会社経営者・役員のための離婚相談

会社経営者・役員のための離婚相談

福岡は、政令指定都市のなかでも人口増加率が最も高く、現在最も活気のある都市の一つであり、多くの企業が本拠地を置いておいているため、当事務所には、会社経営者や役員の方からの離婚相談が多く寄せられています。

会社経営者の方々の場合
・保有している財産や収入の額が一般の方より大きい
・自社の株式が財産分与の対象になる
などの特徴があるため、離婚の際、特別な配慮が必要になることがあります。

経営者の離婚と養育費

養育費の適正額

養育費とは、子どもの衣食住に必要な経費、教育費、医療費などのことをいい、離婚後、子どもが経済的に自立するまでの間、子を監護している親(通常は親権者)は、他方の親から養育費を受け取る権利があります。

夫が会社経営者である場合、一般の方より多くの収入を得ていらっしゃるなどの理由で、妻から不当に高額な養育費の請求がなされることがあります。
しかし、養育費は、子どもが経済的に自立するまでの間、長期間にわたって支払う必要がありますので「適正な金額」となるよう慎重に対処する必要があります。

収入が2000万円以上の場合

養育費の適正な金額は、裁判所の発表している「標準算定方式」または「算定表」によって確認することができます。

養育費の適正の額を検討する際、とくに注意が必要になるのが、義務者(養育費の支払義務を負う側)の年収が2000万円以上である場合です。

裁判所が発表している算定表では、義務者の年収の上限が2000万円とされており、義務者の年収が2000万円以上の場合の養育費の金額については、裁判所においても考え方が確定していないためです。

一般的に、収入が高額である場合には、収入のすべてを生活費にあてるのではなく、一定割合を資産形成にあてることが合理的であると考えられるため、収入が高額であれば、養育費の金額もそれに伴い高額になるべきとは必ずしもいえません。

義務者が高収入である場合、適正金額の算定には、個別の検討が必要になります。
詳しくは離婚に精通した弁護士にご相談ください。

経営者の離婚と財産分与

離婚をした者の一方は相手方に対して財産の分与を請求できるものとされています(民法768条1項)。
この「財産分与制度」の中心的な性質は「夫婦財産の清算」であり、婚姻期間中に形成された財産については、その名義にかかわらず、夫婦双方がその形成に寄与していると考えられるため、婚姻中に形成された財産であれば、夫の単独名義であっても、妻の単独名義であっても、原則としてすべて財産分与の対象財産とされます。

2分の1ルール

財産分与の割合については、妻が専業主婦の場合でも、夫婦が共働きであっても、原則として2分の1とする運用が実務上確立されています(2分の1ルール)。
もっとも、夫婦の一方の特別の能力や努力によって資産の多くが形成された場合など、例外的なケースでは、この割合が修正されることもあります。

寄与割合を修正した例として、夫が開業医として医療法人の経営をしており、医療法人の出資持分の分与割合が争われた事案について、寄与割合を夫6割、妻4割と判断した大阪高裁の判決(大阪高裁平成26年3月13日判決)などがあります。

2分の1以外の分与割合を主張できるかどうかを判断するためには、その根拠となる事情を具体的に検討する必要がありますので、まずは弁護士にご相談ください。

株式の分与について

夫が会社を経営している場合、夫、または夫婦双方が夫の会社の株式を保有しているケースが多くみられますが、財産分与の対象はこの株式も含まれます。

株主は会社の意思決定に関与できる立場ですので、離婚後は妻が夫の会社の株式を保有する事態は避けたいと考える経営者も多いでしょう。
妻としても、夫の会社に関与しつづけることは望まないことが多いのではないでしょうか。

このようなケースでは株式の価額を評価して、金銭(代償金の支払い)により解決することになります。
ここで、上場会社の株式については取引価格があるため評価が容易ですが、非上場株式の場合、その評価をどのようにするべきかという問題があります。
非上場会社の株式の評価については、公認会計士等の専門家に鑑定を依頼することができますが、その場合ご依頼者に鑑定費用を負担いただく必要があるため、当事務所では、会社の決算書の貸借対照表における純資産価額から平均株価を算出する簡易な評価方法を用いて相手方と交渉するなどして、可能なかぎりご依頼者の負担を軽くするよう努めています。

妻の解雇について(夫の会社で妻を雇用していた場合)

夫が会社経営をしている場合、妻をその会社の従業員として雇用しているケースがありますが、離婚の際、妻を解雇することはできるでしょうか。

従業員の解雇については、「解雇は、客観的に合理的な理由を下記、社会通念上相当であると認められない場合」のみ可能であるとされていますので(労働契約法16条)、このような事情がない限り、解雇をすることはできないのが原則です。

離婚をする場合、妻自身が夫の会社を退職したいと考える場合には自主的な退職として扱えば足りますが、妻が雇用の継続を望む場合には、簡単に解雇することはできません。
離婚と雇用(解雇)は別の問題であることを理解して慎重に対処することが必要です。

経営者の離婚に精通した弁護士にご相談を

このように会社経営者の方の離婚には、特有の配慮が必要な点がありますので、会社経営者の離婚の経験が豊富な弁護士にご相談することをお勧めします。

※当事務所の家事部には、会社経営者の方々の離婚問題を多く扱ってきた経験豊富な弁護士が所属しています。また、当事務所の企業部は500社を超える企業から顧問弁護士としてご指名をいただいており、中小企業の経営に関する法律問題のノウハウを蓄積しています。当事務所では、会社経営者の方々の離婚について、家事部と企業法務部がタッグを組むことで、ベストのサポートをさせていただくことが可能です。

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