生命保険・学資保険
目次
はじめに
婚姻中に将来のことを思って契約した生命保険、学資保険、損害保険についても、解約返戻金が発生するものについては財産分与の対象になります。
これについても、預貯金と同じく別居時の解約返戻金相当額が財産分与の対象になります。
そのため、たとえば別居時には100万円だった解約返戻金額が離婚時に150万円になっていた場合には150万円もらえますよねというご質問をよくいただきますが、財産分与の対象となるのは別居時の100万円ということになります。別居してから離婚するまでに増加した50万円については夫婦で頑張って形成したものとはいえないためです。
学資保険
学資保険については、金額も低くなく子供への贈与とはいえないため、財産分与の対象となり得ます。
ただし、夫婦間で学資保険はあくまで子供のものとして残しておきたいということであれば、財産分与の対象から外すことも可能です。
婚姻前に契約が開始していたもの
婚姻前に契約が開始していたものについては、別居時の解約返戻金を同居期間に按分して計算した額を財産分与の対象にします。
たとえば、平成20年に生命保険を締結してから、平成22年に婚姻し、平成30年に別居した場合で、別居時の解約返戻金額が200万円だった場合には、200万円を10分の8で按分した160万円という計算になります。
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財産分与で頻繁に問題となる争点と財産分与を弁護士に依頼するメリット
結論から申し上げますと、財産分与が最も弁護士に依頼するか否か、あるいはどの弁護士に依頼するかによって大きく差がでてしまいます。 財産分与が争いになる場合、様々な観点から議論が生じ得ますに、お互いの立場によって主張は異なります。以下、財産分与に際して頻繁に問題となる争点についてご紹介させていただきます。 財産分与の対象となる財産は、あくまで婚姻後に夫婦が協力して築いたとして評価される夫婦の共有財産のみです。結婚前に築いた財産や、相続によって引き継いだ財産は「特有財産」として財産分与の対象となるものではありません。 しかし、「特有財産」に該当するか否かの判断は必ずしも簡単なものではございません。 この点、結婚前の預貯金が共有財産とは別の口座で明確に分離して管理されている場合は、財産分与の対象となる可能性は高くありません。 他方で、一見して結婚後の預貯金通帳等に残っている財産については、原則として共有財産とみなされかねません。預貯金は他の財産と比べても特に流動性が高く、結婚前の財産と結婚後の財産が混然一体となって管理されていることも少なくありません。 例えば、以下のケースでは頻繁に預貯金の共有財産性が問題となりがちです。 ・結婚前の通帳に、結婚後もそのまま共有財産としてのお金が出入りしている場合 ・結婚後に作った預貯金通帳に結婚前の預貯金を移動させた場合 ・結婚後の収入は貯金に充てつつ結婚前の預貯金を生活費に充てていた場合 通常、当該預貯金が特有財産であると主張したい側が特有財産性を立証しなければなりません。結婚期間が長期間にわたっている場合などは、複数にわたる通帳履歴や通帳間のお金の行方を追いかけ、特有財産性を証明するという作業が必要になります。 膨大な記録を読み解き、お金の流れの法律的な意味を考えるという点は、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。 夫婦の自宅を購入するにあたり、夫婦の一方または双方の両親から資金援助を受け、頭金の支払等に充てる等して自宅を購入される方は少なくありません。 その際、援助を受けた当時の金額をそのまま特有財産として財産分与から除外し、速やかに返還して欲しい旨希望される方がいらっしゃいますが必ずしも妥当ではありません。通常は、援助を受けた金額は自宅に姿を変えており、その間、自宅を夫婦で使用した結果、自宅の価値も下がっていくからです(例えば、建物の価値が殆どゼロになった後に、購入当時の援助資金相当額を返還しなければならないとなれば、極めて不公平な状況に陥りかねません。)。 では、どのように考えるのが法律上妥当なのでしょうか。残念ながら画一的な方法は確立されておらず、個々の状況によって臨機応変に検討されることが殆どです。 代表的な手法としては、自宅購入費における、親族等からの資金援助額を割合的に算出し、基準時の当該自宅の価格から資金援助額相当額を差し引き、その残額を財産分与の対象とする方法があります。もっとも、この方法も、計算の順番や方法によって最終的な金額に差が出ることもあり、確実な方法ではありません。 いずれにせよ、様々な考え方があり、立場によっても主張する内容は大きく変わってくることでしょう。このように、親族等から資金援助を受けて自宅を購入した場合は、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によって大きく差が生じ得るところです。 交通事故の賠償金等が財産分与の対象となり得るかという点もしばしば問題となり得ます。交通事故の賠償金等は、当該被害者が交通事故に遭った結果、保険会社等から支払われるものであり、夫婦が協力して築いた財産ではありません。その為、一見すると特有財産にあたり、財産分与の対象とならないように思えます。 実際、賠償金等を受領した立場からすれば、全額が財産分与の対象にならない旨の主張をされることも少なくありません。 しかし、交通事故の賠償金等が支払われるにあたっては、様々な費目ごとに損害額が計算されることが殆どです。 いわゆる慰謝料については特有財産と考えられることが一般的でしょうが、婚姻期間中の逸失利益額については必ずしもそうとは言えません。「逸失利益に対応する部分は、後遺障害がなかったとしたら得られたはずの症状固定時以後の将来における労働による対価を算出して現在の額に引き直したものであり、上記期間中、配偶者の寄与がある」と考えられる為です(大阪高決平成17年6月9日参照)。 このように、交通事故の賠償金等が争点となる場合も、この裁判例を知っているか否かによって主張が大きく変わるものであり、弁護士によって大きく差が生じ得るとこです。 子供に対するお小遣いやお年玉など、子供が自由に使えるお金とした贈与したといえるような場合は子供特有の財産となり、財産分与の対象とはなりません。他方で、子供の将来に備えて夫婦の収入から子供名義の通帳に積立貯金していたような場合は実質的に夫婦の共有財産といえ、財産分与の対象となります。 その他、親族からの各種お祝い金や児童手当など、子供名義の預貯金が財産分与の対象となるかについて争われることは少なくありません、いずれにせよ、子供名義の預貯金は、その形成の趣旨、目的、管理状況等に照らして個別具体的に判断されることになります。その為、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。 財産分与は夫婦個人の共有財産が対象となるものですので、原則として法人名義の財産は財産分与の対象となりません。あくまで個人名義の持分権や株式が財産分与の対象となります。 もっとも、法人化しているものの、殆ど個人経営に近く、法人と個人の資産管理が明確にできていないケースも少なくはありません。そのようなケースでは、法人の決算報告書や預貯金通帳等を精査し、当該財産の実態が法人のものなのか個人のものなのかについて明らかにする必要があります。 膨大な記録を読み解き、お金の流れの法律的な意味を考えるという点は、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。 ア 財産分与の対象となるか 殆どのケースで、離婚時に退職金は支給されておらず、仮に財産分与の対象になるとしても、手元の支払の原資はありません(なお、既に支給済みの退職金は単に預貯金・現金となり、婚姻期間に対応する部分が当然に財産分与の対象となります。)。 その為、将来、退職金の支給を受ける方は可能な限り退職金を財産分与の対象にはしたくありません。他方で、財産分与を求める側からすれば、婚姻期間が一定程度長期にわたっている場合、多くのご家庭において退職金は不動産と並んで財産価値の高い財産になる為、退職金は是が非でも財産分与の対象としたいところです。 退職金が財産分与の対象となるか否かについては、退職金支給時期までの期間や、支給の蓋然性の程度によって大きく異なります。 支給時期まで30年以上ある場合は財産分与の対象とはしにくいですし、そもそも婚姻期間との関係で財産分与の対象となる部分は極めて小さくなりがちです。他方で、支給時期まであと5年程度であれば財産分与の対象となる可能性は極めて高くなります。もっとも、支給時期まで何年であれば退職金の対象となるかについては明確な定めが無い為、支給の蓋然性(公務員や上場企業等の会社員であれば蓋然性は高くなりがちです。)によってその判断は大きく分かれることになるかと思います。 イ 対象となる金額 また、仮に退職金が財産分与の対象となり得るとしても、本来、退職金は将来の退職時に支給されるものであり、離婚時には発生していません。この場合、将来受給できるはずの退職金を現在価値に引き直す作業(いわゆる中間利息の控除)が必要となります(東京地判平成11年9月3日参照)。計算方法によっては、財産分与の対象となる退職金の金額が大きく変動する可能性があり、弁護士によっても大きく差がでるところです。 ウ 支払方法 最後に、仮に退職金が財産分与の対象となるとして、判決や審判等で判断が下される場合、直ちに退職金を考慮した上での金額を財産分与として相手に支払えという結論になりかねません。しかし、繰り返し申し上げるとおり、退職金は将来の退職時に支給されるものであり、離婚時には発生していません。その為、そのまま漫然と判決や審判を受けてしまうと、支払に窮することとなり、最悪、強制執行等の法的手段を取られてしまいかねません。 その為、退職金が財産分与の対象となり得る場合は、早い段階から支払方法(退職金発生時に一括払いするか、離婚後から分割払いする等)について相手方と交渉をし、可能な限り協議や和解等によって紛争を解決することが望ましいです。 このように退職金が問題となる場合は、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。 ア 財産分与の対象となるか 本来、清算的財産分与は離婚時ないし婚姻関係破綻時に存在する積極財産(資産)を精算する制度ですので、住宅ローンを代表とする夫婦の債務は当然に財産分与の対象とするものではありません。 もっとも、公平の観点から、当該債務が資産形成の対価であるある場合は、当該資産と共に考慮すべきであり、夫婦の自宅を購入する為に負担することになった住宅ローンは、不動産の価額から住宅ローンを控除する等の方法によって財産分与の対象となり得ます。 イ オーバーローンの場合(夫婦の一方が債務の名義人の場合) いわゆるオーバーローンの場合は、資産価値がゼロであり、財産分与の対象としないのが原則です。その結果、残代金債務は、債務の名義人が負担することになり、負債の半額の支払を相手に求めることは法律上できません。 しかし、そのような結果は、債務の名義人に過大な負担を負わせかねません。そこで、弁護士が相手と交渉することによって住宅ローンの支払を実質的に養育費の支払いとして取り扱う等の方法で実質的な公平を目指していくことになります。 ウ オーバーローンの場合(夫婦の双方が連帯債務等を負っている場合) オーバーローンの場合、当該自宅を売却したとしても双方に残債務が残ることとなり、売却は必ずしも得策ではありません。その為、夫婦の一方が自宅を取得し、事実上、住宅ローンの支払を自宅の取得者が引き受けるという方法が頻繁に取られます。 しかし、そのような場合でも当然に自宅を手放す方の連帯債務が無くなるわけではありません。自宅を取得する側は残債務の借り換え等の方法によって一括返済ができなければ連帯債務はそのまま残ってしまいます。当然、何らかの事情によって自宅を取得した方が住宅ローンの支払を怠った場合、結果的に自宅を取得していないにもかかわらず、残債務の支払を請求されるリスクは残ります。いずれにせよ、夫婦の双方が連帯債務等を負っている場合、個別の夫婦の事情を正確に分析し、将来のリスクを想定した上で最善の方法を選択する必要があります。 以上のとおり、比較的頻繁に問題となるケースでも、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。当然、ここに記載していない部分でも財産分与は極めて法律的な要素が大きく、弁護士介入のメリットは大きいものといえます。 財産分与が争点となりそうな方は一度当事務所にご相談下さい。 [myphp file='link-zaisanbunyo-index'] [myphp file='link-zaisan-index-footer'] [myphp file='link-money'] [myphp file='link-footerban']
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預貯金
預貯金や現金については、婚姻時から別居時までに形成されたものといえれば財産分与の対象になります。 そのため、独身時代にコツコツ貯めた預貯金や、相続で得た預貯金は財産分与の対象になりません。 したがって、対象になる金額の算定方法は、おおまかにいえば別居時の預貯金残額から婚姻時の預貯金残高を控除して、あとは相続で得た預貯金等のように夫婦で頑張って形成した預貯金とはいえないものを控除すればよいことになります。 ここで注意していただきたいのが、子供名義の預貯金のように、夫婦の名義以外の預貯金は全く財産分与の対象にならないのかというとそうとはいいきれないことです。 たとえば、両親が自分たちの財産を単に便宜上子供名義で預金している場合には、実質は両親が頑張って形成した預貯金といえるため財産分与の対象になります。 したがって、対象になる金額の算定方法は、おおまかにいえば別居時の預貯金残額から婚姻時の預貯金残高を控除して、あとは相続で得た預貯金等のように夫婦で頑張って形成した預貯金とはいえないものを控除すればよいことになります。 [myphp file='link-zaisanbunyo-index'] [myphp file='link-zaisan-index-footer'] [myphp file='link-money'] [myphp file='link-footerban']
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生命保険・学資保険
婚姻中に将来のことを思って契約した生命保険、学資保険、損害保険についても、解約返戻金が発生するものについては財産分与の対象になります。 これについても、預貯金と同じく別居時の解約返戻金相当額が財産分与の対象になります。 そのため、たとえば別居時には100万円だった解約返戻金額が離婚時に150万円になっていた場合には150万円もらえますよねというご質問をよくいただきますが、財産分与の対象となるのは別居時の100万円ということになります。別居してから離婚するまでに増加した50万円については夫婦で頑張って形成したものとはいえないためです。 学資保険については、金額も低くなく子供への贈与とはいえないため、財産分与の対象となり得ます。 ただし、夫婦間で学資保険はあくまで子供のものとして残しておきたいということであれば、財産分与の対象から外すことも可能です。 婚姻前に契約が開始していたものについては、別居時の解約返戻金を同居期間に按分して計算した額を財産分与の対象にします。 たとえば、平成20年に生命保険を締結してから、平成22年に婚姻し、平成30年に別居した場合で、別居時の解約返戻金額が200万円だった場合には、200万円を10分の8で按分した160万円という計算になります。 [myphp file='link-zaisanbunyo-index'] [myphp file='link-zaisan-index-footer'] [myphp file='link-money'] [myphp file='link-footerban']
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退職金
退職金あるいは功労金は、勤務先の退職金規定に基づいて支給されるも ので、労働の事後的対価としての性格があります。そのため、給与と同様に財産分与の対象になります。 将来の退職金については、いかんせん将来のことなので、絶対に定年まで順調に働き続けられるとは言い切れません。ある日突然勤務先が倒産したり、懲戒解雇されたり、場合によっては経営不振による減額もありえます。 そのため、定年間近であるだとか、公務員等のように退職金を支給される蓋然性が高い場合に限り財産分与の対象となります。 既払の退職金も、財産分与の対象になります。もっとも、既払の退職金は、既に預貯金や不動産等さまざまな形の資産に変わっていることが多いです。その場合には、現在の資産の種類のままで財産分与の対象として参入することになります。 [myphp file='link-zaisanbunyo-index'] [myphp file='link-zaisan-index-footer'] [myphp file='link-money'] [myphp file='link-footerban']
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不動産
財産分与において紛糾する可能性が高い財産が不動産です。 不動産は、一般的には、現在(裁判では口頭弁論終結時)の不動産時価から現在のローン残額を差し引いた残額を不動産の現在価値とします。そして、これに各自の寄与部分の割合を乗じて各自の取得額を計算します。 不動産の時価といっても、評価方法は多様です。路線価、評価証明書、不動産業者が作成する簡易査定書、不動産鑑定士が作成する鑑定書等々です。そのため、どの評価方法を基準とするのかで争うことがままあります。 [myphp file='link-zaisanbunyo-index'] [myphp file='link-zaisan-index-footer'] [myphp file='link-money'] [myphp file='link-footerban']
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債務・借金
財産分与の対象となる不動産や預貯金等合わせても債務の方が多く、全体的にみてプラスの財産があるといえない場合には、財産分与を請求することは出来ません。 不動産の購入代金債務(住宅ローン)は、原則的には夫婦が平等に負担することになります。 ここで、不動産の借入人の名義が相手だから自分は負担しなくていいのではと主張する方もいらっしゃいますが、実質的にみて夫婦が婚姻関係を維持するために生じさせた場合には名義いかんに関係なく平等に負担するので注意してください。 遊興費、ギャンブル等のような個人的な借金については、夫婦の婚姻関係を維持するために生じさせた債務ではないため、財産分与の対象にはなりません。 もっとも、教育費や医療費といった日常の生活費のためにした借金については、全体的にみて財産がプラスであれば財産分与の対象になります。 [myphp file='link-zaisanbunyo-index'] [myphp file='link-zaisan-index-footer'] [myphp file='link-money'] [myphp file='link-footerban']
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株式
夫婦が婚姻中に株式を取得した場合には、その株式に財産価値があれば財産分与の対象になります。 非上場株式の場合には、財産価値があるかないか、また仮に財産価値があるとしてもその評価をどのようにすべきかという問題があります。 厳密に財産価値を算定する場合には、公認会計士等の資格を有する専門家に会計帳簿等を調査するなどして評価してもらうことになります。もっともその調査にかかった費用等を負担しなければならないので、当事者間で合意することが多いです。 [myphp file='link-zaisanbunyo-index'] [myphp file='link-zaisan-index-footer'] [myphp file='link-money'] [myphp file='link-footerban']