成立時)
ただし、相手方配偶者から離婚調停を申し立てられた場合、あるいは離婚成立となった場合は離婚調停の報酬金と同基準となります(詳細についてご相談された際に弁護士にご確認下さい。)。